大型施設で使われてきた業務用清掃ロボットが、小規模店舗にも対象を広げています。PUDU ET1が示すのは、清掃ロボットの性能競争ではなく、「どこまで日常の店舗運営に入り込めるか」という次の競争軸です。
Pudu Roboticsは2026年8月12日、100〜800平方メートルの小規模商業施設向け清掃ロボット「PUDU ET1」を発表した。掃き掃除、床洗浄、吸引、ダストモップを統合し、最大800rpmのローラー、20kPaの吸引力、最大85℃の温水洗浄に対応する。
AIによる床材・汚れ認識や適応型清掃を備え、8-in-1ドッキングステーションによって給排水や洗浄、充電なども自動化する。幅50cm、高さ60cmのスペースを通過でき、小売店や飲食店、オフィスなどでの利用を想定している。
アイキャッチ画像は公式プレスリリースより引用
【編集部解説】
PUDU ET1で注目したいのは、清掃能力の高さだけではなく、対象とする施設の規模です。ET1は100〜800平方メートルの空間を想定しており、コンビニエンスストアやドラッグストア、飲食店、オフィスなど、比較的小さな商業空間を主な利用先に据えています。
これはPUDUの既存清掃ロボットと比べると、製品の狙いが見えやすくなります。同社のCC1 Proは、AI巡回洗浄モードと組み合わせることで清掃面積が5000〜8000平方メートルに達するとPUDUは説明しており、最小通過幅は70cmです。一方、ET1は最小50cm幅、高さ60cmの空間を通過できるため、商品棚が並ぶ店舗や狭い通路など、大型の業務用清掃ロボットでは取り回しが難しい場所へ入り込むことを意識した設計です。
つまりET1は、既存の大型清掃ロボットをそのまま縮小した製品というより、「ロボットを置けるほど広くない施設」を新しい導入先として取り込もうとする製品と見ることができます。
小規模店舗では、ロボットが走行できることだけで自動化が成立するわけではありません。清掃前の準備、給排水、ブラシやモップの洗浄、充電といった作業が頻繁に人手を必要とすれば、ロボットを導入しても日常業務そのものは大きく変わりません。
そこでET1は、専用ドッキングステーションで充電、給水、排水、洗剤投入、ローラーモップとスクイージーの洗浄、ローラー乾燥、温水生成までをまとめて処理する構成を採っています。Auto MappingとOne-click Startも用意され、導入時に人が手作業で地図を作成する工程を減らす設計です。
ここから読み取れるのは、PUDUが小型化だけでなく、店舗スタッフが清掃ロボットの運用に割く作業そのものを減らそうとしていることです。小規模店舗での導入を考えると、日常的な管理作業を抑える設計は重要になります。
もう一つの特徴が「AI Magic Cleaning」です。ET1は床材や汚れを認識し、その結果に合わせて清掃動作を変更します。カーペット付近ではスクラブローラーを持ち上げ、液体の汚れを検知した場合にはブラシを持ち上げて汚れが広がることを防ぎます。また、落ちにくい汚れでは走行速度を下げ、ローラー回転速度や水量を調整します。
この考え方はET1だけのものではありません。PUDUのCC1 Proでも、AIによる液体汚れの認識や清掃経路生成、汚れの程度に応じた清掃強度の変更、床材に応じた清掃モードの切り替えが採用されています。
ET1では、こうした既存のAI清掃技術を小規模店舗向けの筐体と運用システムへ組み込んだ点が重要です。ロボットが決められたルートを自律走行するだけでなく、「どのような床を、どのように清掃するか」という作業判断にもAIを使う方向が、PUDUの複数の清掃ロボットに展開されています。
日本での展開については、PUDU製品の販売代理店であるRBB株式会社が2026年8月12日付で、ET1について「まもなく日本へ」と案内しています。
一方、現時点でPUDUの日本語公式製品一覧にはET1の製品ページを確認できず、国内価格や具体的な発売日も示されていません。日本で導入を検討する店舗にとっては、国内価格やドッキングステーションの設置条件など、具体的な導入条件の確認が必要です。
ET1が示しているのは、業務用清掃ロボットの対象が大型施設だけではなくなりつつあることです。100〜800平方メートルという店舗規模まで自律清掃の対象が広がれば、清掃ロボットは「大規模施設に置く特殊な設備」から、日常的な店舗設備へ近づいていくことになります。ただし、その広がりを判断するには、日本での価格と導入条件が明らかになるのを待つ必要があります。
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【編集部後記】
ロボットの小型化は、単に置ける場所が増えるという話ではありません。給排水や洗浄まで含めて運用の手間を減らせるなら、小規模店舗でも導入の現実味が高まります。これまで清掃ロボットは、大型施設で使う設備という印象が強いものでした。
しかしET1のような製品が増えれば、コンビニや飲食店でもロボット清掃が日常になる可能性があります。
私たちが気づかないうちに、店舗の裏側では人とロボットの役割分担が少しずつ変わっていくのかもしれません。
【用語解説】
スクラバードライヤー
床面に水や洗剤を供給しながらブラシやローラーで洗浄し、同時に汚水を吸引・回収する業務用床清掃機。床洗浄と乾燥に近い工程を一度の走行で行える。
Auto Mapping(自動マッピング)
ロボットが周囲の環境を認識し、走行・清掃に利用する地図を自動生成する機能。ET1では手作業による初期マッピングを減らし、導入時の設定を簡略化する目的で採用。
ドッキングステーション
ロボットが自動で戻り、充電やメンテナンスなどを行う設備。ET1の8-in-1ドッキングステーションは、充電、給排水、洗剤投入、ローラーやスクイージーの洗浄など複数の作業を自動化。
AI Magic Cleaning
PUDUが清掃ロボットに採用するAIベースの清掃制御。周囲や床面、汚れなどを認識し、その状態に応じて清掃方法や動作を変更する仕組み。
【参考リンク】
Pudu Robotics 公式サイト(外部)
業務用清掃、商業用配送、産業用配送などのサービスロボットを開発するPudu Roboticsの日本向け公式サイト。
PUDU 製品一覧(外部)
PUDUが展開する業務用清掃ロボット、商業用配送ロボット、産業用配送ロボットなどの製品ラインアップを掲載する公式ページ。
PUDU CC1 Pro(外部)
AIによる汚れ認識や床材判定などに対応する業務用清掃ロボット。ET1と既存PUDU清掃ロボットの対象施設や機能を比較する際の参考情報。
【参考記事】
PUDU CC1 Pro|Pudu Robotics(外部)
AIによる清掃状況の検出、床材に合わせた清掃モード変更など、PUDUが既存の業務用清掃ロボットに導入しているAI機能を確認できる公式製品ページ。
PUDU 製品一覧|Pudu Robotics(外部)
PUDUの日本向け清掃・配送ロボットのラインアップを掲載。ET1の日本向け製品ページや国内展開状況を確認するために参照。
PUDU ET1 新たな清掃ロボットが、まもなく日本へ。|RBB株式会社(外部)
PUDU製品を扱うRBBが2026年8月12日に掲載したET1の日本展開予告。具体的な国内発売日や価格は掲載されていない。



















