株式会社CoeFontが開発・提供する多言語リアルタイム翻訳サービス「CoeFont通訳」が、日経トレンディ2025年11月号発表の「2026年ヒット予測ベスト30」で第1位に選出された。
CoeFont通訳は、AIがリアルタイムで音声を解析・翻訳し、話し手自身の声で多言語コミュニケーションを可能にするサービスである。
2025年9月のiOS版リリースから1ヶ月でApp Store「翻訳」カテゴリにおいて日本国内1位、フランス2位を記録した。対応言語は日本語、英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語、ベトナムの7言語で、基本プランは無料である。
株式会社CoeFontは東京都港区に本社を置き、代表取締役は早川尚吾が務める。2020年設立の東京科学大学認定ベンチャーで、AI音声プラットフォーム「CoeFont」には10,000種類以上のAI音声が揃う。
From:
日本発の多言語リアルタイム翻訳サービス「CoeFont通訳」、『日経トレンディ 2026年ヒット予測ベスト30』で第1位を獲得
【編集部解説】
日本発のAI通訳サービスが、いま大きな注目を集めています。株式会社CoeFontが開発した「CoeFont通訳」が、2025年9月のiOS版リリースからわずか1ヶ月でApp Store「翻訳」カテゴリの国内1位、フランス2位を記録し、さらに日経トレンディ2025年11月号発表の「2026年ヒット予測ベスト30」で第1位に選出されるという快挙を達成しました。
このサービスの最大の特徴は、AIがリアルタイムで音声を解析・翻訳し、「話し手自身の声」で多言語コミュニケーションを可能にする点です。従来の翻訳ツールは機械的な音声で読み上げるのが一般的でしたが、CoeFont通訳では約5分間の音声収録で自分の声をAI化し、その声で翻訳された内容を相手に届けます。これにより、まるで自分自身がその言語を話しているかのような自然なコミュニケーションが実現します。
技術的な背景を見ると、CoeFont通訳は最短約1秒というリアルタイム性能を実現しています。これはオープンソースのLLM(大規模言語モデル)を翻訳速度重視にチューニングし、さらに話者の「間」を利用して翻訳するという独自の工夫によって達成されたものです。また、CoeFontが設立以来培ってきた音声合成技術のノウハウ——10,000種類以上のAI音声データの解析経験——が、高い音声認識精度を支えています。
市場環境を見ると、AI通訳市場は急速に成長しています。調査会社The Business Research Companyのレポートによれば、AI翻訳市場規模は2024年の23億4,000万ドルから2025年には29億4,000万ドル(約4,330億円)に成長し、年間成長率25.2%で拡大しています。2029年には71億6,000万ドル(約1兆円)規模に達する見込みです。
この成長を後押ししているのが、グローバル化の加速です。国際的なビジネス会議やイベントでの多言語対応需要が高まる一方で、人間の通訳者を手配するには時間とコストがかかります。プロの通訳者は1時間あたり1万円以上、30分以上の会議では2名体制が必要となり、さらに手配には最低5営業日を要します。CoeFont通訳の検証では、AI通訳の精度が80-95%と、プロ通訳の平均70%を上回る結果も示されています。
競争環境も激化しています。2025年5月にはGoogleが「Google Meet」にリアルタイム音声翻訳機能を導入し、MicrosoftやFlittoなども同様のサービスを展開しています。しかし、CoeFont通訳の「自分の声で通訳する」という体験は、他社にない独自の価値提案となっています。
注目すべきは、このサービスを開発したのが東京科学大学(旧東京工業大学)と早稲田大学の現役大学生2人が2020年に設立したスタートアップだという点です。代表取締役の早川尚吾氏は24歳。Z世代の起業家が、最初からグローバル市場を視野に入れた開発を行い、わずか数年で世界的な評価を獲得しました。
対応言語は現在、日本語、英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語、ベトナム語の7言語で、今後さらに拡大予定です。基本プランは無料で利用でき、有料プランで利用時間を延長できる仕組みです。2025年10月時点でiOS版とPC版(WindowsおよびmacOS)が提供されており、Android版の展開も期待されます。
CoeFont通訳の登場は、言語の壁を越えたコミュニケーションが誰でも手軽に実現できる時代の到来を象徴しています。通訳者を介さずとも、自分の声のまま世界中の人々と対話できる——この技術革新は、グローバルビジネスの在り方を根本から変える可能性を秘めています。日本発のスタートアップが世界のコミュニケーション様式を変革する、その歴史的瞬間を私たちは目撃しているのかもしれません。
【用語解説】
リアルタイム翻訳
音声やテキストを即座に他の言語に変換する技術。従来の翻訳では文章全体の入力完了を待つ必要があったが、リアルタイム翻訳では発話と同時進行で翻訳が行われるため、対面会話やオンライン会議での利用に適している。
TTS(Text-To-Speech)
テキストを音声に変換する技術。AI技術の進化により、機械的な合成音声から人間らしい自然な抑揚や感情を持つ音声へと品質が向上している。
LLM(大規模言語モデル)
膨大なテキストデータで訓練された人工知能モデル。ChatGPTやGeminiなどがこれに該当し、文章生成、翻訳、要約など多様な言語処理タスクを実行できる。
AI音声クローン
特定の人物の声を学習し、その人の声質や話し方を再現するAI技術。わずか数分の音声サンプルから、その人が話したことのない言葉や言語でも、本人の声で発声させることが可能。
東京科学大学
2024年10月に東京工業大学と東京医科歯科大学が統合して誕生した国立大学。旧東京工業大学は理工系の名門として知られ、多数の起業家を輩出している。
【参考リンク】
CoeFont通訳 公式サイト(外部)
リアルタイム多言語翻訳サービス「CoeFont通訳」の公式ページ。サービス概要、利用方法、料金プランなどの詳細情報を掲載
CoeFont通訳 – App Store(外部)
iOS版アプリのダウンロードページ。ユーザーレビューや評価、アプリの機能詳細を確認できる
CoeFont(コエフォント)公式サイト(外部)
AI音声プラットフォーム「CoeFont」の公式サイト。10,000種類以上のAI音声、音声合成サービスなど各種プロダクトを紹介
日経トレンディ 2025年ヒット予測ベスト30(外部)
日経トレンディが毎年発表するヒット予測ランキング。2025年版では「肩掛けプライベートAI」が1位に選出
【参考記事】
大学生起業家が作ったすごいアプリ「CoeFont通訳」- Business Insider Japan(外部)
東京科学大と早稲田大の現役大学生2人が起業したCoeFontの開発背景と技術的工夫を詳細に解説。翻訳速度を実現するLLMチューニングや音声認識技術の詳細を取材
同時通訳でAI通訳vs人間、CoeFontが比較結果を公表 – ロボスタ(外部)
CoeFont通訳とプロ通訳者の性能比較検証レポート。AI通訳の精度が80-95%、プロ通訳が平均70%という結果やコスト比較を詳細に報告
リアルタイムAI通訳「CoeFont通訳」を使って海外支社とのWebミーティングを実施 – AIsmiley(外部)
実際にZoomでCoeFont通訳を使用したレビュー記事。設定の簡便さ、翻訳精度、従来の通訳サービスとの比較を実体験に基づいて報告
英語学習はもう不要?リアルタイムAI翻訳が超えた「0.8秒」の壁(外部)
AI翻訳市場の成長予測と技術トレンドを解説。市場規模が2024年の23億4,000万ドルから2029年には71億6,000万ドルに成長する見込みなど市場データを提示
【2025年版】オフラインイベント・ウェビナーに最適なAIリアルタイム翻訳ツール比較10選 – VoicePing(外部)
AI翻訳ツールの市場概況と導入が進む背景を解説。通訳者手配のコスト課題や10分交代が必要な人的制約など、AI通訳導入の必然性を分析
【編集部後記】
言語の壁が消えたら、あなたは誰と話してみたいですか?CoeFont通訳のような技術は、私たちが当たり前だと思っていた「英語を学ばなければグローバルに活躍できない」という前提を覆そうとしています。もちろん、言語学習には文化理解という大切な側面がありますが、ビジネスの現場で即座に意思疎通できる選択肢が増えることは、私たちの可能性を広げてくれます。24歳の学生起業家が世界を変えようとしている姿を見ると、テクノロジーの民主化がどこまで進んでいるのかを実感します。みなさんは、この技術をどんな場面で使ってみたいと思いますか?
























