2024年8月24日、通信アプリ「テレグラム」の創業者兼CEOであるパヴェル・ドゥロフ氏(39歳)が、フランスのパリ北部にあるル・ブルジェ空港で逮捕された。逮捕の理由は、テレグラムを通じた未成年者の犯罪、人身売買、露骨な画像の共有に関連する12の刑事容疑である。
この事態を受け、2024年8月27日、ロシア政府はフランスに対し警告を発した。ロシアのクレムリン報道官ドミトリー・ペスコフ氏は、フランス当局に対してドゥロフ氏への容疑を裏付ける証拠の提示を求め、証拠が不十分な場合、この逮捕は言論の自由への侵害や脅迫行為とみなされる可能性があると述べた。
ドゥロフ氏はロシア出身だが、フランスとUAEの市民権も持っている。UAEは27日、フランス当局に接触し、ドゥロフ氏の件について「緊急に」外交的支援を申し出たと発表した。
テレグラムは2013年に設立され、現在約8億人の月間アクティブユーザーを持つ。2023年の収益は主にプレミアムサービスから得られた4500万ドルである。ロシアでは2018年にアクセスがブロックされたが、2020年に解除された。
ドゥロフ氏の資産は約155億ドルと推定され、世界で121番目の富豪とされている。
from:Russia warns France over Telegram founder’s detainment, suggests it may be politically motivated
【編集部解説】
テレグラムCEOパヴェル・ドゥロフ氏の逮捕は、デジタル時代におけるプライバシーと安全性のバランスという重要な問題を浮き彫りにしています。
テレグラムは、その強力な暗号化技術と最小限のコンテンツモデレーションで知られています。これは、ユーザーのプライバシーを重視する一方で、違法行為の温床にもなりうるという両刃の剣となっています。
フランス当局の捜査は、テレグラム上での未成年者の犯罪、人身売買、露骨な画像の共有など、深刻な問題に焦点を当てています。これは、プラットフォームの責任範囲に関する重要な議論を引き起こすでしょう。
一方で、ドゥロフ氏の逮捕は、言論の自由や表現の自由に対する懸念も引き起こしています。特に、権威主義体制下でテレグラムが果たしてきた役割を考えると、この問題は複雑さを増します。
テレグラムは、ロシアのウクライナ侵攻以降、戦争関連の情報共有において重要な役割を果たしてきました。しかし、同時にディスインフォメーションの温床にもなっているという指摘もあります。
この事件は、EUのデジタルサービス法(DSA)のような規制の重要性を再認識させるものとなるでしょう。プラットフォームの自由と責任のバランスをどう取るべきか、国際的な議論が加速する可能性があります。