Last Updated on 2024-09-19 06:15 by 門倉 朋宏
Qualcommは2024年第1四半期の決算報告で、アナリストの予想を上回る結果を発表しました。同社のスマートフォン用チップセットの売上が前年比16%増の66億9000万ドルに達し、2年間の市場低迷後の回復の兆しを示しました。この結果、株価は時間外取引で約3%上昇しました。
決算詳細によると、調整後の1株当たり利益は2.75ドルで、市場予想の2.37ドルを上回りました。調整後の収益は99億2000万ドルで、予想の95億1000万ドルを超えました。現在の四半期について、Qualcommは調整後の1株当たり利益を1.73ドルから1.93ドル、収益を89億ドルから97億ドルと予想しています。
純利益は前年同期比24%増の27億7000万ドル(1株当たり2.48ドル)でした。Qualcommはスマートフォンチップの大手メーカーとして知られており、CEOのCristiano Amonの下で、PC、自動車、仮想現実ヘッドセットなど、スマートフォン以外の市場への技術応用を進めています。
また、Samsungの高級GalaxyスマートフォンがQualcommのプロセッサを使用していることが明らかにされ、今後数年間このビジネスが続くことが期待されています。一方で、インターネットオブシングス(IoT)事業部門の売上は32%減の11億3000万ドルでした。
自動車向けチップの販売に力を入れているQualcommは、自動車事業部門からの売上が前年比31%増の5億8900万ドルを報告しました。チップ販売事業全体であるQCTからの収益は前年比7%増の84億2000万ドルでした。しかし、ライセンス事業部門QTLの収益は前年比4%減の14億6000万ドルでした。
四半期中にQualcommは株式の買い戻しに8億ドル、配当に9億ドルを支出しました。
【ニュース解説】
Qualcommが2024年第1四半期の決算報告で、アナリストの予測を上回る好成績を発表しました。特に注目されるのは、スマートフォン用チップセットの売上が前年比16%増加し、66億9000万ドルに達したことです。これは、過去2年間の市場の低迷からの回復を示唆する重要な指標となります。
この好調な結果は、スマートフォン市場全体の需要の回復を示しており、Qualcommの技術が引き続き業界で高く評価されていることを物語っています。特に、Samsungのような大手スマートフォンメーカーがQualcommのプロセッサを採用していることは、同社の技術力と市場での地位の強さを示しています。
しかし、Qualcommはスマートフォンチップの製造に留まらず、PC、自動車、仮想現実ヘッドセットなど、他の市場への技術応用を進めています。これは、同社が一つの市場に依存するリスクを分散し、将来の成長機会を模索していることを示しています。
自動車向けチップの販売は特に注目される分野で、前年比31%増の売上を記録しました。自動車業界は、自動運転技術やコネクテッドカーなどの新技術の導入により、大きな変革期を迎えており、Qualcommはこの市場で重要な役割を果たす可能性があります。ただし、自動車部品の認証サイクルが長いため、この分野での収益は長期的な視点で考える必要があります。
一方で、インターネットオブシングス(IoT)事業部門の売上が32%減少したことは、同社にとって課題となる可能性があります。IoT市場は依然として成長が見込まれる分野であるため、この減少が一時的なものか、それとも市場の変化に対する適応の遅れを示しているのかが今後の焦点となります。
Qualcommの今回の決算報告は、スマートフォン市場の回復とともに、自動車やIoTなどの新たな市場への進出が進んでいることを示しています。これらの分野での成功は、同社の長期的な成長に大きく寄与する可能性がありますが、新たな市場への挑戦はリスクも伴います。今後、Qualcommがこれらの課題をどのように乗り越え、成長を続けていくかが注目されます。
from Qualcomm earnings beat estimates as smartphone chip sales suggest recovery.