2026年、AIをめぐる国際的な枠組みが立て続けに動いた。7月6〜7日、ジュネーブで国連が第1回のAIガバナンス・グローバル対話を開き、その9日後、上海には29カ国が集まって別の国際機関WAICOを発足させた。同じ年、EUは規制の適用日程を組み替え、米国主導のPax Silicaは署名主体を24へ拡大している。それぞれ別のニュースとして報じられたが、並べてみると、ひとつの問いへの異なる答えであることが見えてくる。AIを、誰が、どうやって統べるのか。本稿では、規制・供給網・陣営・対話という4つの力学を整理し、日本がどこに立っているのかを考える。
AIの「交通ルール」は、一つに収束していない
まず全体の見取り図を示します。いま世界には、AIを統べようとする力が複数走っています。本稿での整理ですが、それぞれ力点がまったく違います。
- EU AI Act——規制の論理。リスクを分類し、企業に義務を課し、違反に制裁金を科す
- Pax Silica——供給網の論理。半導体・鉱物・エネルギーを「信頼できるパートナー」で固める
- WAICO——陣営の論理。グローバルサウスを主対象に、ルール形成の場をつくる
- 国連の対話/G7広島AIプロセス——対話と自己報告の論理。前者は全加盟国に開かれ、後者はG7を中心に企業の透明性を促す
| EU AI Act | Pax Silica | WAICO | 国連の対話/G7広島AIプロセス | |
|---|---|---|---|---|
| 主導 | EU | 米国 | 中国 | 国連/G7 |
| 性格 | 法規制 | 政治宣言 | 政府間国際組織 | 対話・自己報告 |
| 力点 | 規制・権利保護 | 供給網・経済安全保障 | ルール形成・能力構築 | 包摂・透明性 |
| 始動 | 2024年8月1日発効 | 2025年12月署名 | 2026年7月16日 | 広島AIプロセス2023年5月/国連対話2026年7月 |
| 拘束力 | あり(制裁金) | なし | 設立協定に基づく | なし |
| 主な対象 | 企業(提供者・導入者) | 国家・経済主体 | 国家 | 国家・企業 |
| 参加 | EU27カ国+域外適用 | 24署名主体(EUを含む) | 29カ国(7月16日時点) | 全193加盟国に開放(170カ国超が参加)/G7 |
| 日本 | 域外適用で影響を受ける | 初期からの署名国 | 不参加 | 議長国として主導 |
もちろん、これがすべてではありません。DCO(デジタル協力機構)やG20、各国の制度、標準化機関も動いています。ただ、本稿で重点的に扱うのは、2026年に大きく動いたこの4つです。異なる手段が、同時並行に走っている——これが現在地です。
本文に入る前に、この2〜3年の動きを時系列でも押さえておきます。
| 時期 | できごと | 主体 |
|---|---|---|
| 2023年5月 | 広島AIプロセス立ち上げ | G7(日本が議長国) |
| 2024年8月1日 | EU AI Act発効 | EU |
| 2025年2月7日 | OECD報告枠組みの運用開始 | G7・OECD |
| 2025年8月2日 | GPAIモデルへの義務が適用 | EU |
| 2025年11月24日 | ジェネシス・ミッション創設 | 米国 |
| 2025年12月11〜12日 | Pax Silica発表・初回宣言署名 | 米国 |
| 2026年6月25〜26日 | 第2回Pax Silicaサミット。EUを含む10主体が新規署名 | 米国・EUほか |
| 2026年6月29日 | Digital Omnibus最終採択(高リスクAIの適用延期) | EU |
| 2026年7月1日 | 独立国際科学パネルが予備報告を公表 | 国連 |
| 2026年7月6〜7日 | 第1回AIガバナンス・グローバル対話(ジュネーブ) | 国連 |
| 2026年7月16日 | WAICO設立協定に29カ国が署名(上海) | 中国ほか |
| 2026年8月2日 | 第50条の透明性義務が適用開始(予定) | EU |
【EU AI Act|「規制する」の論理】
EU AI Actは2024年8月1日に発効した、EUが「世界初の包括的なAI法的枠組み」と位置づける規制です。技術そのものではなく、用途とリスクの大きさに応じて義務を変えるという考え方に立ち、禁止されるAI利用、高リスクAI、透明性義務の対象、最小・無リスクという区分を設けています。
2026年8月2日には、生成AIの透明性義務(第50条)が原則適用となり、汎用AI(GPAI)モデルへの欧州委員会の執行権限も始動します。ただし、第50条2項の機械可読マーキング義務については、2026年8月2日より前に市場投入されたシステムの提供者に、同年12月2日までの限定的な猶予があります。一方、高リスクAIの中核部分は、標準など支援手段の準備の遅れを踏まえ、独立型が2027年12月2日、製品組込み型が2028年8月2日へ延期されました。
4つのなかで、EU AI Actだけが持つ特徴があります。制裁金という強制力です。禁止行為への違反には、企業の場合、最大3500万ユーロ(約65億円)または前年度の全世界売上高の7%のうち高い方が上限となります。そして域外適用。EUに法人がなくても、EU市場にシステムを投入する場合や、その出力がEU内で利用される場合などは対象になり得るため、実効範囲はEU27カ国を超えて広がります。
Pax Silica|「供給網を固める」の論理
Pax Silica(パックス・シリカ)は、2025年12月11日に米国務省が構想とサミット開催を発表し、翌12日に最初の宣言署名が行われた枠組みです。名称は、ラテン語で平和を意味する「Pax」と、チップの材料となるシリコンの原料「シリカ」を想起させます。
狙いは明快です。AIの土台となる供給網を「信頼できるパートナー」で固め直し、特定国への強制的な依存関係(coercive dependencies)を減らすこと。主要要素にはコンピュート、半導体、重要鉱物、エネルギーが含まれますが、公式宣言はモデルやソフトウェア、通信、先端製造、物流、鉱物の精錬処理まで、より広い技術スタックを対象としています。
2026年6月25〜26日にワシントンで開かれた第2回サミットで、参加は大きく広がりました。米国務省の発表によれば、新たにアルゼンチン、チリ、コスタリカ、エルサルバドル、欧州連合(EU)、ドイツ、ギリシャ、カザフスタン、オランダ、パナマの10が署名し、署名主体は24に達しています。EUを含むため「24カ国」ではなく「24署名主体」が正確です。既存の署名国は、オーストラリア、フィンランド、インド、イスラエル、日本、ノルウェー、カタール、韓国、シンガポール、スウェーデン、フィリピン、UAE、英国、米国。台湾は別の米台声明を通じて原則を支持しています。
さらに同サミットでは、別枠の「AI機会に関する共同声明」に35カ国が署名しました。デンマーク、エストニア、イタリア、ラトビア、リトアニア、ニュージーランド、ポーランド、ポルトガル、トルコなども名を連ねます。この共同声明は、AIに対して成長重視・イノベーション重視の政策環境で足並みをそろえる内容です。無規制を約束した文書ではありませんが、この点が後述する「緊張」の伏線になります。
なお、Pax Silicaは法的拘束力のない政治宣言です。この点はEU AI Actと決定的に異なります。
WAICO|「陣営をつくる」の論理
WAICO(世界人工知能協力機構)は、2026年7月16日に上海で29カ国が設立協定に署名して発足した政府間の国際組織です。設立文書では「独立した政府間国際組織」と規定され、本部は上海に置かれます。翌17日、習近平国家主席がWAIC 2026の開会式でその発足を国際的にアピールしました。
7月16日時点の設立協定署名国29カ国には、インドネシア、ブラジル、マレーシア、南アフリカ、セネガル、ロシア、パキスタンなどが含まれます。グローバルサウスを主対象としつつ、中国と関係の深い国を含む構成で、G7やEU加盟国、豪州、韓国といった主要な西側民主主義国は入っていません。なお、インドネシア政府高官の説明によれば、創設メンバーとしての参加登録は7月30日まで受け付けられており、構成は変わる可能性があります。
習主席は演説で、今後5年で途上国に5,000のAI研修・セミナー機会を提供し、30カ国にAI気象警報システム「MAZU」を導入すると表明しました。ただしこれは、WAICO加盟国の共同義務や正式な予算事業として確認されたものではなく、中国が発足に合わせて提示した支援策です。
ここで注目したいのは、用いられた”通貨”です。米中のAI覇権争いは長らく半導体やモデル性能を主戦場としてきましたが、中国がWAICO発足に合わせて前面に押し出したのは途上国に提供する公共財でした。技術を囲い込むだけでなく、開いて配ることで影響力を広げる——私はそう読み取っていますが、これは記事としての解釈です。
もう一つの層|「つなぐ」枠組み
三極が”分ける”方向に働くのに対して、”つなぐ”方向に働く層も同時に存在します。ただし、こちらは目立ちにくい。
国連のAIガバナンス・グローバル対話は、2026年7月6〜7日にジュネーブで第1回が開かれました。全193加盟国に参加の機会が設けられ、実際には170カ国超の代表が集まっています。この会合で、独立国際科学パネルが予備報告を提示しました。40名の専門家で構成され、共同議長はチューリング賞受賞者のヨシュア・ベンジオ氏とマリア・レッサ氏。日本からは東京大学の松尾豊教授が参加しています。
7月1日に公表されたこの予備報告は、率直です。AIの能力が、評価・安全確保・統治の能力を上回る速度で進歩しており、もはや壊滅的被害のリスクを排除できないと警告しました。同時に、深刻な格差も記録しています。世界上位500のAIスーパーコンピューターの計算能力のうち、約75%が米国に所在する。そして途上国の3分の1未満しか国家AI戦略を持たず、先端モデルを評価できる専門性は先進国を含め多くの国で不足している——という指摘です。
もう一つがG7広島AIプロセスです。2023年5月、日本がG7議長国として立ち上げ、G7各国・EUとともに国際指針と国際行動規範を取りまとめました。さらに2025年2月7日には、企業が行動規範の順守状況を自己報告し、回答がOECDのサイトで公開される報告枠組みの運用が始まっています。2025年11月時点で24組織の回答が公開されました(その後も追加されています)。
ただし、この層には共通の弱点があります。法的拘束力がないことです。制裁金を持つEU、実利を持つPax Silicaに比べ、「対話」と「自己申告」は強制力を欠きます。OECDは回答内容を検証・認証しているわけでもありません。もっとも、規範形成や評判、調達基準への影響という形で効いてくる可能性は残ります。
EUは、なぜ米国の枠組みに署名したのか
ここまでを「規制のEU、供給網の米国、陣営の中国」と整理すると、すっきりします。しかし実際はそう単純ではありません。2026年6月、EUそのものがPax Silica宣言に署名しました。欧州委員会がEUを代表して署名し、ドイツ、ギリシャ、オランダも同時に加わっています。フィンランド、スウェーデンはすでに署名国でした。
つまり「規制のEU」と「供給網の米国」は、対立軸ではありません。オランダ政府は、重要原材料から最終製品まで、AIと半導体のバリューチェーン全体の強靭性を高めるうえでPax Silicaが役立つとし、EUの技術的リーダーシップを踏まえればEUの参加は重要だと説明しています。
ここに緊張があります。Pax Silicaの共同声明は成長重視・イノベーション重視の政策環境を掲げる一方、EUは世界で最も包括的かつ厳格な部類のAI規制を持つ。ただし、これを論理的な「矛盾」と呼ぶのは言いすぎでしょう。Pax文書はEUの規制権限を直接否定しておらず、EU側も規制上の自律性を留保しています。規制、安全保障、産業成長という異なる政策目標を、同時に追求している——そう捉えるほうが正確です。
とはいえ、内部が一枚岩だったわけでもありません。報道によれば、EUの参加にはフランスが反対し、加盟国が署名権限を正式に承認したのは6月8日でした。また、7月16日時点で公表されている署名国を照合すると、WAICOとPax Silicaの双方に参加するのはカザフスタンのみです(前述のとおり、WAICOの創設参加登録は7月30日まで続くため、構成は変わり得ます)。「陣営が3つに割れた」のではなく、性質の異なる複数の力が、同じ国に同時に働いていると見るべきだと思います。
米国には「規制」がないのか
Pax Silicaだけを見ると、米国は供給網にしか関心がないように映ります。実際はどうか。EU AI Actに相当する横断的・包括的な連邦AI法は、いまも存在しません。ただし、著作権や差別、消費者保護、医療などの既存法・分野別規制は当然あり、「無法地帯」ではありません。
その上で、現政権は規制以外の手段に資源を集中させています。2025年11月24日、トランプ大統領はジェネシス・ミッションを創設する大統領令(第14363号)に署名しました。AIを活用して科学的発見を加速させる国家プロジェクトで、大統領令はその緊急性と野心をマンハッタン計画になぞらえています。エネルギー省(DOE)が主導し、政府の科学データと計算資源をAI基盤に接続。10年で米国の科学・工学の生産性と影響力を倍増させる目標を掲げます。
その翌月の12月11日には、AIの国家政策に対する州法の障害を排除するとした大統領令が出され、AI訴訟タスクフォースも設置されました。州法を自動的に無効化するものではありませんが、方向性は明確です。州レベルでも、「高リスクAI」の枠組みを持っていたコロラドAI法が2026年5月の改正法(SB26-189)で、より狭い自動意思決定技術(ADMT)の規制へ再構成されました。一部の州規制では後退が見られる、ということです。
整理すると、現政権は包括的な事前規制よりも、AI開発の推進、供給網の確保、州法の統一・抑制を優先していることになります。EUとは重点の置き方が大きく異なりますが、EUにもAI投資や産業政策があり、米国にも執行はある。単純な二項対立ではない点は押さえておきたいところです。
日本はどこにいるのか
では、日本はどこに立っているのでしょうか。関与の状況を整理すると、こうなります。
| 枠組み | 日本の関与 | 企業への影響 |
|---|---|---|
| EU AI Act | 加盟国ではない | 条件を満たせば域外適用の対象 |
| Pax Silica | 初期からの署名国 | 供給網政策を通じた間接的影響 |
| WAICO | 不参加(7月16日時点) | 標準が分岐すれば対応課題に |
| 広島AIプロセス/OECD報告枠組み | 議長国として立ち上げを主導 | 7社以上が自己報告に参加 |
| 国連 独立国際科学パネル | 松尾豊教授が参加 | 直接の義務はない |
| AI推進法(国内) | 2025年6月公布・9月全面施行 | 罰則規定はない |
上の3行だけを見ると、日本は「米国側に乗り、EUの規制には従わざるを得ない受け身の国」に見えます。しかし、それは一面的です。
2023年、日本はG7議長国として広島AIプロセスを立ち上げ、生成AIに関する国際指針と行動規範の取りまとめを主導しました。そしてその実装として、企業の自己報告をOECDのサイトで公開する報告枠組みが国際運用に乗っています。日本からはKDDI、ソフトバンク、NEC、NTT、富士通、Preferred Networks、楽天などが参加しました。国連の独立科学パネルにも、松尾豊教授が名を連ねています。
つまり日本は、法規制でも陣営でもない「企業の自己報告による透明性」という国際的な型づくりを主導した側でもあります。三極の狭間で漂っているわけではありません。
企業は何を見ておくべきか
実務の観点で、押さえておきたい点を挙げます。
- EU向けの事業があるなら、2026年8月2日の透明性義務は他人事ではありません。第50条は項ごとに義務主体が異なるため、自社が提供者・導入者のどちらに当たるかの確認から始まります(第50条2項のマーキングには12月2日までの限定的な猶予があります)
- 半導体や重要鉱物を扱うなら、Pax Silicaの枠組み次第で調達条件や取引先の要件が変わる可能性があります。ただし宣言自体は非拘束的で、現時点で企業への直接的な義務は生じていません
- 標準化が欧米側とWAICO側に分岐すれば、製品仕様の二重対応が生じ得ます。もっともWAICOは発足直後で、競合する技術標準はまだ公表されていません
- OECD報告枠組みへの参加は法的義務ではなく、参加が規範順守の認証を意味するわけでもありませんが、国際的な説明責任を示す選択肢になります
複数の力が示すもの
ここまで見てきて、私がいちばん引っかかっているのは、「どれが勝つか」という問いの立て方そのものが、たぶん有効ではないということです。
EUは厳格な規制を持ちながら、米国主導の供給網枠組みに参加し、日本はPax Silicaの署名国でありながらEUの規制にも向き合い、日本が主導したG7・OECDの国際報告枠組みにも関与している。カザフスタンは両方の枠組みに名を連ねる。単一の勝者が現れて世界を統一する、という展開にはなっていません。むしろ、どの国も企業も、複数の力を同時に受けながら動いているのが実際のところです。
そしてもう一点。国連の科学パネルが記録した計算資源と統治能力の格差は、WAICOがグローバルサウスを引きつける背景の一つと考えられます。因果関係が実証されたわけではありませんが、包摂を目指す枠組みが記録した不平等が、陣営を分ける動きの土壌になっているとすれば、皮肉な循環です。
私たちが日々触れるAIが、どの国の、どんな価値観のもとで設計され、統治されていくのか。それは供給網の帰属だけでも、規制の強さだけでも決まりません。まとめると、次の3点です。AIのルールは一つに収束していない。三極は性質が異なり、単純な陣営分けではない。そして日本は複数の関係の中にいるが、自ら主導した枠組みも持っている。
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【編集部後記】
この記事を書きながら、何度も手が止まったのは「陣営」という言葉を使うべきかどうか、でした。
地図を色分けするように世界を三つに塗り分けられたら、記事としてはずっと分かりやすい。けれど調べれば調べるほど、EUが米国の枠組みに署名し、日本が複数の関係を同時に抱え、カザフスタンが両方に名を連ねるという、塗り分けを拒む事実ばかりが出てきました。分かりやすさを取るか、正確さを取るか——結局、正確さを選んだつもりです。
私たちが使うAIは、こうした複数の力の交差点に置かれています。どれか一つを選べば安心、という話ではない。少し落ち着かない結論ですが、その落ち着かなさごと引き受けることが、いまAIと付き合うということなのかもしれません。
【用語解説】
Pax Silica(パックス・シリカ)
2025年12月に米国務省主導で発表・署名が始まったAI供給網の枠組みである。半導体・重要鉱物・エネルギーなどを「信頼できるパートナー」で固めることを狙う。2026年6月時点で署名主体は24(EUを含む)。法的拘束力のない政治宣言である。
WAICO(世界人工知能協力機構)
2026年7月16日、上海での設立協定署名式で29カ国が署名し発足した政府間の国際組織である。本部は上海。署名国はグローバルサウスを主対象としつつ、ロシアなど中国と関係の深い国を含む。
広島AIプロセス
2023年5月、日本がG7議長国として立ち上げた生成AIの国際的なルール形成の枠組みである。国際指針と国際行動規範からなり、G7首脳に承認された。成果物はG7各国とEUによる共同の取りまとめである。
報告枠組み(Reporting Framework)
広島AIプロセスの国際行動規範について、AI開発企業が順守状況を自己確認し報告する仕組みである。2025年2月7日にOECDのサイトで運用が始まり、回答内容は公開される。自主的・非拘束的な国際枠組みであり、OECDが内容を検証・認証するものではない。
独立国際科学パネル
2025年8月の国連総会決議で創設が決まった、AIに関する40名の専門家による評価機関である。共同議長はヨシュア・ベンジオとマリア・レッサ。日本からは松尾豊が参加する。最初の包括的な年次報告は2027年の第2回対話に向けて予定されている。
ジェネシス・ミッション
2025年11月24日にトランプ大統領が大統領令(第14363号)で創設した、AIによる科学研究加速の国家プロジェクトである。エネルギー省が主導し、10年で米国の科学・工学の生産性と影響力を倍増させる目標を掲げる。
ブリュッセル効果
EUの規制が域外適用や市場規模を通じて、事実上の世界標準として機能する現象を指す。法学者アヌ・ブラッドフォードが提唱した概念で、GDPRが代表例とされる。EU AI Actにも同様の効果が想定されるが、程度は今後の執行と企業対応次第である。
【参考リンク】
Outcomes of the Second Pax Silica Summit – U.S. Department of State(外部)
米国務省の一次情報。24の署名主体と、AI機会共同声明35カ国の完全リストを確認できる。
Preliminary Report – Independent International Scientific Panel on AI(外部)
国連科学パネルの予備報告。計算資源の偏在や統治能力の格差を示す数値の一次情報にあたる。
29 countries sign agreement on establishing World AI Cooperation Organization(外部)
WAICO設立を伝える中国政府の公式発表。署名日、参加国数、上海本部という基本情報の根拠。
Commission signs Pax Silica declaration – European Commission(外部)
欧州委員会がEUを代表してPax Silicaに署名したことを伝える公式発表。本稿の核心の根拠。
Transparency obligations under Article 50 of the AI Act(外部)
2026年8月2日に始動する第50条の義務主体と、猶予の対象範囲を確認できる公式FAQ。
広島AIプロセス – 総務省(外部)
日本が議長国として立ち上げた国際枠組みの公式ページ。指針・行動規範と参加組織を掲載する。
Transparency Reporting Framework – OECD.AI(外部)
広島AIプロセス報告枠組みの公開サイト。各社の自己報告を実際に読み比べられる。
Launching the Genesis Mission – The White House(外部)
ジェネシス・ミッションを創設した大統領令の原文。米国の推進政策の一次情報にあたる。













