Last Updated on 2024-04-23 10:45 by 荒木 啓介
Metaは、同社の複合現実オペレーティングシステム「Meta Horizon OS」を第三者のデバイスメーカーが使用できるように開放したと発表した。このオープンシステムは、開発者が目、顔、手、体の追跡、高解像度パススルーなどの技術にアクセスできるようにする。Asus、Lenovo、MicrosoftのXboxといった3大テクノロジー企業が、このソフトウェアを搭載した新しいデバイスの開発を行う最初の企業であることが確認された。特に、MicrosoftはXboxにインスパイアされた「限定版Meta Quest」の構築でMetaと協力する。一方、Asusはゲーミングに特化したヘッドセットを、Lenovoは「生産性、学習、エンターテイメント」向けのデバイスを開発している。同社は、将来のすべてのヘッドセットがiOSとAndroidのMeta Questアプリを通じて接続できると述べている。さらに、Meta Quest Storeを「Meta Horizon Store」と改名し、第三者の開発者がMetaのフレームワークとツールを使用して新しい混合現実体験を作成できるように開放された。Meta Horizon OSは、Meta、Apple、Sony間のVR/ARヘッドセット競争が激化する中での戦略的な動きである。
【参考サイト】
Meta Horizon OSの発表（外部）
「Meta Horizon OS」は、MetaがVR/ARデバイス向けに開発したオペレーティングシステムです。目や手、体の動きを追跡したり、リアルな映像をVR空間に重ねて表示する「パススルー」機能などの先進技術が組み込まれています。
【編集者追記】用語解説
「パススルー」とは、VRヘッドセットの前面カメラで現実世界の映像を取り込み、その上にバーチャルな3D空間を重ねて表示する機能のことです。リアルとバーチャルが融合した体験ができるため、VR空間とリアル空間を行き来しやすくなります。
【編集者追記】オープン化によるメリットとデメリットは？
Meta Horizon OSのオープン化により、記事内の３社以外にも参加企業が増えていく可能性が高いと思います。参加企業が増えた場合のメリットとデメリットの両面を考えてみました。
【メリット】
- 選択肢が広がる
Meta以外の企業からも、Meta Horizon OSを搭載したVRデバイスが登場します（ピンからキリまで）。価格帯や用途に合わせて、自分に合ったデバイスを選べるようになります。 - 新しい体験が生まれる
メーカー各社が独自の工夫を凝らした製品を投入できるため、今までにない革新的なVR体験が期待できます。 - コンテンツの充実
Meta Horizon Storeに多くの開発者がアプリを投稿できるようになり、VRコンテンツの種類と量が増えていくでしょう。
【デメリット】
- セキュリティ・プライバシーリスクの増加
デバイスメーカーが増えれば、データ漏えいやマルウェア感染のリスクも高まる可能性があります。 - UI/UXの不統一
メーカー間でユーザーインターフェースが異なれば、使い勝手が変わり戸惑うかもしれません。 - 品質のばらつき
一定の品質基準を満たせないデバイスが出回れば、VR酔いなど不具合が生じるリスクがあります。
このように、オープン化には長所短所があります。Metaとしては一定の品質とセキュリティを担保しつつ、健全な競争環境を生み出すことが重要となります。品質やUI/UXについてはMeta社からのガイドラインが策定されることが予想されます。
【ニュース解説】
Metaが、自社の複合現実オペレーティングシステム「Meta Horizon OS」を第三者のデバイスメーカーに開放したことを発表しました。このオープンシステムにより、開発者は目、顔、手、体の追跡、高解像度パススルーなどの先進技術にアクセスできるようになります。この発表により、Asus、Lenovo、MicrosoftのXboxといった大手テクノロジー企業が、このソフトウェアを搭載した新しいデバイスの開発を行うことが明らかになりました。
この動きは、Metaにとって戦略的な意味合いが強く、VR（仮想現実）およびAR（拡張現実）の分野での競争が激化している現在、同社のポジションを強化するものです。特に、Microsoftとの協力による「限定版Meta Quest」の開発や、Asus、Lenovoによる特定の用途に特化したヘッドセットの開発は、多様なニーズに応える製品の提供を可能にします。
このオープンシステムの導入により、開発者はMetaの提供する技術を利用して、教育、エンターテイメント、生産性向上など、さまざまな分野での新しい混合現実体験を創出できるようになります。これは、消費者にとっても、より多様で高品質なVR/AR体験が手軽に楽しめるようになることを意味します。
しかし、このようなオープンシステムの導入には、セキュリティやプライバシーの懸念も伴います。第三者のデバイスメーカーや開発者がアクセスできるようになることで、ユーザーデータの保護や不正利用の防止に関して、Metaはより厳格な管理と監視を求められることになります。
また、この動きは、VR/AR技術の普及と発展において、規制や標準化の必要性を高める可能性があります。異なるメーカーのデバイス間での互換性や、ユーザー体験の一貫性を保つためには、業界全体での取り組みが必要になるでしょう。
長期的には、Meta Horizon OSの開放は、VR/AR技術のイノベーションを加速させ、教育、医療、エンターテイメントなど、さまざまな分野での応用範囲を広げることに貢献する可能性があります。このような技術の進化は、私たちの生活や働き方に革命をもたらすかもしれませんが、それに伴うリスクに対する適切な対策と規制の整備も同時に進める必要があるでしょう。
from Meta opens Quest OS to third-party headset makers, taps Lenovo and Xbox as partners.
