RealWear Arc 3、NSWが国内提供開始──AI音声OS搭載で現場作業を革新

RealWear Arc 3、NSWが国内提供開始──AI音声OS搭載で現場作業を革新 - innovaTopia - (イノベトピア)

現場で働く人の視界そのものが、次の「インターフェース」になろうとしています。
NSWとRealWearが組み合わせるスマートグラスとAI音声OSは、マニュアルとPCに縛られてきた仕事の風景を、静かに書き換え始めています。


NSW株式会社は2025年12月10日、米RealWear, Inc.のウェアラブルデバイス「RealWear Arc 3」の提供を開始したと発表した。「RealWear Arc 3」は「Navigatorシリーズ」の性能を継承し、「Ari OS」AI音声優先OSを搭載した音声操作型のスマートグラスである。

FHD(1,920×1,080)シースルーディスプレイと広角カメラを備え、両手を使う作業や安全性が重視される現場、遠隔支援が必要な業務向けの現場DXツールとして位置付けられている。

販売価格はオープンプライスで、SSPサポートプランにより購入後3年間のサポートを提供する。NSWは「RealWear Navigatorシリーズ」とあわせて各種システム連携やアプリケーション開発を進めるほか、2026年1月21日~23日に東京ビッグサイトで開催される「スマート工場 EXPO」に出展し、日本初公開となる「RealWear Arc 3」を展示するとしている。

From: 文献リンクNSW、スマートグラス「RealWear Arc 3」を提供開始

 - innovaTopia - (イノベトピア)
NSW株式会社公式プレスリリースより引用

【編集部解説】

RealWear Arc 3が注目される理由は、産業用スマートグラスの市場において「軽量化」と「AI音声操作」という2つの転換点を象徴しているからです。従来のNavigatorシリーズは堅牢性を重視した設計で、過酷な環境下での使用に特化していました。しかし今回のArc 3は従来モデルからさらなる軽量化を実現し、物流、倉庫、ヘルスケアといった長時間装着が求められる業務領域への展開を明確に意識しています。

最大の技術的革新は「Ari OS」の搭載です。これは自然言語による音声制御を可能にする新しいOSで、電話をかけたり、メールを送信したり、写真を撮影したりする操作を音声だけで完結できます。RealWearのCEOが「ChatGPTと話すのと同じくらいシームレス」と表現している通り、技術専門職以外の幅広いユーザー層への普及を狙った設計といえるでしょう。

広角カメラの標準搭載も見逃せません。これまでのRealWearシリーズにはなかった機能で、現場全体の状況把握や複雑な設備点検における遠隔支援の精度を大きく向上させます。遠隔地の専門家が現場作業者の視界をより詳細に共有できることで、トラブルシューティングの時間短縮や判断精度の向上が期待されます。

ただし、音声操作への依存度が高まることで、騒音環境下での使用や音声認識の精度には課題が残る可能性もあります。また、Ari OSを他のハードウェアメーカーにライセンス供与する計画も発表されており、今後の業界標準化の動きにも注目が集まります。

【用語解説】

AR(拡張現実)
Augmented Realityの略。現実世界の映像に、デジタル情報を重ね合わせて表示する技術。スマートグラスでは、作業マニュアルや図面などを視界内に表示しながら、両手を使った作業を可能にする。

シースルーディスプレイ
透過型ディスプレイのこと。ユーザーが現実の視界を保ちながら、同時にデジタル情報を表示できる仕組み。安全性が重視される現場作業において、周囲の状況を常に把握できる利点がある。

現場DX
製造、物流、建設、保守メンテナンスなど、現場業務のデジタルトランスフォーメーション。IoT機器やウェアラブルデバイスを活用し、作業効率化、安全性向上、遠隔支援などを実現する取り組み。

【参考リンク】

NSW株式会社 公式サイト(外部)
1966年創業のITソリューションプロバイダ。製造・流通向けシステム構築やIoT、AI分野での価値創造に取り組む。

RealWear公式サイト(日本語)(外部)
米国に本社を置く産業用ウェアラブルデバイスメーカー。音声操作型スマートグラスを展開し現場作業支援に特化。

RealWear Arc 3 製品ページ(NSW)(外部)
NSWが提供するRealWear Arc 3の詳細情報。製品仕様、活用シーン、導入事例などを掲載。

スマート工場 EXPO 公式サイト(外部)
2026年1月21日~23日開催。IoT、AI、FAによる製造革新をテーマにした東京ビッグサイトでの展示会。

【参考記事】

RealWear brings big tech AI innovation to the frontline of industry(外部)
RealWearが2025年10月28日に発表した公式プレスリリース。Ari OSの自然言語処理機能とArc 3の仕様を詳述。

RealWear launches Arc 3 headset & Ari OS for safer frontline work(外部)
英国IT専門メディアによる解説。Ari OSのChatGPTレベルの対話機能やライセンス供与計画に言及。

RealWear Arc 3 公式製品ページ(外部)
RealWear社の公式製品ページ。Arc 3の技術仕様、活用シーン、従来モデルとの比較を詳細に紹介。

【編集部後記】

現場で働く人たちの「両手が塞がっている」という制約を、テクノロジーはどこまで解消できるのでしょうか。Arc 3のような音声操作型デバイスは、製造業や物流だけでなく、医療現場や介護施設など、私たちの生活に身近な場所でも活用が広がりつつあります。

もし皆さんの職場や日常で「両手を使いながら情報を見たい」瞬間があるとしたら、それはどんなシーンでしょうか。スマートグラスが当たり前になる未来を、一緒に想像してみませんか。

投稿者アバター
乗杉 海
SF小説やゲームカルチャーをきっかけに、エンターテインメントとテクノロジーが交わる領域を探究しているライターです。 SF作品が描く未来社会や、ビデオゲームが生み出すメタフィクション的な世界観に刺激を受けてきました。現在は、AI生成コンテンツやVR/AR、インタラクティブメディアの進化といったテーマを幅広く取り上げています。 デジタルエンターテインメントの未来が、人の認知や感情にどのように働きかけるのかを分析しながら、テクノロジーが切り開く新しい可能性を追いかけています。

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