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モバイルバッテリー機内発火が2025年15件発生、中国が3C認証義務化で航空安全強化

モバイルバッテリー機内発火が2025年15件発生、中国が3C認証義務化で航空安全強化 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-06-30 18:39 by さつき

2025年、中国の航空機内でモバイルバッテリーが発火・煙を発生させる事件が15件発生した。

中国民航科学技術研究院の専門家は、密閉された機内での消火設備の不足と有毒ガスの危険性を指摘した。この状況を受け、中国民航局は6月26日に緊急通知を発表し、6月28日から3C標識がない、3C標識が不鮮明、リコール対象のモバイルバッテリーの国内線機内持ち込みを禁止した。

2024年8月1日から中国では3C認証のないモバイルバッテリーの販売が法的に禁止されている。法律問題専門家の岳屾山氏によると、販売業者が3C認証なしで販売すれば製品品質法違反となるが、消費者は理論上リコール対象外の製品を使用可能である。ただし公共交通機関利用時は規定に従う必要がある。

今年に入り複数の大手ブランドがリチウム電池の安全リスクを理由に製品をリコールし、国家市場監督管理総局は複数メーカーの3C認証を取り消しまたは一時停止した。6月10日には山東航空SC1160便で乗客のモバイルバッテリーから煙が発生する事故も起きている。民航局は国際的な危険物品安全航空輸送技術細則に従い、より厳格な管理統制措置を実施することを決定した。

From: 文献リンク今年已发生 15 起充电宝在飞机上起火冒烟,处理方式成难点

【編集部解説】

今回の中国での航空機内モバイルバッテリー発火事件は、世界的な航空安全の課題を浮き彫りにしています。中国民航科学技術研究院の楊強主任は「新たな規則によって3C認証とリコール品管理を実施すれば、90%以上の安全リスクを排除できる」と説明しており、技術的な対策の有効性を示しています。

この問題の深刻さは、2025年上半期だけで前年同期比倍増という数字からも明らかです。特に問題となるのが「熱暴走」と呼ばれる現象で、電池が損傷を受けたり、粗悪品や偽造品が使用されたりすると、電池が制御不能な状態でエネルギーを放出し、煙や火災、最悪の場合は爆発を引き起こします。

密閉された機内環境では、消火設備が限られており、有毒ガスの拡散も深刻な問題となります。楊強主任が指摘するように「客室は密閉空間であり、消火設備も限られており、有毒ガスの拡散リスクも高い」状況では、地上よりもはるかに対処が困難になります。

この問題は中国だけでなく、アジア全体に波及しています。台湾では2025年3月1日からエバー航空とチャイナエアラインが全便でモバイルバッテリーの機内使用と充電を禁止しました。韓国でも主要航空会社7社が座席上部の荷物棚への保管を禁止する措置を取っています。

中国の3C認証制度強化は、製造段階での品質管理を徹底することで根本的なリスク軽減を図る戦略です。しかし、規制実施初日の6月28日には多くの乗客が空港でモバイルバッテリーを廃棄せざるを得ない状況が発生しており、消費者への周知不足も課題となっています。

長期的な視点で見ると、この問題は単なる規制強化では解決しません。電池技術の根本的な改良、より安全な代替技術の開発、そして利用者の安全意識向上が不可欠です。航空業界のデジタル化が進む中で、安全性と利便性のバランスをいかに取るかが、今後の重要な課題となるでしょう。

【用語解説】

3C認証(CCC認証)
中国強制性製品認証制度(China Compulsory Certification)の略称。中国で製品を販売する際に法的に義務付けられた安全認証制度で、2002年から施行されている。消費者保護と人体・財産の安全維持を目的とし、対象製品は認証マークと認証書の取得が必要である。

熱暴走(サーマルランナウェイ)
リチウムイオン電池が制御不能な状態でエネルギーを放出する現象。電池の損傷や粗悪品使用により発生し、煙や火災、最悪の場合は爆発を引き起こす。密閉された機内環境では特に危険とされる。

楊強
中国民航科学技術研究院危険品センターの主任。航空安全技術の専門家として、リチウム電池の航空輸送リスクについて研究・提言を行っている。

岳屾山
中国の法律問題専門家。製品品質法や消費者権利保護に関する法的見解を提供し、メディアでの解説活動を行っている。

【参考リンク】

中国強制性製品認証制度 – 日本認証株式会社(外部)
中国で製品を生産・販売する際に必要なCCC認証制度について詳細に解説している専門サイト

【参考動画】

【参考記事】

モバイルバッテリーの機内持ち込み制限を緊急追加、空港で廃棄する乗客も(外部)
中国民航局の緊急規制実施後の空港での状況を詳細に報道

中国国内線で「3C」マークのないモバイルバッテリー持ち込み禁止(外部)
中国民航局の新規制について簡潔にまとめた記事

機内で乗客のモバイルバッテリーから煙―中国(外部)
6月10日に発生した山東航空SC1160便でのモバイルバッテリー発煙事故について詳細に報道

【編集部後記】

皆さんは普段、どのようなモバイルバッテリーを選んでいますか?価格の安さに惹かれて購入したものが、実は安全性に問題があるかもしれません。

今回の中国での事例は決して他人事ではなく、日本でも同様のリスクが潜んでいる可能性があります。お手持ちのモバイルバッテリーに適切な認証マークはついているでしょうか?また、機内での使用時に何か気をつけていることはありますか?私たちの日常に欠かせないデバイスだからこそ、安全性について一緒に考えてみませんか?

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TaTsu
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