Last Updated on 2024-01-31 04:55 by 荒木 啓介
Regeneron Pharmaceuticalsは、2seventy bioのがん治療薬パイプラインを取得し、新たな細胞療法部門を設立しました。この取引により、Regeneronは血液がんおよび固形がんの治療法を含む8つのプレクリニカルおよび初期臨床プログラムの権利を獲得しました。これらの新資産は、がんと免疫学のための細胞療法を開発することに焦点を当てた新しい研究開発部門であるRegeneron Cell Medicinesの一部となります。Regeneronはこの取引のために500万ドルを前払いしました。
2seventyは、この取引により、Bristol Myers Squibbと共同で商業化している細胞療法に注力することになります。2seventyは、このパイプラインの売却に伴い、約160人の従業員がRegeneronに移籍することを発表しました。これには、2seventyの最高科学責任者であるPhilip Gregoryと最高医療責任者であるSteve Bernsteinも含まれます。また、2seventyの残りのスタッフの約14%が解雇される予定です。
Regeneronと2seventyは、この細胞療法パイプラインの移転を2024年上半期に完了する予定です。これは、過去1年間でRegeneronが行った2つ目の細胞療法関連の取引です。
【ニュース解説】
Regeneron Pharmaceuticalsが2seventy bioのがん治療薬パイプラインを取得し、新たな細胞療法部門を設立したことは、がん治療の分野における大きな進展を示しています。この取引により、Regeneronは血液がんおよび固形がんを対象とした8つのプレクリニカル(臨床前)および初期臨床段階のプログラムを含む、2seventyの研究開発資産を手に入れました。これらの資産は、Regeneronが新たに設立したRegeneron Cell Medicines部門に組み込まれ、がんと免疫学のための細胞療法の開発に貢献します。
細胞療法は、患者自身またはドナーから採取した細胞を用いて病気を治療する技術です。特にがん治療においては、CAR-T細胞療法などが注目されており、特定のがん細胞を標的とするように遺伝子改変されたT細胞を患者に戻すことで、がんを攻撃します。この技術は、従来の治療法では難しかった難治性のがんに対しても有効な可能性を秘めています。
この取引の背景には、2seventyがBristol Myers Squibbと共同で商業化している細胞療法に注力するという戦略的な決定があります。2seventyからRegeneronへの人材の移籍も含め、この取引は両社にとって新たな発展の機会を提供します。特に、Regeneronにとっては、細胞療法分野でのプレゼンスを強化し、がん治療におけるイノベーションを加速するチャンスとなります。
このような取引は、がん治療の研究開発におけるコラボレーションの重要性を示しています。異なる専門知識や技術を持つ企業間の連携により、より効果的な治療法の開発が期待できます。しかし、新しい治療法の開発には時間とコストがかかり、臨床試験を通じてその安全性と有効性が確認される必要があります。そのため、実際に患者への適用が始まるまでには、さらに多くの研究と試験が必要です。
長期的には、このような細胞療法の進展が、がん治療のパラダイムシフトをもたらす可能性があります。特に、従来の治療法では効果が限定的だった難治性のがんに対して、新たな希望を提供することが期待されます。しかし、高度な技術を用いた治療法の普及には、コストの問題や医療提供体制の整備など、さまざまな課題も伴います。これらの課題を克服し、より多くの患者に有効な治療法を提供できるよう、今後も研究開発が進められることが望まれます。
from Regeneron Acquires Cancer Drug Pipeline, Creates New Cell Therapy Division.