形状自在の新プラスチック、宇宙から日常まで革新をもたらす

Last Updated on 2024-02-02 10:33 by

シカゴ大学プリツカー分子工学校の研究チームが、形状を変えることができる新種のプラスチックを開発しました。この素材は、熱を加えることで異なる形状に設定し、急速冷却によってその形状を固定することが可能です。従来のプラスチックと異なり、室温に戻してもこの硬さを保持します。

この発見は、宇宙飛行士が宇宙へ持って行く荷物の概念を変える可能性があります。「異なるプラスチックを全て持って行く代わりに、この一つのプラスチックを持って行き、必要に応じて必要な特性を与えることができます」と、シカゴ大学の化学者であり、この研究の著者であるスチュアート・ローワン博士は述べています。

しかし、この素材の利用可能性は宇宙に限られません。資源が限られている他の環境、例えば海上や戦場でも有用であると研究チームは考えています。また、ソフトロボットの製造やプラスチックリサイクルの改善にも使用できる可能性があります。

【ニュース解説】

シカゴ大学プリツカー分子工学校の研究チームが開発した新種のプラスチックは、熱を加えることで異なる形状に変形し、急速冷却によってその形状を固定することができるという特性を持っています。このプラスチックは、従来のプラスチックとは異なり、室温に戻しても硬さを保持することが可能です。

この技術の最大の特徴は、一つの素材で多様な用途に対応できる点にあります。例えば、宇宙旅行の際には、異なる用途に応じて必要な物品をその場で形成することができるため、荷物の量を大幅に削減することが可能になります。朝食時には食器として、その後は園芸用のスコップや飲み物のカップとして、一つの素材が様々な形に変化します。

この技術は、宇宙だけでなく、資源が限られている海上や戦場などの環境でも非常に有用です。また、ソフトロボットの製造やプラスチックリサイクルの分野においても、この新種のプラスチックは大きな可能性を秘めています。ソフトロボットにおいては、柔軟性と形状記憶の特性を活かし、より高度な動作が可能になることが期待されます。プラスチックリサイクルにおいては、形状を自由に変えられることから、リサイクルの効率化や新たなリサイクル方法の開発に寄与する可能性があります。

しかし、この技術の普及にはいくつかの課題も存在します。例えば、このプラスチックの生産コストや環境への影響、長期的な耐久性などが挙げられます。また、この技術を悪用した場合のリスクも考慮する必要があります。

将来的には、この新種のプラスチックが持つ独特の特性を活かし、持続可能な社会の実現に貢献することが期待されています。資源の有効活用や環境負荷の低減に向けた技術として、その発展と応用の範囲は広がりを見せています。

from A Shape-Shifting Plastic With a Flexible Future.