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CEV補助金で価格逆転、PHEVがハイブリッドより安く買える衝撃

2026年1月1日から、日本の電動車購入を後押しするCEV補助金制度が大きく変わる。PHEVの補助額が85万円へ増額された結果、プリウスではPHEVモデルがハイブリッドモデルより実質価格で最大25万円も安くなる逆転現象が発生。

一方でFCVは150万円へ大幅減額となり、水素社会を掲げてきた日本のエネルギー政策に転換の兆しが見える。

本記事は2026年1月21日に公開後、プリウスの価格比較において誤りがあったため、同日中に修正いたしました。


次世代自動車振興センターは2025年12月25日、令和6年度補正予算で実施されているクリーンエネルギー自動車導入促進補助金に関する更新情報を公表した。経済産業省が2025年12月18日に車両の補助上限額の見直しを発表したことを受け、センターは12月19日に補助対象車両ごとの新しい補助額をホームページで公開した。新しい補助額は令和8年(2026年)1月1日以降に新規登録または届出される車両に適用される。センターは12月25日付で交付規程、実施細則、応募要領を更新した。また、よくある質問(FAQ)についても随時更新しており、補助上限額の見直しに関する情報は12月22日に追記された。

From: 文献リンク重要>令和6年度補正 CEV 補助金(車両) 交付規程、実施細則、応募要領 更新のお知らせ

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【編集部解説】

今回の補助金見直しは、日本の電動車市場にとって極めて重要な転換点となります。経済産業省が12月18日に発表した内容によると、EVの補助上限額は90万円から130万円へ40万円の増額、PHEVも60万円から85万円へ25万円増額されました。一方で軽EVは58万円で据え置き、FCVは255万円から150万円へと大幅に減額されています。

この変更が生み出したのが、実質価格の「逆転現象」です。例えばトヨタ・プリウスでは、定価ではハイブリッドモデル(G:325万円)よりPHEVモデル(G:385万円)の方が60万円高いものの、補助金85万円を差し引いた実質価格ではPHEVが300万円となり、ハイブリッドより25万円も安く購入できます。Zグレードでも同様に11万円の差が生まれ、「環境に優しく、しかも安い」という購入者にとって理想的な状況が実現しています。

この見直しの背景には、日米関税協議の合意があります。経済産業省は「種別間の競争条件の公平を図る観点から、種別毎の標準車両価格に一定割合を乗じた値を補助上限額とする」という新しい考え方を導入しました。これは、車種によって異なる価格帯に応じた公平な支援を目指すものです。

ただし、この「お得な補助金」の財源は国の予算、つまり私たち国民の税金です。令和6年度補正予算として計上されたCEV補助金は、電動車を購入する一部の人への支援となる一方、電動車を購入しない、あるいは購入できない人々も含めた全国民が負担している構造になっています。環境対策という公共の利益のための投資と捉えるか、特定の購買層への優遇措置と見るか。この制度設計については、今後も議論が続くでしょう。

注目すべきは適用タイミングです。2026年1月1日以降に新車登録される車両から新補助額が適用されるため、2025年12月31日までに登録された車両は旧補助額が適用されます。ただしFCVについては例外で、年度途中の不利益変更を避けるため、2025年度内は現行の補助額を維持し、2026年度以降に新補助額を適用するという配慮がなされています。

この政策変更により、EVやPHEVの購入がより手頃になる一方、FCVユーザーにとっては補助額が大幅に減少することになります。水素社会実現を掲げてきた日本のエネルギー政策において、FCV補助の縮小は今後の戦略転換を示唆する可能性もあります。

購入を検討している方は、登録日によって受け取れる補助額が大きく変わり、さらには実質価格が逆転する車種もあるため、具体的な見積もりを取って比較検討することが重要です。

【用語解説】

CEV補助金
クリーンエネルギー自動車(CEV)導入促進補助金の略称。電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)などの環境に優しい次世代自動車の購入を支援するため、国が購入者に交付する補助金制度である。

EV(電気自動車)
Electric Vehicleの略。ガソリンを使わず、バッテリーに蓄えた電気でモーターを駆動する自動車。走行中にCO2を排出しないゼロエミッション車両である。

PHEV(プラグインハイブリッド車)
Plug-in Hybrid Electric Vehicleの略。外部電源から充電可能なバッテリーとガソリンエンジンの両方を搭載し、電気とガソリンの両方で走行できる自動車である。

FCV(燃料電池車)
Fuel Cell Vehicleの略。水素と酸素の化学反応で発電し、その電気でモーターを駆動する自動車。走行時に排出されるのは水のみで、環境負荷が極めて低い。

軽EV
軽自動車規格の電気自動車。日本独自の規格で、全長3.4m以下、全幅1.48m以下、排気量660cc以下(EVの場合はモーター出力が相当)に収まる小型の電気自動車である。

【参考リンク】

経済産業省 令和6年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」(外部)
経済産業省による補助金制度の公式ページ。制度概要、補助対象車両、申請方法などの詳細情報が掲載されている。

次世代自動車振興センター CEV補助金情報(外部)
CEV補助金の申請受付を行う一般社団法人次世代自動車振興センターの公式サイト。補助金交付規程や対象車両リストが閲覧可能。

【参考記事】

経産省、CEV補助金補助上限額見直し EV130万円・FCV255万円に(外部)
経済産業省による補助金見直しの詳細を報じた記事。EVやPHEVの増額とFCVの減額について具体的な金額を示している。

電気自動車(EV)購入時に利用できるCEV補助金とは?2025年度版(外部)
2025年12月18日発表の補助金見直し内容を解説。軽EV据え置き、2026年1月1日適用開始について詳しく説明。

令和6年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」(外部)
経済産業省の公式発表ページ。日米関税協議合意を背景に、種別間の競争条件の公平を図る補助上限額算定方法を公開。

【2025年度最新】PHEVの補助金は上限いくら?国や自治体の制度(外部)
PHEV補助金の詳細解説。FCVの年度途中不利益変更回避のための2025年度内現行補助額維持措置について説明。

【編集部後記】

今回の補助金見直しを取材していて、最も考えさせられたのは「誰がこの費用を負担しているのか」という点でした。

プリウスPHEVが実質265万円で買える。これは確かに魅力的です。しかし、その85万円の補助金は、令和6年度補正予算、つまり私たち全員の税金から支払われます。電動車を購入できる経済的余裕がある層への支援を、軽自動車で通勤している人や、そもそも車を持てない都市部の若者も含めた全国民で負担している構図です。

もちろん、これは環境対策という「公共の利益」のための投資という見方もできます。CO2削減は一部の人だけでなく、社会全体が享受する成果だからです。しかし一方で、年収300万円の人が年収800万円の人の新車購入を税金で支援している、という見方もできてしまう。

さらに興味深いのは、水素社会を掲げてきた日本がFCV補助を255万円から150万円へ大幅削減した点です。これは単なる予算配分の変更ではなく、「どの未来に投資するか」という国家戦略の転換を示しているのかもしれません。

補助金制度そのものの是非を問うつもりはありません。ただ、「誰が得をして、誰が負担しているのか」「この政策は本当に公平なのか」「環境対策としての費用対効果はどうなのか」。こうした問いを、受益者も非受益者も含めた私たち全員が考え続けることが、民主主義社会では大切なのではないでしょうか。

電動車の普及は避けられない潮流です。だからこそ、その推進方法については、常に立ち止まって考える必要があると感じています。

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TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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