Last Updated on 2024-07-06 10:22 by 門倉 朋宏
研究チームが角度依存のホログラムを可能にするメタサーフェス技術を開発した。この技術は、観察者の視点に基づいて複数の画像を表示するホログラムを実現する。この成果は、浦項科学技術大学院大学(POSTECH)の機械工学部と化学工学部の教授であるJunsuk Rhoと、機械工学部の博士課程学生Joohoon Kimによって達成された。
メタサーフェスは、光の特性を正確に操作できる人工ナノ構造であり、非常に薄く軽量であるため、仮想現実や拡張現実デバイスなどの小型ディスプレイへの応用が期待されている。この技術を用いて、特定の角度で特定の位相の情報のみを伝達することにより、入射角に基づいて異なる画像を生成するシステムが開発された。実験では、+35度と-35度の角度で左円偏光に対して異なる3Dホログラフィック画像を生成するメタサーフェスが作成された。
このホログラフィックディスプレイは、70度(±35度)の広い視野角を実現し、観察者がさまざまな方向から三次元ホログラムを認識できるようにした。研究を主導したJunsuk Rho教授は、多角度からの効果的なディスプレイを実現したと述べ、この技術が仮想現実や拡張現実ディスプレイ、暗号化イメージング、情報記憶などの技術の商業化に貢献することを期待している。この研究は、POSCO-POSTECH-RIST融合研究センタープログラム、韓国科学技術情報通信部が資金提供するSTEAM研究プログラム、および韓国貿易産業エネルギー省のAlchemistフェローシップの支援を受けて行われた。
【ニュース解説】
浦項科学技術大学院大学(POSTECH)の研究チームが、観察者の視点によって異なる画像を表示できる角度依存のホログラムを実現するメタサーフェス技術を開発しました。この技術は、光の特性を精密に制御できる人工ナノ構造であるメタサーフェスを用いています。メタサーフェスは非常に薄く、人間の髪の毛の約百分の一の厚さであり、その軽量性と薄さから、仮想現実や拡張現実デバイスなどの小型ディスプレイへの応用が期待されています。
この技術により、特定の角度でのみ特定の位相の情報を伝達することが可能になり、これによって観察者の位置に基づいて異なる画像を表示することができます。研究チームは、+35度と-35度の角度で左円偏光に対して異なる3Dホログラフィック画像を生成するメタサーフェスを作成しました。このホログラフィックディスプレイは、70度(±35度)の広い視野角を持ち、観察者がさまざまな方向から三次元ホログラムを見ることができます。
この技術の応用可能性は広く、仮想現実や拡張現実ディスプレイ、暗号化イメージング、情報記憶など、多岐にわたります。特に、仮想現実や拡張現実デバイスにおいては、よりリアルで没入感のある体験を提供することが可能になるでしょう。また、暗号化イメージングや情報記憶においては、特定の角度からのみ情報を読み取ることができるため、セキュリティの向上に寄与する可能性があります。
しかし、この技術の実用化にはいくつかの課題も存在します。例えば、メタサーフェスの製造コストや、大量生産における品質の均一性の確保などが挙げられます。また、広範な応用には、さらなる研究開発が必要であり、特に人間の目に安全であることや、長時間使用しても疲れにくいディスプレイの開発が求められます。
長期的な視点では、この技術はデジタルコンテンツの表示方法に革命をもたらす可能性があります。例えば、教育や医療、エンターテイメント分野での応用により、より直感的で理解しやすい情報の提供が可能になるかもしれません。また、将来的には、この技術がさらに進化し、現実と仮想の境界を曖昧にするような新しい体験を生み出すことも考えられます。
このように、メタサーフェスを用いた角度依存のホログラム技術は、多くの可能性を秘めていますが、その実現にはさらなる研究と技術開発が必要です。今後の進展に期待が寄せられています。
from Angle-dependent holograms made possible by metasurfaces.
“メタサーフェス技術で視点に応じたホログラム実現、POSTECH研究チームが開発” への1件のコメント
このメタサーフェス技術による角度依存のホログラムの開発、非常に興味深い話ですね。私のような電気店を経営している立場からすると、こうした最先端技術が実用化され、さまざまな製品に応用されることは大きなビジネスチャンスになり得ます。特に、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)デバイスへの応用は、今後の市場を大きく広げる可能性がありますね。
福岡県のような地方都市では、こうした最新技術を取り入れた製品が普及するまでに時間がかかることがありますが、その一方で、地域の祭りやイベントでこの技術を活用したアトラクションなどが登場すれば、地域振興にも繋がるかもしれません。例えば、伝統的なお祭りにホログラフィック技術を融合させた展示があれば、若い世代の興味を引きつけることができ、地元の魅力を再発見するきっかけにもなり得ます。
しかしながら、記事にもあるように、この技術の実用化にはまだ課題が残されています。製造コストの問題や、長時間の使用における人間の目への安全性など、解決しなければならない問題が多いようです。これらの問題が解決され、一般の消費者が手に取