BloombergのMark Gurmanが、Appleの今後3年間のiPhone戦略を報告した。2025年9月には超薄型のiPhone Airが登場し、16eに続きC1チップを搭載する予定である。
2026年秋には初の折りたたみiPhoneが登場すると予想される。iPhone FlipまたはiPhone Foldと呼ばれるこのデバイスは、本のように開く設計で4つのカメラ(前面1つ、内側1つ、背面2つの計4カメラ)を搭載する。厚さは折りたたみ時9-9.5mm、展開時4.5-4.8mmになる見込みで、薄型化のためFace IDではなくTouch IDを採用する。SIMカードスロットは廃止され、社内製モデムに依存する。価格はAndroid折りたたみスマホと同様に高額になると予想され、Galaxy Z Flip 7が1,099ドル、プレミアムモデルは2,000ドル近くに達する。
2027年にはiPhone20周年を記念してデザインが刷新され、2020年以降の角ばった角から曲面ガラスエッジに変更される。これはiOS 26の新しいLiquid Glassインターフェースと連動する予定である。
【編集部解説】
Appleの折りたたみスマホ参入は、停滞気味の折りたたみ市場に劇的な変化をもたらす可能性が高いと考えられます。TrendForceによると2025年の世界市場は1980万台(浸透率1.6%)に留まる見込みです。
競合状況の再編が加速
現在Samsung(35.4%)が首位を保っているものの、Huawei(34.3%)、Honor(9.1%)、Lenovo(7.6%)の急成長により寡占構造が崩壊しつつあります。特に中国市場では既にSamsungの独占体制が終焉し、複数ブランドが競合する状況となっています。Appleの参入はこの流れを更に加速させ、「iPhone効果」により市場全体の認知度向上と需要創出が期待されます。
技術的差別化の新局面
iPhone Foldの5カメラ構成は、従来の「開けば使える」から「開いても閉じても完全に機能する」へのパラダイムシフトを示しています。Samsung Galaxy Z Fold 7が3カメラに留まる中、AppleはカメラシステムでAndroid勢を上回る仕様を投入する戦略です。Touch IDの復活も、薄型化(4.5-4.8mm展開時)というハードウェア制約を逆手に取った巧妙な差別化といえるでしょう。
価格競争の新段階
市場価格は1,099-2,000ドル台で推移していますが、iPhone Foldの「2,000ドル近く」という価格設定は絶妙なポジショニングを狙っています。Samsung Galaxy Z Fold 7(2,000ドル)と同価格帯でありながら、Appleエコシステムという付加価値により差別化を図る構造です。
2026-2027年の市場転換点
C1セルラーモデムの採用は単なる部品調達の問題を超え、5G/6G時代の通信最適化とAppleの垂直統合戦略を象徴しています。2027年の20周年デザイン刷新と併せて、iPhoneの根本的進化が始まろうとしています。市場予測では2027年までに折りたたみスマホが全体の3-4%を占める見込みで、ニッチからメインストリームへの転換点となりそうです。
Appleの参入により、折りたたみスマホは「技術デモ」から「実用的選択肢」へと進化し、スマートフォン業界全体の競争構造を根本から変える可能性が高いと考えられます。
【用語解説】
iPhone Fold:Appleが2026年に発売予定とされる同社初の折りたたみスマートフォン。本のように開く設計でiPhone FlipまたはiPhone Foldと呼ばれている。
C1モデム:Appleが初めて自社開発したセルラーモデムチップ。iPhone 16eに初搭載され、Qualcommからの脱却を目指す重要な技術。
Liquid Glass:iOS 26で導入される新しいユーザーインターフェース。ガラスの光学特性と流動性を組み合わせ、半透明で層状の外観を実現する。
セルラーモデム:スマートフォンの通信機能を担うチップセット。複数のチップで構成され、無線信号の送受信や変調・復調を行う。
Mark Gurman:BloombergのApple担当記者で、同社の製品情報に関する信頼性の高いリーク情報を提供することで知られる業界アナリスト。
【参考リンク】
【参考記事】
1. TrendForce: Accelerated Brand Expansion Reshapes Foldable Phone Market
TrendForceによると、2025年の折りたたみスマホ出荷台数は1,980万台(市場浸透率1.6%)に達し、2024年と同水準を維持する。Samsungが35.4%でトップシェアを維持するものの、Huawei(34.3%)、Honor(9.1%)、Lenovo(7.6%)の急成長により競争が激化。Appleの2026年参入が市場の転換点となる可能性を指摘。
Appleの2026年後半の折りたたみデバイス投入により、市場浸透率が2025年の1.6%から2027年には3%超に上昇する見込み。ヒンジ技術の標準化と一体型設計への進化により、より薄く軽量なデバイスの実現が可能となり、競争の焦点がヒンジ技術に移行していると分析。
3. CNET: Foldable iPhone Will Launch September 2026 for a Cool $1,999, Report Says
JPMorganの予測によると、AppleはiPhone 18ラインアップの一部として2026年9月に初の折りたたみiPhoneを1,999ドルで発売。これによりAppleに650億ドルの市場機会をもたらし、2028年までに約4,500万台の販売を見込む。現在の折りたたみスマホ市場は年間約1,900万台規模。
4. Fortune: Apple’s first foldable phone is set for 2026 and UBS thinks it could be a hit
Appleの参入により折りたたみデバイスの普及が加速し、スマートフォンだけでなくタブレットやノートブックでも中長期的な成長が期待される。成熟したサプライチェーンと技術を活用した後発参入により、コスト管理と洗練された製品提供が可能。現在の市場は高価格と耐久性への懸念で成長鈍化しているが、Appleのブランド力とエコシステム統合が再活性化の触媒となる可能性。
5. MacRumors: JPMorgan: Foldable iPhone to Launch in September 2026
JPMorganによると、Appleは2026年9月にiPhone 18ラインアップの一部として初の折りたたみiPhoneを発売予定。1,999ドルの価格設定で、7.8インチの内向き折りたたみ式ディスプレイ、5.5インチの外部ディスプレイ、チタンシャーシ、リキッドメタルヒンジ、Touch ID搭載。2027年に低位桁台の百万台、2028年までに約4,500万台の販売を予測。
6. Technology Magazine: Can Apple’s Foldable iPhone Compete With Google & Samsung?
Appleが2026年末に初の折りたたみiPhoneを発表予定だが、Samsung主導で7年の歴史を持つ市場への後発参入となる。2023年時点で主要市場での折りたたみデバイス所有率はわずか1%で、Samsung自体も販売目標を下回る状況。しかし、Appleは技術の完成度とタイミングを重視する戦略で、中国市場での27%成長を狙う。最低2,000ドルの価格設定で収益最大化を図る。
7. TS2 Tech: Flip Phones Are Back – Apple’s Foldable iPhone Sparks a Smartphone Revolution
Apple初の折りたたみiPhoneは2026年のiPhone 18ラインアップの一部として登場予定。7.8インチ柔軟ディスプレイ、1,999ドル価格、チタン製「リキッドメタル」ヒンジ、表示折り目の大幅軽減を特徴とする。業界予測では2027-2028年に折りたたみスマホ販売が4,500-5,000万台に急拡大する見込み。Samsungが79%のシェアを持つ市場にAppleが参入することで、消費者の新デザインへの需要が加速すると予測。
【編集部後記】
折りたたみiPhoneはどんな使い勝手になるのでしょうか。開くたびに大画面でのマルチタスクや動画視聴を楽しめる一方、耐久性や故障リスク、重さ・厚み、Face ID非搭載といった課題も指摘されます。高額価格をどう受けとめるか、タブレットとの使い分けはどうなるか。あなたなら「折りたたみ」デザインに何を期待しますか?