気候変動が住宅市場に暗雲、ローン承認率と資産価値に影響

[更新]2024年6月17日21:28

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気候変動が住宅の投資価値に脅威をもたらし、住宅ローンの承認率が気温の上昇とともに低下している。ローン担当者は気候変動による懸念から資産価値を下げ、海面上昇や自然災害により沿岸の不動産リスクが増加している。銀行は気候リスクを借り手に伝え始めているが、中長期のリスクについての情報は不足している。

銀行は住宅のエネルギー効率が資産価値に影響を与えることに気付き、エネルギー効率の高い住宅はローンの返済能力が高くなるため、銀行にとってメリットがあると認識している。エネルギー効率の高い住宅に対するローン商品が登場し、エネルギー効率の高い住宅へのリフォームには高額なローンが必要な場合がある。

気候変動の影響により、一部の住宅は将来的に価値を失う可能性があり、銀行や保険会社は気候変動によるリスクにさらされる。住宅が被害を受ける地域の住民は安全な場所への移動が必要になる。気候変動による住宅への影響を考慮しない銀行は将来的にリスクに直面する可能性がある。

【ニュース解説】

気候変動が進行する中で、その影響は経済の多くの面に及んでいますが、特に住宅市場における影響が顕著になってきています。気候変動による極端な気象や海面上昇は、多くの不動産の投資価値に脅威をもたらし、これが住宅ローンの承認率の低下につながっています。研究によると、平均気温が1度セルシウス上昇するごとに、ローンの承認率は約1%、その価値は6.5%以上も低下するとされています。この背景には、ローン担当者が気候変動による資産価値の減少を懸念していることがあります。

沿岸部では、海面上昇や自然災害のリスクが高まっており、これにより不動産のリスクが増加しています。例えば、北カロライナ州のアウターバンクスでは、2020年以降、海に飲み込まれる家が増えています。このようなリスクを背景に、金融機関は沿岸部の不動産に対するローンのリスクを回避しようとしています。

一方で、銀行は住宅のエネルギー効率が資産価値に与える影響にも注目し始めています。エネルギー効率の高い住宅は、住宅ローンの返済能力を高めるため、銀行にとって魅力的な資産となります。このため、エネルギー効率の高い住宅への改修を支援するローン商品が登場しています。

しかし、気候変動による影響は、エネルギー効率の向上だけでは対処できない問題をもたらしています。強い嵐、海面上昇、野火、洪水など、より厳しい気候変動の影響に直面する可能性があります。これらの災害のコストを政府がカバーできなくなると、最終的には金融機関や保険会社がリスクにさらされることになります。

このような状況の中で、一部の住宅は将来的に価値を失う可能性があり、その地域の住民はより安全な場所への移動を余儀なくされるかもしれません。銀行や保険会社は、気候変動によるリスクを適切に評価し、対策を講じることが求められています。気候変動による住宅への影響を考慮しない金融機関は、将来的に大きなリスクに直面する可能性があります。

この問題に対処するためには、住宅のエネルギー効率を向上させるだけでなく、気候変動による極端な気象や自然災害から住宅を守るための対策も必要です。また、気候変動によるリスクを考慮した住宅ローンの商品開発や、住宅保険の見直しなど、金融機関によるさまざまな取り組みが求められています。

from Banks Are Finally Realizing What Climate Change Will Do to Housing.


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