Googleは2025年12月3日、Search ConsoleのSearch results Performanceレポートに「AI-powered configuration」という実験的機能を追加したと発表した。
この機能は自然言語のリクエストをフィルタ、比較、指標選択へ変換し、クエリやページ、国、デバイス、検索での見え方、日付範囲などの条件設定を自動で行う。
利用できる指標はClicks、Impressions、Average CTR、Average Positionの4種類で、対象はSearch resultsのPerformanceレポートのみであり、DiscoverやNewsには対応していない。また、テーブルのソートやデータのエクスポートはサポートされず、AIがリクエストを誤解釈する場合があるため、Googleは提案されたフィルタや設定を確認するよう推奨している。
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Google Adds AI-Powered Configuration To Search Console
【編集部解説】
Search Consoleの「AI-powered configuration」は、検索そのものがAI化していく流れの中で、サイト運営者側の分析体験をアップデートする機能です。従来のPerformanceレポートは強力である一方、複雑な条件を掛け合わせた分析を行うには、フィルタ設計や比較設定に関する慣れと知識が必要でした。この機能は、その設計部分を自然言語プロンプトで肩代わりすることで、レポート作成までのハードルを下げようとしています。
特に注目したいのは、「どのフィルタをどう組み合わせればよいか」というノウハウが、少しずつAI側に移っていく点です。クエリやデバイス、国、期間比較といった条件を自然言語で伝えるだけで、これまで敬遠しがちだった中級以上の分析パターンにアクセスしやすくなります。一方で、AIによる解釈ミスがフィルタ設定のズレにつながる可能性もあるため、プロンプト設計と結果の検算が新たな運用スキルとして求められていきます。
現時点のAI-powered configurationは、DiscoverやNewsには非対応であり、テーブルのソートやエクスポートも行えません。あくまで「レポート構成のアシスタント」であり、分析基盤を置き換える存在ではないことが、仕様から読み取れます。同時に、AI Mode由来のトラフィックを含む検索データがSearch Console上の「Web」検索タイプとして扱われている状況ともリンクしており、既存インフラの上にAIレイヤーを重ねていくというGoogleのスタンスが見えてきます。
ポジティブな面としては、レポート設計の標準化が進むことで、中小規模サイトや個人でも高度な分析パターンを真似しやすくなり、検索データをもとにした意思決定に参加しやすくなります。一方、AIが提案した条件を十分に確認しないままレポートを共有すると、クライアントレポートや社内報告の前提がずれてしまうリスクもあります。そのため、今後は「なぜこの条件で集計したのか」を説明できることが、データ活用とコンプライアンスの両面でより重要になっていくでしょう。
長い目で見ると、Search Consoleは単なるダッシュボードツールから、「質問するとデータで返してくれる分析インターフェース」へと変わっていきそうです。すでに外部では、Search Consoleのデータを対話型AIと組み合わせたツールも現れており、Google自身もその方向に公式機能として歩みを進めています。これからのSEOでは、画面操作の熟練度だけでなく、「AIにどんな問い方をするか」を設計する力が、検索データから未来のチャンスを引き出す鍵になると考えられます。
【用語解説】
Search Console(Google Search Console)
Googleが提供する無料のサイト管理ツールで、検索結果での表示状況やクリック数、インデックス状況などを確認できるサービスである。
Search results Performance report(検索結果のパフォーマンス レポート)
Google検索におけるクリック数、表示回数、平均CTR、平均掲載順位などをクエリ、ページ、国、デバイスなどの切り口で分析できるレポートである。
AI-powered configuration
Search ConsoleのSearch results Performanceレポートで、自然言語プロンプトからフィルタ、比較、指標選択を自動生成する実験的なAI機能である。
AI Mode
Google検索でAIによる回答や要約を返すモードの総称で、Search Consoleでは「Search type: Web」のトラフィックに含まれると説明されている。
Google Search Central
ウェブマスターやSEO担当者向けに、Google検索の技術情報やガイドライン、ブログ記事などを提供する公式ドキュメントとコミュニティの総称である。
AI Overviews
Google検索で一部クエリに対し、複数の情報源を基にしたAIによる要約回答を表示する機能の名称である。
【参考リンク】
Google Search Console(外部)
検索結果でのサイトパフォーマンスやインデックス状況、技術的な問題を確認できるGoogle公式の管理ツールである。
Google Search Central(外部)
検索に関する技術情報やガイドライン、ブログなどを提供するウェブマスターとSEO担当者向けの公式ポータルサイトである。
Performance report(Search results)ヘルプ(外部)
Search ConsoleのSearch results Performanceレポートの指標やフィルタ機能、AI-powered configurationの使い方を説明するヘルプページである。
AI features and your website(外部)
AI OverviewsやAI ModeなどのAI機能がサイトに与える影響や、トラフィックの扱い方を解説するGoogle Search Centralの公式ドキュメントである。
AI-powered configuration公式ブログ(外部)
Search ConsoleのAI-powered configurationの概要や対応範囲、制限事項、利用例、フィードバック方法などを紹介するGoogle公式ブログ記事である。
【参考記事】
Streamline your Search Console analysis with the new AI-powered configuration(外部)
AI-powered configurationの目的や仕組み、対応データ、制限事項、ロールアウト状況などをGoogleが公式に解説している記事である。
Google Search Console tests “AI-powered configuration” to create dynamic reports(外部)
Search ConsoleでのAI-powered configurationテストについて、自然言語プロンプトから動的なレポートを生成する挙動や、対応機能と制限、運用上の注意点をまとめた記事である。
Google Search Console Launches AI-Powered Configuration(外部)
UIキャプチャを交えながら、プロンプト入力が具体的にどのフィルタ設定へ展開されるかを紹介し、手動設定との違いやユースケースを説明しているブログ記事である。
Google’s AI-Powered Configuration Tool for Search Console(外部)
マーケティングエージェンシー視点から、レポート作成の効率化やクライアントレポートへの応用、AI誤解釈リスクへの向き合い方を解説している記事である。
Google Integrates AI Mode Traffic into Search Console(外部)
AI Mode由来のトラフィックがSearch Consoleのメトリクスにどのように含まれるかを説明し、AI検索時代のデータ読み解きのポイントを整理している記事である。
【編集部後記】
Search Consoleの画面を前に「どこから触ればいいのか」と迷った経験がある方は多いのではないでしょうか。AI-powered configurationは、その入り口を少しだけ広げてくれる存在だと感じています。
もし気になる問いがあれば、まずは英語でも日本語でも、自分の言葉でAIに投げかけてみてください。出てきたレポートを眺めながら、「ここからどんな一歩を踏み出せるか」を一緒に考えていけたらうれしいです。






























