資生堂、生成AIチャットボットを店頭導入|業務効率化で顧客体験向上へ

[更新]2025年10月1日08:43

資生堂、生成AIチャットボットを店頭導入|業務効率化で顧客体験向上へ - innovaTopia - (イノベトピア)

資生堂ジャパン株式会社は、店頭でお客に応対するパーソナルビューティーパートナーが使用する端末機器「ビューティー・タブレット」において、生成AIを活用したチャットボットの使用を開始した。

資生堂インタラクティブビューティー株式会社、アクセンチュア株式会社との3社でプロジェクト体制を組み開発を進め、2025年7月から本格導入している。このAIチャットボットは多岐にわたる商品・ブランド・プロモーション情報について自然言語で検索可能で、複数要素を含む問い合わせにも瞬時に回答する。

従来は営業担当や内勤スタッフへの問い合わせが必要だった社内ルールや施策などの資料検索が、チャットボット活用により効率化される。技術基盤にはアクセンチュア社の「Accenture AI Powered Back Office」を採用した。

同社は企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」のもと、デジタルトランスフォーメーションを加速させてパーソナルな美容体験を提供する。

From: 文献リンク【PRTIMES】資生堂ジャパン、店頭活動の効率化とお客さま満足向上を目指し、生成AI活用した独自のチャットボットを導入 ~パーソナルビューティーパートナーの情報検索端末を進化~

 - innovaTopia - (イノベトピア)

【編集部解説】

資生堂の今回の取り組みは、化粧品業界における生成AI活用の先進事例として注目に値します。特筆すべきは、単なる顧客向けサービスではなく、現場スタッフの業務効率化に焦点を当てた点です。

従来の化粧品販売現場では、パーソナルビューティーパートナーが商品情報や社内ルールを調べる際、複数のシステムを横断的に検索したり、営業担当者への問い合わせが必要でした。これが顧客対応時間の圧迫要因となっていたのです。

生成AIチャットボットの導入により、自然言語での複合的な問い合わせが可能になりました。例えば「敏感肌向けで保湿力が高く、20代前半におすすめのファンデーション」といった複数条件を含む質問にも瞬時に回答できるようになります。

この変化がもたらすポジティブな影響は大きく、顧客との対話時間が増加し、よりパーソナライズされた美容体験を提供できるようになります。一方で、AIに過度に依存することで、スタッフの専門知識習得や経験値蓄積の機会が減少する懸念もあります。

長期的な視点では、この取り組みが化粧品業界全体のDX推進を加速させる可能性があります。顧客ニーズの多様化・高度化に対応するため、他社も同様のAI活用に取り組むことが予想されます。

【用語解説】

パーソナルビューティーパートナー(PBP)
資生堂が独自に導入している美容アドバイザーの職種名称である。店頭で顧客の肌悩みや美容ニーズに応じて、最適な商品提案やメイクアドバイスを行う専門スタッフを指す。

ビューティー・タブレット(B-TAB)
資生堂のパーソナルビューティーパートナーが店頭で使用する専用端末機器である。商品情報検索や顧客データ参照などの業務に活用され、今回生成AIチャットボット機能が新たに搭載された。

自然言語処理
人間が日常的に使用する言語をコンピューターが理解・処理する技術である。今回のチャットボットでは、複雑な問い合わせ文も瞬時に解析し適切な回答を生成する。

DX(デジタルトランスフォーメーション)
企業がデジタル技術を活用して業務プロセスや顧客体験を根本的に変革することである。単なるIT化を超えた組織全体の変革を意味する。

【参考リンク】

資生堂ジャパン株式会社(外部)
日本最大級の化粧品メーカーで、1872年創業の老舗企業。グローバルに展開し、スキンケアからメイクアップまで幅広い美容商品を展開している。

アクセンチュア株式会社(外部)
世界最大級のコンサルティング・IT企業で、AI技術やデジタル変革支援を主力サービスとする。今回のプロジェクトでは技術基盤を提供した。

【参考記事】

資生堂、接客用タブレットで生成AIチャットボットを活用(外部)
IT業界専門メディアによる解説記事で、技術的側面から資生堂のAI活用事例を分析し、化粧品業界のDX推進における意義を論じている。

資生堂ジャパン、店頭での接客応対にAIエージェント導入(外部)
AI専門メディアによる報道で、今回の導入が美容業界全体のAI活用トレンドに与える影響について詳細に分析している。

生成AIが変える美容業界:海外成功事例から見る未来の顧客体験(外部)
海外の美容業界におけるAI活用事例を紹介し、日本市場への影響や今後の展望について詳しく解説している記事。

【編集部後記】

今回の資生堂の事例を拝見して、私たち自身も改めて考えさせられました。美容サービスの現場でAIが活躍する一方で、「人だからこそできる共感や体感」という資生堂の言葉にあるように、テクノロジーと人の温かみのバランスが重要になりそうです。

皆さんは店頭での美容相談を受ける際、AIのサポートを受けたスタッフからのアドバイスと、従来通りの対応とで何か違いを感じるでしょうか?また、化粧品選びにおいてAIの提案をどの程度信頼できそうでしょうか?こうした新しい美容体験について、ぜひ皆さんのご意見もお聞かせください。

投稿者アバター
omote
デザイン、ライティング、Web制作を行っています。AI分野と、ワクワクするような進化を遂げるロボティクス分野について関心を持っています。AIについては私自身子を持つ親として、技術や芸術、または精神面におけるAIと人との共存について、読者の皆さんと共に学び、考えていけたらと思っています。

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