円建てステーブルコインJPYC承認決定|日本の国債市場にも影響か

[更新]2025年9月20日10:46

円建てステーブルコインJPYC承認決定|日本の国債市場にも影響か - innovaTopia - (イノベトピア)

日本の金融庁は2025年秋にも円建てステーブルコインの発行を承認する準備を進めている。東京のフィンテック企業JPYCが今月中に資金移動業として登録し、国内初の円ペッグ型デジタル通貨の展開を主導する。

JPYCは1JPY=1円の固定価値を維持し、銀行預金や日本国債などの流動性の高い資産によって裏付けされる。個人や法人からの購入申請後、トークンは銀行振込を通じてデジタルウォレットに発行される。

グローバルステーブルコイン市場はUSDTやCircleのUSDCなどのドルペッグ資産が支配し、2860億ドル以上に拡大している。JPYC発行会社の代表である岡部氏は、円ステーブルコインが日本の債券市場に大きな影響を与える可能性があると述べ、JPYCが大量の日本国債を買い上げる可能性が高いと指摘した。

CircleのUSDCは3月26日に日本で正式に開始され、3月4日に金融庁から承認を受けた。

From: 文献リンクJapan to approve first yen-backed stablecoins this fall

【編集部解説】

今回のJPYC承認は、日本がデジタル通貨の新時代に本格参入する歴史的な転換点といえます。これまで日本は暗号資産に対して慎重なアプローチを取ってきましたが、グローバル競争の中で戦略的にポジションを転換した形です。

注目すべき点は、JPYCが3年間で1兆円規模の発行を目標としていることです。これは単なる実証実験ではなく、本格的な市場参入を意図した野心的な計画といえるでしょう。

ステーブルコインの仕組み自体は複雑ではありませんが、その影響範囲は広大です。日本国債をバックアップ資産として活用することで、デジタル通貨市場と伝統的な債券市場が直接結びつくことになります。これは従来の金融システムにとって全く新しい現象です。

特に興味深いのは債券市場への波及効果でしょう。米国ではTetherやCircleなどの大手ステーブルコイン発行者が米国債の主要購入者になっており、金融政策にも影響を与えています。日本でも同様の現象が起これば、日銀の金融政策や国債市場の流動性に新たな変数が加わることになります。

一方で、潜在的なリスクも存在します。JPYCは最大発行量の101%を1週間以内に預託する必要がありますが、市場での流動性不足や国債価格の急落時には、ペッグの維持が困難になる可能性があります。

規制面では、2023年の資金決済法改正により、ステーブルコイン発行者は銀行免許または資金移動業の登録が必要になりました。これは投資家保護と市場の健全性を重視した日本らしい慎重なアプローチといえます。

長期的には、円建てステーブルコインの普及により、国際送金コストの削減、DeFiエコシステムでの円の存在感向上、さらには中央銀行デジタル通貨(CBDC)導入への布石となる可能性があります。日本がデジタル金融における国際競争力を回復する重要な一歩となるでしょう。

【用語解説】

ステーブルコイン
価格変動を抑えるために法定通貨や資産と価値を連動させた暗号資産。主に決済や価値保存の手段として利用される。

資金移動業
日本の規制区分の一つで、銀行以外の事業者が少額の送金サービスを提供する際に金融庁への登録が必要な業種。

ペッグ制
特定の通貨や資産の価値に連動させる仕組み。JPYCの場合、1トークン=1円の価値を維持する。

日本国債(JGB)
日本政府が発行する債券。Japan Government Bondの略称。
デジタルウォレット暗号資産を保管・管理するためのデジタルツール。ソフトウェア型とハードウェア型がある。

DeFi(分散型金融)
ブロックチェーン上で動作する金融サービス。Decentralized Financeの略称。

【参考リンク】

Circle(USDC発行会社)(外部)
世界最大の規制準拠ステーブルコインUSDCを発行する米国企業。1:1でドルと交換可能で透明性の高い準備金管理を実施。

日本金融庁(FSA)(外部)
日本の金融監督当局。ステーブルコインやその他の金融商品の規制・監督を担当している。

【参考記事】

Japan to Launch First Yen-Backed Stablecoin by Fall 2025 – AInvest(外部)
規制枠組みではステーブルコイン発行者は銀行免許または送金サービスの透明な準備金での認可が必要と解説。

Japan approves first yen-pegged stablecoin under strict regulatory framework – AInvest(外部)
2023年の資金決済法改正により、ステーブルコイン発行者は銀行免許または信託会社としての地位が必要と分析。

Japan to approve first yen-backed stablecoins this fall – TradingView(外部)
JPYC発行会社の代表が円ステーブルコインの債券市場への影響について詳細に言及している記事。

【編集部後記】

ついに!日本初の円建てステーブルコインJPYCの承認が現実のものとなり、私たちinnovaTopiaの編集部も興奮を隠せません。

これまで慎重姿勢を貫いてきた日本が、ついにデジタル通貨の本格的な舞台に登場するのです。しかも単なる実証実験ではなく、3年で1兆円規模という野心的な計画での参入です!

特にワクワクするのは、ステーブルコインと国債市場が直結するという前例のない仕組みですね。アメリカではすでにステーブルコイン発行者が国債の主要購入者になっていますが、日本でも同様の現象が起これば、金融市場の地図が大きく塗り変わるかもしれません

。皆さんも、この歴史的な瞬間を一緒に見守りませんか?デジタル金融の新時代、日本の挑戦はまだ始まったばかりです!

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TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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