Last Updated on 2024-08-28 07:01 by admin
ドイツのAIスタートアップAleph Alphaが、EUの規制に準拠した透明性の高い機械学習モデルを発表した。
Aleph Alphaは2019年にJonas AndrulisとSamuel Weinbachによってハイデルベルクで設立された。同社は大規模言語モデル「Luminous」を開発し、企業や政府機関向けに提供している。
2023年11月、Aleph Alphaは5億ドル以上の資金調達ラウンドを完了した。投資家にはSchwarz Gruppe、Dieter Schwarz Foundation、Bosch、SAP、Hubert Burda Media、Christ&Company Consulting、Hewlett Packard Enterpriseが含まれる。
2023年の財務結果によると、同社の売上高は94.5万ユーロで、前年比で倍増した。しかし、損失も2022年の830万ユーロから2023年には1890万ユーロに拡大した。
Aleph Alphaは2024年夏に新世代モデルの一般提供を発表する予定で、すでに一部の顧客にベータ版を提供している。また、2024年6月にはPwCドイツと合弁会社creance.aiを設立し、複雑な規制問題に対応する企業を支援する。
from:Aleph Alpha unveils EU-compliant AI: A new era for transparent machine learning
【編集部解説】
ドイツのAIスタートアップAleph Alphaが発表した新しい大規模言語モデル(LLM)は、AIの世界に新たな風を吹き込む可能性を秘めています。この動きは、AIの透明性と規制遵守に重点を置く新時代の幕開けを告げるものかもしれません。
Aleph Alphaが公開した2つのモデル、Pharia-1-LLM-7B-controlとPharia-1-LLM-7B-control-alignedは、それぞれ70億のパラメータを持つ高性能なLLMです。これらのモデルは、オープンソースとして公開されており、研究者や開発者が自由に検証し、改良できるようになっています。
特筆すべきは、これらのモデルがEUの規制に準拠するよう設計されている点です。著作権やデータプライバシー法を遵守しながら慎重にキュレーションされたデータセットで訓練されており、これは今後のAI開発の青写真となる可能性があります。
また、標準版と「aligned(調整済み)」版の2つのバージョンを公開したことも注目に値します。aligned版は、有害な出力やバイアスのリスクを軽減するための追加訓練を受けており、責任あるAI開発への取り組みを示しています。
Aleph Alphaのこのアプローチは、AIの「ブラックボックス」問題に対する一つの解決策を提示しています。多くの大手テック企業がクローズドな開発を続ける中、オープンソース化によってAIの透明性と信頼性を高めようとする試みは、業界に大きな影響を与える可能性があります。
特に、金融やヘルスケアなどの規制の厳しい産業にとって、このようなアプローチは魅力的です。監査可能で、特定の規制に合わせてカスタマイズできるAIモデルは、コンプライアンスの観点から大きな価値を持ちます。
一方で、このオープンソースアプローチが長期的に大手テック企業と競争できるかどうかは不透明です。イノベーションを加速させる可能性がある反面、持続的な開発とコミュニティ維持には多大なリソースが必要となります。