Last Updated on 2024-04-19 19:41 by 荒木 啓介
2050年までに地球経済は20%減少する見込みであり、これは2℃の温暖化を制限するための費用の6倍に相当する。経済モデルの仮定や気候科学の不確実性により、環境対策の費用対効果分析には不確定要素が多い。過去40年間の分析により、2050年までに地球経済が20%減少することが示され、富裕な地域では11%の減少にとどまるが、アフリカや南アジアでは22%の減少が予想される。
環境対策の費用として、2℃の温暖化を制限するためには6兆ドルが必要であり、2050年までの環境損害による経済への影響は38兆ドルに上る。短期的な気候変動の影響は、行動を起こす費用よりも大きい。
環境損害による経済への影響は地域によって不均等であり、富裕な地域では減少が11%にとどまるが、アフリカや南アジアでは22%の減少が予想される。環境損害の負担は、それに寄与した国ほど小さい。高緯度地域では経済的利益が見込まれるが、低緯度地域では極端な変化が予想される。
将来の経済への影響を予測することは困難であり、過去の気候変動の影響を分析したものであっても、将来の予測には含まれていない。今後の気候変動による経済への影響は、予測されていない気候イベントや非局所的な影響も考慮する必要がある。再生可能エネルギーや効率化技術の価格低下により、環境対策の費用が大幅に低下する可能性もある。
【ニュース解説】
2050年までに地球温暖化による環境損害が世界経済に与える影響が、経済成長を20%減少させるという研究結果が発表されました。この減少は、2度の温暖化を制限するために必要とされる費用の6倍に相当し、特に富裕な地域では影響が比較的小さく、11%の減少に留まる一方で、アフリカや南アジアなどの地域では22%の大幅な減少が予想されます。この研究は、過去40年間の気候変動と経済成長のデータを分析し、将来の気候変動が経済に与える影響を予測したものです。
この研究結果は、気候変動対策の費用対効果に関する議論に新たな視点を提供します。従来から、気候変動対策の費用が高額であることが問題視されてきましたが、対策を講じない場合の経済への影響が、対策費用を大きく上回ることが明らかになりました。特に、温暖化による影響は地域によって大きく異なり、温暖化の原因となる排出量が少ない国々が、より大きな経済的損失を被る可能性があることが指摘されています。
この研究は、気候変動が経済に与える影響を具体的に示すことで、気候変動対策の重要性を改めて浮き彫りにしています。また、再生可能エネルギーやエネルギー効率化技術の価格低下が進む中、気候変動対策の費用が今後さらに低減する可能性があり、経済的な負担を軽減しつつ、気候変動対策を進めることが可能になるでしょう。
しかし、この研究にはいくつかの限界もあります。例えば、未曾有の気候イベントや非局所的な影響(例えば、ある地域での極端な気象が他地域の供給網に与える影響など)は、分析から除外されています。これらの要因は、将来の経済への影響をさらに悪化させる可能性があります。
総じて、この研究は、気候変動が世界経済に与える深刻な影響を示し、迅速かつ効果的な対策の必要性を強調しています。気候変動対策の費用は高額であるかもしれませんが、対策を講じないことのコストはそれをはるかに上回ることが、この研究によって示されています。
from Environmental Damage Could Cost You a Fifth of Your Income Over the Next 25 Years.