Last Updated on 2024-07-06 09:42 by 門倉 朋宏
オレゴン州議会は、ほぼ3対1の比率である42票対13票で、部品のペアリングを対象とした修理権法案を可決した。この法案が成立すれば、オレゴン州は連邦で修理権法案を可決する最初の州ではないが、既存の法律を超える積極的な言語を含んでいる。その結果、製造業者の意見は分かれている。Googleは1月にこの法案を全面的に支持し、オレゴンのモデルを他の州が追随すべきだと述べた。一方、Appleはカリフォルニアの法案を支持する公開書簡を以前に発表していたが、この法案に対しては熱心ではない。特に、両法案の類似点を考えると、その対照は際立っている。オレゴン州の法案は、南の隣州が起草した法案に大きく基づいている。
Appleは、法案に対して主に賛成しているが、「部品のペアリング」と呼ばれる問題点については異議を唱えている。この慣行は、修理されたデバイスが意図した通りに機能するためには、独自のコンポーネントの使用を要求する。Appleは、特に生体認証センサーを第三者が認証なしでデバイスで動作させることを可能にする現在の部品ペアリングの文言について懸念を表明している。これにより、個人のデータへの不正アクセスが可能になり、オレゴン州だけでなく世界中の消費者にとって不利益になると指摘している。
PIRG(公益研究グループ)は、修理権を妨げる最も厄介な障害の一つとして「部品のペアリング」の禁止をFTCに請願している。OPIRGの州ディレクターであるCharlie Fisherは、「電子機器の修理権により、オレゴン州民が個人の電子機器を維持しやすくなる」と述べている。これにより、貴重な自然資源の保護と廃棄の防止が可能になる。
法案は州議会の両院で超党派の支持を受けており、現在、州知事の署名を待っている段階である。
【ニュース解説】
オレゴン州議会は、部品のペアリングを対象とした修理権法案を42票対13票で可決しました。この法案が法律として成立すると、オレゴン州は連邦でこの種の法律を可決する4番目の州となりますが、他の州の法律よりも積極的な内容を含んでいます。この法案に対して、製造業者の間で意見が分かれています。Googleはこの法案を全面的に支持していますが、Appleは一部の内容、特に「部品のペアリング」に関する部分について懸念を表明しています。
「部品のペアリング」とは、修理されたデバイスが意図した通りに機能するために、独自のコンポーネントの使用を要求する慣行のことです。Appleは、この法案により、第三者製の生体認証センサーが認証なしでAppleのデバイスで動作することを許可される可能性があるとして、個人データの不正アクセスのリスクを指摘しています。
一方で、公益研究グループ(PIRG)などの修理権擁護団体は、「部品のペアリング」の禁止を求めており、この法案によりオレゴン州民が個人の電子機器を維持しやすくなり、貴重な自然資源の保護と廃棄の防止が可能になると主張しています。
この法案は、州議会の両院で超党派の支持を受けており、現在、州知事の署名を待っています。法案が成立すれば、消費者はより容易に、かつコスト効率良くデバイスの修理が可能になる一方で、製造業者はセキュリティや品質管理の面で新たな課題に直面することになります。
この法案の成立は、消費者の権利の拡大と環境保護の観点からは大きな一歩となりますが、製造業者にとっては製品のセキュリティやブランドイメージを維持する上での挑戦も伴います。また、この法案が他の州や国における類似の法律制定のモデルとなる可能性もあり、長期的には製造業界全体に影響を与える可能性があります。
from Right to repair bill targeting parts pairing passes Oregon House.
“オレゴン州、修理権法案可決で消費者権利拡大へ! 製造業界は賛否両論” への1件のコメント
オレゴン州におけるこの修理権法案の可決は、消費者の権利と環境保護という観点から見て非常に重要な一歩です。私たちはしばしば、製品が壊れた際に新しいものを購入することを余儀なくされますが、これは環境に対しても経済的にも持続不可能な行動です。この法案は、消費者が自分のデバイスを修理しやすくすることで、製品の寿命を延ばし、廃棄物を減らすことに繋がります。
一方で、Appleのような製造業者がセキュリティや個人データの保護に関して懸念を表明していることも理解できます。生体認証センサーなどの高度な技術を持つデバイスの修理には、特に注意が必要です。第三者による修理がセキュリティを損なう可能性がある場合、そのリスクは明確に認識されるべきです。しかし、それは修理権を制限する理由にはならないと考えます。むしろ、安全な修理が可能となるよう、メーカーと修理業者が協力する新たな枠組みの構築が求められます。
修理権法案の成立は、製造業者にとっても新たな機会を提供します。消費者との信頼関係を強化し、持続可能な製品を提供する企業としてのイメージを確立することが