CNETのケイティ・コリンズ記者が2025年9月29日、ウェアラブルカメラ「Looki L1」について報じた。この製品はAI処理能力を持つプロセッサーを搭載し、首から下げて使用する。
Looki L1は1200万画素のセンサーを内蔵し、手ぶれ補正と自動HDR機能を備える。1200万画素の写真と30fps・1080pの動画撮影が可能で、広い視野角を持つ。また、IP67の防水性能と32GBの内蔵ストレージを備えている。
音声でChatGPTをアクティベートでき、スマートフォンを取り出さずに質問できる。デバイスの重量は30gで、バッテリー持続時間は最大12時間である。猫を模したデザインで、中央を撫でると鳴き声とハプティック振動で反応する。バッテリー残量は脚部のLEDで緑・黄・赤に表示される。コンパニオンアプリは撮影コンテンツをクラウドに送信し、一日の瞬間を章ごとに整理する。
自動でハイライトリールを作成し、特定テーマのショートフィルムも生成する。製品は現在199ドルで販売中で、3ヶ月間の無料プライムメンバーシップが付属する。通常のプライムメンバーシップは月額10ドルである。
From: Cutest AI Ever? This Wearable Kitten-Shaped Camera Won Me Over
【編集部解説】
今回のLooki L1は、ウェアラブルAI市場における興味深い転換点を示しています。これまでHumane AI Pinのような製品が市場で苦戦する中、猫型という親しみやすいデザインアプローチは注目に値します。
クアルコムW5 Gen 2チップの活用事例として、Looki L1は従来のスマートウォッチ用チップセットを異なる形状のデバイスに応用した成功例といえるでしょう。1200万画素ソニーセンサーと4K撮影機能は、小型ウェアラブルとしては十分なスペックを備えています。
特筆すべきは、ライフログという概念の実用化です。日常生活を自動記録し、AIが意味のあるストーリーに編集する機能は、デジタルメモリーの新たな形を提示しています。ChatGPT統合により、撮影した内容について即座に質問できる点も画期的です。
ただし、プライバシーへの懸念は避けられません。常時撮影可能なデバイスを身に着けることで、他者の同意なく記録してしまうリスクがあります。また、クラウドベースの処理により、個人データの管理体制も重要な検討事項となります。
199ドルという価格設定は、実験的な製品としては比較的アクセスしやすい水準です。月額10ドルのサブスクリプションモデルは、継続的なAI処理コストを反映したものと考えられます。
【用語解説】
ライフログ
日常生活の行動や体験を継続的にデジタル記録する概念。写真、動画、音声、位置情報などを自動的に蓄積し、後から振り返ったり分析したりできる。
ハプティック
触覚フィードバック技術のこと。振動や圧力などの物理的な感覚を通じてユーザーに情報を伝える仕組み。スマートフォンのバイブレーション機能も一種のハプティック技術である。
W5 Gen 2チップ
クアルコムが開発したウェアラブルデバイス専用のプロセッサー。低電力でありながらAI処理能力を持ち、小型デバイスに搭載可能な設計となっている。
HDR(High Dynamic Range)
明暗差の大きい場面でも、明るい部分と暗い部分の両方を適切に表現する撮影技術。逆光や夜景撮影で威力を発揮する。
【参考リンク】
Looki公式サイト(外部)
Looki L1の製品情報、購入ページ、技術仕様などが掲載されている公式ウェブサイト。実際の製品デモ動画や詳細な機能説明を提供している。
クアルコム公式サイト(外部)
半導体大手クアルコムの公式サイト。W5 Gen 2チップを含む各種プロセッサーの技術情報や、ウェアラブル向けソリューションについて詳細に紹介している。
CNET(外部)
今回の記事を掲載したテクノロジーニュースサイト。コンシューマー向けガジェットのレビューや最新技術動向を幅広くカバーしている。
【参考動画】
【参考記事】
OpenAI’s Next Big Thing? Looki Already Shipped It(外部)
OpenAIとJony Iveが開発中と報じられているスクリーンレスでコンテキストを理解するウェアラブルデバイスを、Lookiが既に実現したという発表記事。
Cutest AI Ever? This Wearable Kitten-Shaped Camera Won Me Over(外部)
Yahoo Techによる記事。
【編集部後記】
Looki L1のような愛らしいデザインのAIウェアラブルを見ていると、テクノロジーと私たちの関係性が大きく変わってきていることを実感します。スマートフォンを取り出すことなく、日常の瞬間を自然に記録し、AIと対話できる未来は、もうすぐそこまで来ているのかもしれません。
皆さんは、こうした常時記録型のデバイスについてどう感じられますか?プライバシーへの懸念と便利さのバランスをどう考えていらっしゃるでしょうか。また、AIが自動編集した「人生のハイライトリール」を見返すという体験に興味はありますか?
テクノロジーが私たちの記憶や体験をどのように変えていくのか、一緒に考えていければと思います。