Avacus PayでJPYC店舗決済 QRコードで手数料0%を実現する次世代Web3ソリューション

Avacus PayでJPYC店舗決済 QRコードで手数料0%を実現する次世代Web3ソリューション - innovaTopia - (イノベトピア)

「QRコードを見せるだけ」で、日本円建てステーブルコインがそのまま使えるようになったら──。
その瞬間、これまでなんとなく受け入れてきた「決済手数料」や「ポイント」の前提が、静かに書き換わり始めるかもしれません。


Web3テック企業SOWAKA PTE. LTD.(本社:シンガポール、代表:松田航)は、Web3スーパーアプリ「Avacus」において、日本円建て電子決済手段「JPYC」と連携する次世代型Web3決済ソリューション「Avacus Pay」を2025年12月4日に発表した。

「Avacus Pay」は、JPYC株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:岡部典孝)が発行するJPYCを用い、スマホやタブレットのアプリからQRコードを表示して支払う仕組みであり、レジ改修や専用端末は不要で、店舗は決済手数料0%で導入できる。

有料オプションとして店舗独自ポイントの自動付与機能も提供される。 2025年8月にJPYC株式会社が資金移動業者(関東財務局長 第00099号)として登録されたことで、JPYCは日本法下で円と同等の価値を持つ電子決済手段として位置づけられている。

Avacusは決済インフラ「Avacus Pay」と事業者向け運用支援サービス「AIM(Avacus Infrastructure for Merchants)」を提供し、2026年Q1から一部店舗でのパイロット導入を開始し、初年度KPIとして導入1,000店舗、月間流通額1.5億円、リピート率65%を掲げている。

From: 文献リンクAvacus、次世代決済ソリューション「Avacus Pay」を発表!円建てステーブルコインJPYCに対応し、いつものQR決済と同じ感覚で日常に溶け込む、新しいWeb3決済体験を提供!

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SOWAKA Pte. Ltd. PRTIMESより引用
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SOWAKA Pte. Ltd. PRTIMESより引用
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SOWAKA Pte. Ltd. PRTIMESより引用

【編集部解説】

JPYCと連携する「Avacus Pay」は、日本円建てステーブルコインを使ったWeb3決済を、既存のQRコード決済とほぼ同じ体験に近づけようとしているサービスです。 利用者と店舗の双方にとって「ブロックチェーンを意識しなくてよいこと」が鍵であり、JPYCを円に近いデジタルマネーとして扱えるようにする狙いがあります。

前提として重要なのは、2025年8月にJPYC株式会社が資金移動業者として登録され、JPYCが日本法に基づく電子決済手段として整理されたタイミングで、この決済ソリューションが出てきている点です。 これにより、JPYCは「よく分からないトークン」ではなく制度上の位置づけを得た決済資産となり、会計処理やコンプライアンス面を踏まえつつ、事業者が導入を検討しやすい環境が整ってきました。

Avacus Payの特徴である「ガスレスシステム」は、ユーザーがガス代を意識せず、JPYC残高だけで支払いを完結できるようにする仕組みです。 ガス代の自動処理を裏側で行うことで、ウォレットやネットワーク手数料の概念に触れたことがないユーザーでも、既存のQR決済に近い感覚で利用できる体験を目指しています。

店舗側から見ると、「決済手数料0%」と「レジ改修・専用端末が不要」であることは非常に大きなインセンティブです。 従来のQR決済やクレジットカード決済で数%かかっていた手数料がゼロになる設計は、粗利に直接効いてくる一方、ガス代やインフラコストをどのような形で吸収し、ビジネスとして持続させるかは今後の検証ポイントになります。

もう一つの軸が「オンチェーン店舗ポイント」です。 転送不可や店舗内限定利用、有効期限といった条件を柔軟に設計できるため、リアル店舗のロイヤルティプログラムをトークン設計の発想で組み立て直すことができます。 ただし、あくまで店舗内で完結させるのか、将来的に他サービスとつながるのかによって、ユーザーにとっての価値は大きく変わってくるはずです。

運用支援サービス「AIM」は、技術に詳しくない事業者がWeb3を導入する際の心理的・運用的なハードルを下げるための仕組みとして位置づけられています。 初期導入支援や問い合わせ対応、レポーティング、Web3特有の不明点のフォローなどをまとめて提供し、「仕組みはよく分からないが結果として使える状態」を作ることに重心を置いているように見えます。

規制の観点では、JPYCが資金移動業スキームのもとで発行される円建てステーブルコインである点が大きな意味を持ちます。 実店舗決済での利用が進めば、決済インフラとしての信頼性やAML/CFT対応、障害時のリスク管理など、これまで主に取引所や投資商品の文脈で語られてきた論点が、日常の支払いレイヤーに広がっていくことになるでしょう。

長期的に見ると、「AI × Blockchain × Wallet」を掲げるAvacusが、チャットUIを入り口に、送金・スワップ・支払い・ポイントまで統合しようとしている構想は、ユーザーがWeb3を意識せず暮らす世界のプロトタイプと言えます。 日本円建てステーブルコインが街中の店舗で当たり前に使えるようになれば、暗号資産は「投機対象」から「使えるデジタルマネー」へと認識が変わる可能性があり、その過程で鍵管理や不正利用、スマートコントラクトの脆弱性といったWeb3固有のリスクを、ユーザーに意識させすぎずどう吸収するかが、これから問われていきます。

今回のリリースは、「Web3で新しいことをする」だけでなく、「既存の決済やポイント経済のど真ん中にどう入り込むか」をテーマにした動きです。 パイロット導入の結果や、導入1,000店舗・月間流通額1.5億円・リピート率65%というKPIにどこまで迫れるのかを追っていくことで、日本におけるステーブルコイン決済の現実解が見えてくると感じています。

【用語解説】

JPYC
日本円と価値を連動させた日本円建てステーブルコインで、資金移動業スキームのもと電子決済手段として発行されているトークンである。

ステーブルコイン
法定通貨や資産と価値を連動させることで価格変動を抑えた暗号資産の総称であり、決済や送金用途での利用を想定した設計がなされている。

ガス代
ブロックチェーン上でトランザクションを実行する際に支払う手数料であり、ユーザーにとってコストと操作の分かりにくさの要因となる概念である。

Web3スーパーアプリ
ウォレット、決済、ポイント、チャットなど複数のWeb3機能を一つのアプリに統合し、ユーザーがブロックチェーンを意識せず利用できることを目指すアプリ形態である。

【参考リンク】

SOWAKA / Avacus 公式サイト(外部)
Web3スーパーアプリ「Avacus」や関連プロダクト、企業情報を紹介するSOWAKA Pte. Ltd.の公式サイトである。

JPYC株式会社 コーポレートサイト(外部)
日本円建てステーブルコイン「JPYC」の概要や法的スキーム、ニュースリリースを掲載するJPYC株式会社の公式サイトである。

Avacus Web3(Google Play)(外部)
Android向け「Avacus Web3」公式アプリページで、機能説明やスクリーンショット、レビューを確認できるストア掲載情報である。

Avacus Web3(App Store)(外部)
iOS向け「Avacus Web3」公式アプリページで、チャットUIとウォレット機能を統合した特徴が説明されているストア掲載情報である。

【参考記事】

JPYC、店舗決済の主役になるか=店舗手数料、ガス代、専用端末不要の決済サービスが登場(外部)
JPYCとAvacus Payによる店舗決済サービスを取り上げ、決済手数料0%やガスレス設計、専用端末不要といった特徴を概説している。

日本円ステーブルコイン「JPYC」がQR決済対応へ(外部)
日本円建てステーブルコインJPYCのQR決済対応の動きを紹介し、実店舗での利用可能性とWeb3決済の位置づけを解説している。

TIS、JPYCと日本円建ステーブルコイン決済の社会実装に向けた取り組み(外部)
企業システムとJPYCを連携させる取り組みを通じ、ステーブルコイン決済の実務面や社会実装に向けた課題と可能性を説明している。

決済から始まる金融革命~ステーブルコインが拓く社会の変化(外部)
ステーブルコインが決済分野にもたらす影響や規制・リスク管理・ビジネスモデルの論点を俯瞰し、本記事の位置づく文脈を補完している。

JPYCを資金移動業に登録 円建てのステーブルコイン発行へ(外部)
JPYC株式会社の資金移動業登録と円建てステーブルコイン発行の経緯を報じ、法的な位置づけと市場への影響を説明している。

【編集部後記】

いつものQR決済とほとんど同じ操作感で、日本円建てステーブルコインが使えるようになるとしたら、どんな場面で試してみたくなるでしょうか。 決済手数料やポイント設計も含めて、「当たり前」になっていたお金の流れを、自分の足元から見直すタイミングが来ているのかもしれません。

もし身近なお店でこの仕組みが導入されたら、どこまで日常に溶け込んでいてほしいか、一緒にイメージしてもらえたらうれしいです。

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TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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