KDDI株式会社は2025年10月24日、株式会社HashPortと資本業務提携契約を締結した。
KDDIはHashPortの第三者割当増資により株式の20%超を取得し、HashPortを持分法適用会社とした。両社は大阪・関西万博で利用されたHashPortのEXPO2025デジタルウォレット(2025年10月31日にHashPort Walletへリニューアル)を活用し、Web3サービスの社会実装を進める。
第1弾協業として、HashPort WalletとPonta、au PAYが連携し、Pontaポイントからステーブルコインおよび暗号資産への交換サービス、および暗号資産等からau PAY ギフトカードへの交換サービスを2025年12月1日から開始する。HashPort Walletは累計100万ダウンロード、Pontaは約1.2億会員、au PAYは約3,900万人ユーザーがいる。

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Web3ウォレット開発のHashPortと資本業務提携契約を締結
【編集部解説】
KDDIによるHashPortへの20%超出資と業務提携は、Web3領域の社会実装を加速させる象徴的な事例です。特に2025年大阪・関西万博で100万ダウンロードを突破した「EXPO2025デジタルウォレット」が、「HashPort Wallet」としてリニューアルされ、Pontaポイントやau PAYと連携することで、誰もが知る既存決済・ポイント経済圏とWeb3の間に接点が生まれます。
今回のような大手通信キャリアによる本格的なWeb3参入は、技術的小規模事業者や業界新興プレーヤーの参入障壁を下げ、エコシステムへの期待感を高めます。特にWeb3はNFT・ステーブルコイン・暗号資産の取り扱いが“難しい”印象を持たれがちですが、au PAYのような大規模ユーザー基盤との組み合わせで日常への浸透が現実味を帯びてきました。HashPortのSBTやNFT発行実績も、この領域での応用拡大に説得力を与えています。
一方で、暗号資産を巡る規制は日進月歩であり、日本でも今後制度設計や消費者保護の議論がさらに大きくなる見込みです。今回の業務提携では、出金や送金が制限された商品設計といった規制遵守への配慮も見て取れます。今後はマネーロンダリング対策や資産の安全性、トークンエコノミーの健全な発展が強く問われるフェーズに突入します。
この動きは、既存経済圏とブロックチェーンの“分断”を超えた、技術の社会実装モデルを提示する最初のステップとなる可能性があります。今後は他事業者との連携や国際展開も視野に入れ、日本国内に限らず新たなデジタル資産体験が加速していくでしょう。
【用語解説】
Web3
インターネットの次世代形態で、ブロックチェーンや分散型技術を活用した分散型ウェブを意味する。デジタル資産やスマートコントラクトを利用できる。
ウォレット
暗号資産やNFTなどのデジタル資産を保管し、送受信や利用を行うためのデジタル財布のこと。
ステーブルコイン
価格が米ドルや円などの法定通貨と連動するよう設計された暗号資産。価格変動リスクを低減する特徴がある。
暗号資産
ブロックチェーン技術を利用したデジタル資産の総称。仮想通貨とも呼ばれる。
持分法適用会社
親会社や出資会社が議決権の20%以上を保有し、影響を及ぼせる企業のこと。
第三者割当増資
特定の第三者に新株を発行し、資金調達を行う方法。
【参考リンク】
KDDI株式会社公式サイト(外部)
日本の大手通信事業者で、auブランドや金融分野でも多様なサービスを展開している公式サイト。
HashPort株式会社公式サイト(外部)
Web3領域でブロックチェーンインフラやウォレット開発を行う日本発の企業公式ホームページ。
Ponta公式サイト(外部)
多くの加盟店で利用できる共通ポイントサービスを提供する公式サイト。
au PAY公式サイト(外部)
KDDIが提供するスマートフォン決済および関連サービスをまとめた公式サイト。
EXPO2025 大阪・関西万博公式サイト(外部)
2025年に大阪で開催される国際博覧会の公式情報を網羅している公式ページ。
【参考記事】
EXPO2025デジタルウォレットがHashPort Walletへリニューアル(外部)
HashPort Walletのリニューアル経緯と万博活用状況の詳細解説(PR TIMES)
KDDI、Pontaでステーブルコイン取引 万博ウォレット開発元に出資へ(外部)
KDDIによるHashPort出資とWeb3分野へのサービス展開を報じる日経の記事。
【編集部後記】
Web3やデジタル資産という言葉がよく聞かれるようになりましたが、今回のKDDIとHashPortの提携は、こうした新しいテクノロジーが「いつか」の話ではなく、日々の生活や経済活動の中に本当に入ってくるタイミングに差し掛かっていることを感じさせます。
もしあなたがPontaやau PAYを普段使っているなら、この動きが自分ごととなる日も遠くはないかもしれません。今後も「Web3」や「分散型」「デジタル資産」といった世界がどんなふうに社会や日常と関わっていくのか、一緒に考えたり感じたりしていけたら嬉しいです。

























