ソフトバンク、広瀬すず起用の睡眠促進キャンペーン「SLEEP SWIPE GAME」開始

[更新]2025年10月9日08:37

ソフトバンク、広瀬すず起用の睡眠促進キャンペーン「SLEEP SWIPE GAME」開始 - innovaTopia - (イノベトピア)

ソフトバンク株式会社は、2025年10月9日から1週間限定でTikTok上の広告企画「SLEEP SWIPE GAME すずに会ったらもう終わり」を開始する。

広瀬すずが出演し、午後10時から午前5時の深夜時間帯に配信される。ユーザーがスワイプして広瀬すずに出会った瞬間、スマホを閉じて寝ることをルールとする。

ソフトバンクが実施した調査では、日常的にスマホを利用する全国の男女500人のうち、81.6%が寝室にスマホを持ち込み、65.2%がスマホ利用による夜ふかしを経験している。夜ふかし経験者の約8割が1時間以上睡眠時間を削り、73.6%が翌日の集中力やパフォーマンスの低下を実感していることが明らかになった。調査は2025年9月26日から9月30日にかけて、15歳から69歳の男女を対象に実施された。

From: 文献リンク【PRTIMES】ソフトバンク、「スマホとのより良い付き合い方」を考える新しいゲームを開発!? “SLEEP SWIPE GAME” 広瀬すずからの挑戦!「私に出会ったらスマホを閉じて寝てくださいね!」

【編集部解説】

ソフトバンクが今回打ち出した施策は、通信キャリアとしては異例のアプローチといえます。スマートフォンの普及を推進してきた企業が、あえて「スマホを閉じる」ことを推奨するのは、一見すると自己矛盾のようにも映るでしょう。しかし、これは「情報革命で人々を幸せに」という同社の経営理念に立ち返った、長期的視点に基づく判断です。

調査データが示す実態は深刻です。スマホで夜ふかしをした経験者の87.4%が後悔しているにもかかわらず、52.8%が「寝落ち」するまでスマホを手放せていません。この矛盾した行動パターンは、デジタルデバイスがもたらす行動依存の典型例といえます。

特筆すべきは、TikTokというプラットフォームの選択です。縦型動画を次々とスワイプする仕組み自体が、時間を忘れさせる設計になっています。その中毒性の高い動線の中に、あえて「終わりのサイン」を組み込むという逆説的な手法は、ユーザーの無意識的な行動パターンに介入する試みとして注目されます。

午後10時から午前5時という配信時間の設定も戦略的です。日本人の平均睡眠時間は先進国の中でも最短レベルにあり、OECDのデータでも指摘されています。この時間帯にピンポイントでメッセージを届けることで、まさに睡眠を削っている瞬間のユーザーに直接働きかけることができます。

広瀬すずというアンバサダーの起用も計算されています。親しみやすさと説得力を兼ね備えた彼女からの「スマホを閉じて寝てください」というメッセージは、押し付けがましさを感じさせず、むしろゲーム感覚で受け入れられる可能性が高いでしょう。

この施策が示唆するのは、テクノロジー企業の責任のあり方です。製品やサービスを提供するだけでなく、その健全な使い方まで提案する姿勢は、今後のデジタル社会において重要な視点となります。デジタルウェルビーイングという概念が注目される中、通信キャリアが率先して取り組む意義は大きいといえます。

【用語解説】

TikTok
中国のByteDance社が運営する短編動画共有プラットフォームである。縦型動画を上下にスワイプすることで次々とコンテンツが表示される仕組みが特徴で、独自のアルゴリズムによってユーザーの興味に合わせた動画が推奨される。世界中で10億人以上のユーザーを抱える。

デジタルウェルビーイング
デジタルデバイスやサービスの健全な利用を通じて、心身の健康と幸福を維持する概念である。スマートフォンやSNSの過度な使用による睡眠不足、集中力低下、メンタルヘルスへの悪影響を防ぎ、テクノロジーと適切な距離を保つことを目指す。

熟睡の日
10月9日を指す記念日で、一般社団法人睡眠栄養指導士協会が2018年に制定した。「熟」を「じゅ(10)く(9)」と読む語呂合わせに由来し、質の高い睡眠の重要性を啓発する日である。

ブランドアンバサダー
企業やブランドの顔として、商品やサービスの魅力を発信する公式代表者である。広告キャンペーンやイベントに出演し、ブランドイメージの向上と認知度拡大に貢献する役割を担う。

【参考リンク】

ソフトバンク株式会社 公式サイト(外部)
日本の大手通信キャリアであり、モバイル通信サービス、固定通信サービス、インターネット接続サービスなどを提供。企業情報や各種サービス、キャンペーン情報を掲載している。

OECD Gender Data Portal(外部)
OECD(経済協力開発機構)が提供するジェンダーに関するデータポータル。睡眠時間を含む時間の使い方に関する国際比較データを公開している。

【参考動画】

【参考記事】

深夜の“エンドレススマホ”に終止符を。広瀬すずさんに会ったら(外部)
ソフトバンクの公式ニュースサイト。キャンペーンの詳細と、広瀬すずさんのインタビューを掲載。

広瀬すず:パジャマ姿でTikTok深夜限定広告に登場 「私に会ったらスマホ閉じて寝てね」(外部)
ファッション・美容系メディア「毎日キレイ」によるキャンペーン紹介記事。

【編集部後記】

寝る前のスマホ、気づけば1時間、2時間と経ってしまった経験はありませんか。調査では87.4%の人が後悔しながらも、やめられずにいる実態が明らかになりました。私自身も子を持つ親として、家族の就寝後についスマホに手が伸びてしまう気持ちは痛いほどわかります。

テクノロジーは私たちの暮らしを豊かにしてくれる一方で、使い方次第では健康を損なう両刃の剣でもあります。みなさんは深夜のスマホ時間、どのように向き合っていますか。このキャンペーンをきっかけに、自分なりの「終わりのサイン」を見つけてみるのもいいかもしれません。

投稿者アバター
omote
デザイン、ライティング、Web制作を行っています。AI分野と、ワクワクするような進化を遂げるロボティクス分野について関心を持っています。AIについては私自身子を持つ親として、技術や芸術、または精神面におけるAIと人との共存について、読者の皆さんと共に学び、考えていけたらと思っています。

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