Last Updated on 2024-01-25 10:08 by 荒木 啓介
【ダイジェスト】
北朝鮮による暗号資産(クリプトカレンシー)のハッキング活動が2023年に記録的な高水準に達したことが、ブロックチェーン分析企業Chainalysisの最新報告で明らかになりました。この報告によると、2016年から2023年にかけてのデータを集めた結果、北朝鮮関連の攻撃者が昨年20のクリプトプラットフォームをハッキングしたとされています。これは記録されている期間中で最も多い数です。
北朝鮮関連のハッカーは昨年、10億ドル以上の暗号資産を盗んだとされていますが、これは2022年に記録された17億ドルという最高記録よりは低い金額です。Chainalysisによると、北朝鮮関連のハッキングはここ数年で増加傾向にあり、KimsukyやLazarus Groupといったサイバー諜報グループが様々な悪意のある手法を使って大量の暗号資産を獲得しているとのことです。
また、ブロックチェーンインテリジェンス企業TRM Labsの別の報告では、北朝鮮に関連するハッカーが2023年に少なくとも6億ドルの暗号資産を盗んだとされています。2022年には、FBIが北朝鮮のLazarus GroupがオンラインカジノおよびベッティングプラットフォームStake.comから約4100万ドルの暗号資産を盗んだと確認しました。
昨年11月29日には、米国財務省外国資産管理局(OFAC)が、Lazarus Groupの主要なマネーロンダリングツールである仮想通貨ミキサーのSinbad.ioに対して制裁を科しました。仮想通貨ミキサーは、異なる出所の暗号資産を混合して取引を追跡しにくくするサービスです。OFACは、Sinbad.ioがHorizon BridgeやAxie Infinityのハッキングなどから盗まれた数百万ドルの暗号資産の洗浄をLazarus Groupが行うのを支援していたと述べています。
以前の研究では、北朝鮮関連のハッカーが何百万ドルもの暗号資産を盗み、その資金を同国の核兵器プログラムの資金源として利用していることが明らかにされています。2006年に北朝鮮が初の核実験を行って以来、国連は同国の核活動を支える資金源へのアクセスを制限することを目的とした複数の制裁を科しています。
TRM Labsは1月5日の報告で、「過去2年間だけで約15億ドルが盗まれたことから、北朝鮮のハッキング能力はビジネスや政府からの継続的な警戒と革新を要求している」と述べています。さらに、取引所のサイバーセキュリティの進歩や盗まれた資金の追跡と回収に向けた国際的な協力が進んでいるにもかかわらず、2024年には世界で最も活発なサイバー犯罪者からのさらなる混乱が予想されるとしています。
【ニュース解説】
北朝鮮に関連するハッカー集団が、2023年に暗号資産(クリプトカレンシー)を狙ったサイバー攻撃を過去最高の規模で行ったと、ブロックチェーン分析企業Chainalysisの報告で明らかになりました。この報告によると、昨年だけで20のクリプトプラットフォームがハッキングされ、10億ドル以上の暗号資産が盗まれたとされています。これは、2016年からのデータを基にした記録であり、北朝鮮のハッキング活動が増加傾向にあることを示しています。
北朝鮮のハッカー集団は、KimsukyやLazarus Groupなどの名で知られ、高度なサイバー諜報活動を通じて暗号資産を獲得しています。これらの集団は、様々な手法を駆使してセキュリティを突破し、大量の資産を不正に手に入れているのです。
特に注目されるのは、Lazarus GroupがオンラインカジノStake.comから約4100万ドルの暗号資産を盗んだ事件です。これはFBIによって確認されており、北朝鮮のサイバー攻撃の実態を浮き彫りにしています。また、米国財務省は、Lazarus Groupが使用していたとされる仮想通貨ミキサーのSinbad.ioに対して制裁を科しました。仮想通貨ミキサーは、異なる出所の資産を混ぜ合わせることで、取引の追跡を困難にするツールです。
これらのハッキング活動は、北朝鮮が国際社会からの制裁を受けている中で、核兵器プログラムなどの資金源として利用されていると考えられています。北朝鮮は2006年の初の核実験以来、国連から複数の制裁を受けており、これらのハッキングは制裁を回避するための手段となっているのです。
このような状況は、取引所や政府にとって大きな脅威となっており、サイバーセキュリティの強化や国際的な協力がより一層求められています。TRM Labsの報告では、2024年も北朝鮮によるサイバー攻撃が続く可能性が高いと警鐘を鳴らしています。
このニュースは、暗号資産のセキュリティリスクと国際的な金融犯罪の複雑さを示しており、個人投資家から企業、政府機関に至るまで、幅広い関係者が警戒を強める必要があることを示唆しています。また、暗号資産の取引プラットフォームは、より高度なセキュリティ対策を講じることが急務であり、国際的な規制や監視体制の強化が求められている状況です。
from North Korea crypto hacking activity soars to record high in 2023, new report shows.