TOPPANデジタル、安全パトロールをスマホアプリで効率化する「巡回点検サポート」提供開始

[更新]2025年10月3日08:23

TOPPANデジタル安全パトロールをスマホアプリで効率化する巡回点検サポート提供開 - innovaTopia - (イノベトピア)

TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPANデジタル株式会社は、2025年10月2日より企業向け安全パトロール効率化サービス「巡回点検サポートpowered by PosRe」の提供を開始した。

本サービスは、2022年5月から提供している自治体向けまちの情報集約・発信サービス「PosRe」を民間向けに展開したものである。労働安全衛生法で定められたオフィスや工場内の定期的な巡回点検を専用スマートフォンアプリで実施でき、点検箇所の位置情報、テキスト、画像を送信する機能により、紙の点検表への記入やパソコンへのデータ入力の手間を削減する。

価格は初期費用15万円から、運用費用は月額1万円から(3ID)である。TOPPANデジタルは2028年度までに100社への導入と、PosReシリーズ全体で約10億円の売上を目指す。

From: 文献リンクTOPPANデジタル、オフィスや工場の安全パトロールを効率化する「巡回点検サポートpowered by PosRe」の提供開始

【編集部解説】

このニュースは、自治体向けに開発された技術を民間企業に転用する「逆方向のDX展開」という点で注目に値します。通常、テクノロジーは民間企業で開発され、その後公共セクターへ波及していくパターンが一般的ですが、本事例はその逆の流れを示しています。

労働安全衛生法では、常時50人以上の労働者が働く事業所に対して安全管理者の選任を義務付けており、この管理者は定期的な巡回点検や課題管理、記録作成といった多岐にわたる業務を担当します。しかし実態としては、こうした法定業務が今なお紙ベースで運用されている事業所が多く、記載ミスの発生や過去の点検結果の集約に膨大な時間がかかるという課題を抱えています。

デジタル庁が推進するアナログ規制の見直しにより、目視規制や定期検査・点検のデジタル化が加速している中、本サービスはこの流れに沿った実用的なソリューションと言えるでしょう。特に建設業界では、ICTを活用した遠隔巡視の要望が高まっており、厚生労働省も2024年6月にデジタル技術の活用を認める通知を出しています。

専用アプリがオフライン対応している点は、工場など電波環境が悪い現場でも運用可能という実用性の高さを示しています。また、位置情報と写真を紐づけた課題管理機能により、改善前後の比較が容易になり、PDCAサイクルの可視化が実現します。

価格設定も初期費用15万円、運用費用月額1万円からと、中小企業でも導入しやすい水準に抑えられています。TOPPANデジタルが2028年度までに100社、PosReシリーズ全体で約10億円の売上を目指している点から、同社がこの領域を戦略的な成長分野と位置づけていることが読み取れます。

【用語解説】

PosRe(ポスレ)
TOPPANデジタルが2022年5月から提供している自治体向けまちの情報集約・発信サービスである。SNSからの住民投稿やセンサーから収集した情報を一元管理し、公式LINEやウェブサイトから情報発信を行う。

ASPサービス
Application Service Providerの略称で、インターネット経由でアプリケーションソフトを提供するサービス形態である。システムを個別開発する必要がなく、低コストで導入できる利点がある。

【参考リンク】

TOPPANデジタル株式会社(外部)
TOPPANホールディングスのグループ会社で、DX技術を活用したソリューションを提供。データ分析やコンサルティング、先端技術の研究開発を行っている。

巡回点検サポートpowered by PosRe(外部)
労働安全衛生法に基づくオフィスや工場の安全パトロール業務を効率化する専用スマートフォンアプリサービス。初期費用15万円から、月額1万円から利用可能。

まちの情報集約・発信サービス「PosRe」(外部)
自治体向けに開発された情報管理プラットフォーム。IoT通信インフラと連携してセンシングデータの管理・発信が可能で、住民の声を効率的に収集・管理できる。

厚生労働省 労働安全衛生(外部)
労働安全衛生法の概要や労働災害防止に関する国の取り組みを説明する厚生労働省の公式ページ。事業者が守るべき基準や具体的措置が記載されている。

【参考動画】

【参考記事】

特定元方事業者による作業場所の巡視に係るデジタル技術の活用について(外部)
厚生労働省が2024年6月に建設業におけるデジタル技術を活用した遠隔巡視を認める通知を発出。ICTを活用した労働災害防止対策の推進が図られている。

TOPPANデジタル、まちの情報集約・発信サービス「PosRe」で防災プランの提供を開始(外部)
TOPPANデジタルが2024年10月からPosReに防災プランを追加。月額利用料は13.2万円から。2028年度までにPosReおよび関連サービスで10億円の売上を目指している。

【編集部後記】

実は私も昔、衛生管理者として安全管理者として月一回の会議と巡回をしていたことがあります。専任とはいえ、普段は違う業務をしているわけで、安全会議の議事録やパトロールの日誌などは使うたびに引っ張り出す始末でした。

なので、このアプリはいいねぇ、と心から思います。当時の私のような担当者にとって、業務負荷がどれだけ軽くなることか。現場の安全を守りながら効率化も実現する、テクノロジーの可能性を改めて感じさせてくれるニュースでした。

投稿者アバター
TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

読み込み中…
advertisements
読み込み中…