Last Updated on 2024-03-29 06:18 by 荒木 啓介
Abridgeという生成AI企業がカリフォルニア州にあるヘルスケアシステム、Sutter Healthとのパートナーシップを発表した。この提携により、Abridgeの臨床文書作成ソフトウェアがSutter Healthの医療従事者に利用可能となる。このソフトウェアは、臨床会話のための生成AIであり、ノートの自動作成によって医療提供者の負担を軽減する。ソフトウェアはSutterのEpic EMRシステムに直接組み込まれる。AbridgeとSutterの提携の目的は、医療提供者の燃え尽き症候群を減少させ、患者体験を向上させることである。
Abridgeは2020年に設立され、シードとシリーズAの資金調達で1500万ドルを獲得した。この資金調達ラウンドはUnion Square VenturesとUPMCが主導し、Bessemer Venture Partners、Pillar、KdT Venturesからも追加資金が提供された。2022年には、同じ投資家グループから1250万ドルのシリーズA-1資金調達を実施した。このラウンドにはAI専門家のYoshua BengioとWhistler Capitalも参加した。ピッツバーグに拠点を置く同社は、Spark Capitalが主導する3000万ドルのシリーズBを発表した。2023年2月、AbridgeはLightspeed Venture Partners、Redpoint Ventures、CVS Health Venturesによって支えられた1億5000万ドルのシリーズC投資を発表した。
また、Abridgeはコネチカット州にあるYale New Haven Healthシステムとのパートナーシップも発表し、その州内の病院で生成AIソリューションを使用する。Sutter Healthは昨年、サンフランシスコに新しいイノベーションセンターを発表し、2017年に設立された同社の研究Hatcheryからの拡張として、ヘルスケアにおける技術革新を探求している。また、カリフォルニア中央海岸へのリーチを拡大するためにサンタバーバラのSansum Clinicを買収し、3月には北カリフォルニアで5つの放射線腫瘍学センターを買収したと発表した。
【ニュース解説】
カリフォルニア州に拠点を置くヘルスケアシステム、Sutter Healthは、臨床文書作成の負担を軽減し、医療提供者の燃え尽き症候群を減少させるとともに、患者体験を向上させる目的で、生成AI企業Abridgeとのパートナーシップを発表しました。この提携により、Abridgeの臨床会話用生成AIソフトウェアがSutter Healthの医療従事者に利用可能となり、SutterのEpic EMRシステムに直接組み込まれます。
Abridgeのソフトウェアは、医療提供者が患者との会話から詳細な指示や要約を書き留める時間が不足している問題に対処するために開発されました。この技術により、医療従事者は患者との対面時間を増やすことができ、より質の高いケアを提供することが可能になります。
この技術の導入は、医療業界における大きな課題である医療提供者の燃え尽き症候群の軽減にも寄与します。医療提供者は、診療以外にも多くの時間を文書作成やその他の管理業務に費やしており、これがストレスの一因となっています。Abridgeのソフトウェアを使用することで、これらの業務が自動化され、医療提供者が本来の医療活動により集中できるようになります。
しかしながら、このような技術の導入には慎重な規制と倫理的な考慮が必要です。患者のプライバシー保護やデータの安全性は最優先事項であり、生成AIによって作成される文書の正確性や信頼性も重要な問題です。また、技術依存が進むことで、医療提供者のスキルが低下する可能性も考慮する必要があります。
長期的には、このような技術の発展と適切な利用が、医療業界における効率性の向上、医療提供者の働きやすい環境の実現、そして何よりも患者ケアの質の向上に寄与することが期待されます。しかし、そのためには、技術の進歩と同時に、倫理的なガイドラインの策定や規制の整備が不可欠です。
from Abridge brings generative AI solution to Sutter Health physicians in California.
“生成AIで医療従事者の負担軽減へ、AbridgeとSutter Healthが提携” への1件のコメント
このニュースは、医療分野における人工知能(AI)の活用が急速に進んでいることを示しています。特に、AbridgeとSutter Healthの提携は、臨床文書作成の自動化を通じて、医療提供者の負担を軽減し、燃え尽き症候群の減少と患者体験の向上を目指しています。このような技術の導入は、医療現場での効率化と質の向上をもたらす大きなポテンシャルを秘めていると考えられます。
私としても、プログラミングや科学技術に大きな関心を持つITエンジニアとして、このような革新的な技術の進歩には非常に興奮しています。臨床会話からの自動文書生成は、技術がどのように実際の問題解決に貢献できるかの素晴らしい例です。医療従事者が医療活動に集中できる環境を整えることは、最終的に患者へのケアの質を高めることに繋がります。
しかし、この技術の導入にあたっては、プライバシー保護やデータの安全性、文書の正確性といった課題も同時に考慮する必要があると感じます。特に、患者情報の取り扱いに関しては、厳格な規制と倫理的な配慮が求められます。また、医療