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bHaptics新世代ハプティクスベスト詳細レビュー|VRゲームに革新的な触覚体験

 - innovaTopia - (イノベトピア)

UploadVRが韓国のハプティクス技術企業bHapticsの新世代ハプティクスベスト3製品をレビューした。bHapticsは2015年に設立され、大田(テジョン)広域市に本社を置く企業である。

同社は2024年11月12日にTactSuit Pro、TactSuit Air、TactSleeveを発表し、11月27日から出荷を開始した。TactSuit Proは32個のERMモーター搭載で現在650ドルでセール中、TactSuit Airは16個のERMモーター搭載で現在400ドル未満でセール中である。TactSleeveは腕ごとに3個のモーターを持ち199ドルで販売される。両ベストともBluetooth接続とワイヤード接続に対応し、Meta QuestやSteamVRなど主要VRプラットフォームをサポートする。bHapticsは300以上のVRゲームでネイティブサポートを提供している。レビューではTactSuit Airが約1.1キログラム、Proが約1.8キログラムの重量であることが確認された。同社はMetaの「Made for Meta」プログラムの初のハプティクスソリューションパートナーでもある。

From:
文献リンクbHaptics TactSuit Air, TactSuit Pro & TactSleeve Review

【編集部解説】

bHapticsの新世代ハプティクスベストについて理解するには、まず「ハプティクス」という技術の重要性を把握する必要があります。これは視覚・聴覚に加えて触覚を仮想環境に持ち込む技術で、VRの没入感を劇的に向上させる「第三の感覚」とも呼ばれています。

今回のレビュー結果は、ハプティクス技術がついに実用レベルに達していることを示しています。特に300以上のゲームでネイティブサポートが提供されているという事実は、この技術が実験段階を脱し、本格的な普及期に入ったことを意味します。

市場規模の観点から見ると、ハプティクス技術市場は2024年の43億ドルから2034年には71億ドル規模まで成長すると予測されており、bHapticsはこの成長市場で重要なポジションを占めています。同社の主要競合企業には、エンタープライズ向けハプティクスグローブを手がけるHaptXや、空中ハプティクス技術のUltraleapなどがありますが、コンシューマー向けフルボディハプティクスではbHapticsが先行しています。

技術的な観点では、TactSuit ProとAirの価格差(650ドル対400ドル未満)は、ハプティクス技術の段階的普及戦略を示しています。これまで高価な研究用機器だった触覚フィードバックデバイスが、一般ゲーマーにも手の届く価格帯まで降りてきました。特にAirモデルの400ドル未満という価格設定は、ハプティクス技術の民主化における重要なマイルストーンと言えるでしょう。

一方で、課題も明確です。レビューでは1時間程度で熱蓄積による不快感が生じることや、TactVisorの実用性に疑問符がついていることが指摘されています。これらは技術的制約というより、人体工学的な課題として今後の改善が期待される領域です。

規制面では、現在のところハプティクスデバイスに対する特別な規制は存在しませんが、医療分野への応用が進むにつれて安全基準の策定が必要になる可能性があります。また、長時間使用による健康への影響についても、今後の研究が待たれます。

長期的視点では、この技術はVRゲームを超えて、リモートワーク、医療トレーニング、産業用シミュレーションなど幅広い分野への展開が期待されています。特に触覚を通じたコミュニケーションは、物理的距離を超えた新たな人間関係の構築を可能にする可能性を秘めているのです。

【用語解説】

ハプティクス(Haptics)
触覚フィードバック技術の総称で、振動や力覚を通じて仮想環境における物理的感覚を再現する技術である。「ハプティック」「触覚フィードバック」とも呼ばれる。

ERM(Eccentric Rotating Mass)
偏心回転錘の略で、スマートフォンなどで使用される振動モーターの一種である。重りが偏心して取り付けられた回転子により振動を発生させる仕組みである。

VR(Virtual Reality)
仮想現実技術で、コンピュータによって生成された3次元仮想空間にユーザーを没入させる技術である。専用ヘッドセットを装着して体験する。

AR(Augmented Reality)
拡張現実技術で、現実世界にデジタル情報を重ね合わせて表示する技術である。現実とバーチャルを融合させた体験を提供する。

Made for Meta
Meta社が認定する公式パートナープログラムで、Quest VRヘッドセットとの互換性と品質を保証する認証制度である。

SteamVR
Valve社が開発するPC向けVRプラットフォームで、様々なVRヘッドセットに対応したゲーム配信サービスである。

Bluetooth Low Energy(BLE)
従来のBluetoothより消費電力を大幅に削減した近距離無線通信技術で、ウェアラブルデバイスなどに広く採用されている。

【参考リンク】

bHaptics公式サイト(外部)
韓国のハプティクス技術企業。TactSuit Pro、Air、TactSleeveなどの製品情報を掲載

HaptX公式サイト(外部)
米国のハプティクス技術企業。エンタープライズ向けハプティクスグローブHaptX Gloves G1を開発

Ultraleap公式サイト(外部)
英国の手トラッキング・ハプティクス技術企業。Leap Motion Controller 2やSTRATOSシリーズを展開

Meta Quest公式サイト(外部)
Meta社のVRヘッドセットQuest シリーズ。bHaptics TactSuitシリーズはMade for Meta認証を取得

【参考記事】

Virtual Reality In Gaming Market Size | Industry Report, 2030(外部)
VRゲーミング市場の規模と成長予測。2024年の324.9億ドルから2030年までCAGR21.6%で成長と予測

Haptic Technology Market Size & Share | Growth Report 2034(外部)
ハプティクス技術市場の包括的分析。2024年の43億ドルから2034年まで年率3.6%で成長と分析

bHaptics Announces New Cheaper Haptic Vests & Armbands(外部)
bHapticsの新世代製品発表に関するニュース。価格設定、技術仕様、従来製品からの改良点を詳細報告

bHaptics Unveils Next-Gen TactSuit Pro and TactSuit Air with Enhanced Immersive Haptics(外部)
bHapticsによる公式プレスリリース。2024年11月12日の製品発表内容、技術仕様、価格設定の詳細

Haptics Technology Market to Grow to US$7.1B by 2035 | IDTechEx Research Article(外部)
IDTechExによるハプティクス技術市場の長期予測。2035年までに71億ドル規模に成長と予測

Haptic Devices Market Size to Hit USD 25.67 Billion by 2034(外部)
ハプティクスデバイス市場の詳細分析。ウェアラブルセグメントの急成長、AI統合による適応型フィードバックシステム

Top bHaptics Alternatives, Competitors(外部)
CB InsightsによるbHapticsの競合企業分析。HaptX、Ultraleap、Teslasuit等との技術的差別化を比較

【編集部後記】

VRでゲームをプレイしていて「もっとリアルに感じられたら」と思ったことはありませんか?bHapticsの新製品は、そんな私たちの願いを形にした技術かもしれません。

価格は決して安くありませんが、触覚という新しい感覚がVR体験をどう変えるのか、実際に体験してみたいと思いませんか?もしくは、まずは対応ゲームを調べて、どんな体験ができるのか想像してみるのも楽しそうです。

みなさんは、どんなVRゲームでハプティクスを体験してみたいですか?

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乗杉 海
新しいものが大好きなゲーマー系ライターです!

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