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GmailのGeminiサイドパネル廃止、インラインAI体験へ全面移行

[更新]2026年1月12日

GmailのGeminiサイドパネル廃止、インラインAI体験へ全面移行 - innovaTopia - (イノベトピア)

Googleは米国のAI ProおよびAI UltraサブスクライバーのGmailにおいて、Geminiサイドパネルを廃止し、新しい「インラインAI体験」に置き換えた。従来のサイドパネルは右上のGeminiスパークアイコンからアクセスでき、メールスレッドの要約、返信提案、メール下書き作成、過去のメールやGoogle Driveファイルの検索、Googleカレンダーのイベント情報取得と作成が可能だった。

新機能にはHelp Me Write、強化されたProofread、スレッドのコンテキストを考慮した返信提案、長いメールスレッドを要約するAI Overviewsが含まれる。個人用Gmailアカウントではサイドパネルは消えたが、Androidモバイル版には残っている。Google Workspaceプランには変更はない。

From: 文献リンクNew Gmail AI features replacing Gemini side panel for some

【編集部解説】

Googleが今回実施したのは、単なるUIの変更ではありません。AIとの対話方法そのものを再定義する動きです。

従来のサイドパネル方式では、ユーザーは「AIに質問する」という明示的なアクションを起こす必要がありました。しかし新しいインライン方式では、メールを読んだり書いたりする自然な流れの中にAIが溶け込みます。これは「AIを使う」から「AIが常にそこにある」へのパラダイムシフトと言えるでしょう。

特筆すべきは、今回の変更がGoogle One AI ProとAI Ultraの有料プランユーザーのみを対象としている点です。無料ユーザーにはHelp Me Writeなどの基本機能が提供されますが、AI Overviewsによる高度な検索や要約機能は有料の壁の向こう側にあります。Gmailの膨大なユーザーベースをどのように収益化していくかというGoogleの戦略が垣間見えます。

技術的な側面では、Gemini 3の性能向上が背景にあります。メールスレッドのコンテキストを理解し、ユーザーの文体を学習してパーソナライズされた返信を生成する能力は、従来のテンプレート的な自動返信とは一線を画します。

しかし課題も存在します。数ヶ月以内に一般展開予定のAI Inbox機能は、メールの優先順位をAIが判断します。これは便利な反面、「AIが重要と判断しなかったメール」が埋もれるリスクも孕んでいます。Google自身は「ユーザーが自身のデータをコントロールできる」と強調していますが、デフォルトでオンになる機能は、オプトアウトしない限りAIによる判断を受け入れることになります。

また、Android版ではサイドパネルが残っているという事実は、この移行が完全に完了していないことを示唆しています。プラットフォーム間での体験の一貫性をどう保つかは、今後の課題となるでしょう。

Google Workspaceプランには変更がないという点も重要です。企業向けサービスでは既存のワークフローを尊重し、個人向けサービスで先行して実験的な機能を展開するというGoogleの慎重なアプローチが見て取れます。

【用語解説】

Gemini(ジェミニ)
Googleが開発した生成AIモデル。テキスト生成、要約、翻訳、コード生成など多様なタスクに対応する。2024年にBardから改称され、現在はGemini 3が最新バージョンとなっている。

インラインAI体験
ユーザーがメールを作成・閲覧する画面内に直接統合されたAI機能のこと。従来のサイドパネルのように別ウィンドウを開く必要がなく、作業の流れを中断せずにAI支援を受けられる。

Help Me Write
Gmailに搭載されたAI文章作成支援機能。簡単なプロンプトを入力するだけで、文脈に応じたメール本文を自動生成する。

Proofread(プルーフリード)
AI搭載の校正機能。スペルや文法の誤りだけでなく、文章スタイルの改善提案も行う。従来の校正ツールより高度な編集支援を提供する。

AI Overviews
長いメールスレッドや検索結果を自動的に要約し、重要なポイントを抽出して表示する機能。情報の全体像を素早く把握できる。

AI Inbox
Gmailに導入予定の新機能。AIがメールの優先度を判断し、重要なメールをハイライト表示する。数ヶ月以内に一般ユーザーへ展開予定。

【参考リンク】

Google One AI Plans(外部)
AI ProおよびAI Ultraプランの公式ページ。各プランの機能、価格、Geminiアクセス権限の詳細を提供。

Gmail(Google)(外部)
Googleが提供する無料ウェブメールサービス。全世界で数十億人規模のユーザーを抱える最大級プラットフォーム。

Google Workspace(外部)
企業・組織向けクラウド型グループウェア。Gmail、Drive、Meetなどのビジネスツールを統合。

【参考記事】

Gmail debuts a personalized AI Inbox, AI Overviews in search and more(外部)
TechCrunchによる包括的レポート。AI Inbox機能の詳細や数ヶ月以内の一般展開予定、Gemini 3の性能向上を解説。

Google just changed Gmail—and it could reshape how you use your inbox(外部)
Fast Companyの分析記事。AIによるメール優先順位付けがユーザー体験をどう変えるか、パーソナライゼーションの仕組みを詳述。

Google adds new AI features to Gmail, making it a personal assistant(外部)
Euronewsの報道。Gmailのパーソナルアシスタント化とユーザーのメール管理方法が根本的に変わる可能性を論じる。

Gmail to Remove Gemini Side Panel for New AI Inbox Rollout(外部)
Jetstreamによる技術詳細記事。サイドパネル廃止の技術的背景とプラットフォーム間での展開状況を解説。

【編集部後記】

みなさんは、AIがメールの優先順位を決めることに抵抗を感じますか?それとも、むしろ歓迎でしょうか。私自身、重要なメールを見落とす不安と、受信トレイの整理から解放される期待の間で揺れています。

AIに任せることで得られる効率と、自分で判断する主体性。この両立は可能なのでしょうか。GmailのAI化は、私たちが「便利さ」と引き換えに何を手放すのか、改めて考えるきっかけになるかもしれません。みなさんの受信トレイでは、どんな変化が起きていますか?

投稿者アバター
TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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