株式会社45.rは、AI翻訳イヤホン「Heara Air」のクラウドファンディングを2025年11月8日よりCAMPFIREで開始した。
Heara Airは最大144言語のリアルタイム翻訳に対応し、主要8言語(英・中・日・韓・独・仏・西・露)はオフラインでも使用可能である。Bluetooth 5.3を搭載し、ノイズ抑制機能と、メーカー公称値で最速0.5秒応答の翻訳エンジンを備える。
クラウドファンディングの期間は2025年11月8日から12月6日までで、リターンとして、早期特典価格17,400円のプランなどが提供されている。また、オプションとして1年間の交換保証が受けられる有料保守サービス「Heara Care+」も用意されている。2025年12月に量産と最終検品を行い、2026年1月から順次出荷予定である。
本製品はHeara Air Labという共創プロジェクトから誕生し、支援者をCrewとして迎え入れる仕組みを導入する。
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AI翻訳イヤホン「Heara Air」クラウドファンディング開始!
【編集部解説】
AI翻訳イヤホン市場は2025年現在、急速な成長期を迎えています。複数の市場調査によれば、AI技術を活用した翻訳サービス市場は著しい成長が見込まれており、ある調査では2030年までに30億ドルを超える規模に達すると予測されています。Heara Airはこの成長市場において、144言語対応という圧倒的な言語数と、主要8言語でのオフライン機能を武器にこの市場へ参入します。

注目すべきはメーカー公称値で最速0.5秒という応答速度です。リアルタイム翻訳において、遅延は会話の自然さを大きく損なう要因となります。人間の会話では1秒以内の応答が求められるため、この速度は実用性の観点から重要な指標と言えるでしょう。
AI翻訳イヤホンの翻訳精度については慎重な見方が必要です。現在のAI翻訳技術では、シナリオによって精度が70%から90%以上まで変動することが知られています。特に方言、スラング、文化的ニュアンス、専門用語においては精度が低下する傾向があります。実際の音声会話では環境ノイズやアクセントの影響を受ける可能性があります。
オフライン翻訳機能は、ネット環境が不安定な場所での使用において重要な差別化要素となります。多くのAI翻訳イヤホンはクラウドベースの翻訳エンジンに依存しているため、接続が途切れると機能しません。主要言語をデバイス内で処理できることは、旅行者やビジネスパーソンにとって実用的な利点です。
この製品が提示する「Crew」という共創モデルも興味深い試みです。クラウドファンディング支援者を製品開発に巻き込むことで、実際の使用シーンからのフィードバックを早期に取り込める可能性があります。AI翻訳技術は使用データから学習することで精度が向上するため、ユーザーコミュニティとの連携は長期的な製品改善において有効な戦略でしょう。
価格設定については、早期特典価格17,400円から最上位モデル27,400円という範囲は、既存のAI翻訳イヤホン市場と比較して競争力のある水準です。特に有料の年間保証サービスをオプションで用意している点は、新興ブランドとしての信頼性構築に寄与すると考えられます。
一方で、本製品を検討する上で留意すべき点もあります。一つは、電波法に基づく技術基準適合証明(技適)が現在申請準備中であることです 。これは日本国内で無線機器を販売するために必須の認証であり、プロジェクトページでは承認後の出荷を約束していますが、支援者はこの点を認識しておく必要があります。また、バッテリーの連続使用時間は翻訳時で約4時間(ケース併用で最大16時間)とされており、長時間の会議などでは実用性を見極める必要があるかもしれません 。
今後の課題としては、実環境での翻訳精度の検証、バッテリー持続時間の実用性、そして多言語間での精度のばらつきが挙げられます。特に日本語は文脈依存性が高い言語であるため、英語中心のトレーニングデータで学習されたAIモデルでは精度が低下する可能性も指摘されています。

【用語解説】
エッジAI
クラウドではなくデバイス本体でAI処理を実行する技術である。データをローカルで処理するため、応答速度が速く、プライバシーも保護される。
【参考リンク】
株式会社45.r 公式サイト(外部)
東京都世田谷区に本社を置くAIデバイス開発企業。SaaSやクラウドアプリケーション開発、ブランド運営を手掛ける。
CAMPFIRE(キャンプファイヤー)(外部)
日本最大級のクラウドファンディングプラットフォーム。累計プロジェクト数8万件超、280万人以上のユーザーを擁する。
【参考記事】
「AI翻訳 × オフライン対応」世界をつなぐイヤホン、 Heara Air!(外部)
最大144言語に対応し、オフライン翻訳も可能なAI翻訳イヤホンのクラウドファンディングページ
【編集部後記】
AI翻訳イヤホンという新しいテクノロジーに、皆さんはどんな可能性を感じるでしょうか。私自身、言語の壁が低くなることで世界中の人々と自然に交流できる未来を想像すると、胸が躍ります。
一方で、騒がしい場所での精度や専門用語の翻訳など、まだ課題も残されています。皆さんなら、どんな場面でこの技術を使ってみたいですか。旅行、仕事、それとも日常の出会いでしょうか。テクノロジーと人がどう共存していくか、皆さんと一緒に考えていければと思います。
























