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海上自衛隊、国内開発の小型UUVを納入無人アセットで水中防衛能力を強化

[更新]2026年1月23日

海上自衛隊、国産水中ドローン配備 IHIと三菱重工が開発した機雷対処システム

2026年1月20日、海上自衛隊は公式SNSを通じて、国内で開発された小型UUV(無人水中機)が新たに納入されたことを公表した。公開された情報によれば、今回納入された装備は「水中防衛用の小型UUV」であり、無人アセットを含む防衛力整備を着実に進めていく方針の一環とされている。

海自の発表では、UUVの外観を示す画像が公開された一方で、型式名、製造企業、配備数、単価、運用部隊、搭載される艦艇などの詳細については明らかにされていない。現時点で一次情報として確認できるのは、「国内開発の小型UUVが納入された」という事実そのものに限られる。

近年、各国海軍では無人水中機を用いた海中監視や機雷対処能力の強化が進められており、日本も例外ではない。海上自衛隊は、無人システムを活用することで、従来は人が直接危険にさらされてきた任務のリスクを低減しつつ、広範囲かつ持続的な海中監視能力を確保することを目指している。

一部の報道や解説では、国内の複数企業が水中無人システムの開発に関与している可能性や、複数種類のUUVが存在するとの見方も示されている。しかし、今回の納入については、公式発表の範囲では特定の企業名や機種構成を確定できる情報は示されていない。そのため、本稿では推測を避け、確認可能な事実のみを基に整理する。

調達や契約に関しては、防衛装備品の取得を所管する防衛装備庁が、毎年度、契約実績を公表している。そこには水中無人機や関連装備とみられる案件も含まれているが、今回SNSで公表された小型UUVと、それらの契約案件が同一であるかどうかは、公開情報だけでは断定できない。金額や契約形態についても、今回の納入装備と直接結びつけて論じることは現時点では難しい。

運用面では、海上自衛隊が無人システムを機雷対処分野に活用する方向性は、これまでの訓練実績からも確認できる。2025年には、もがみ型護衛艦が無人水上艇(USV)を用いた機雷処分関連の訓練を実施したことが報じられており、有人艦艇や潜水員が直接危険海域に入らずに任務を遂行する体制づくりが進められている。ただし、今回納入が公表された小型UUVが、具体的にどの艦艇や部隊で運用されるかについては、公式には示されていない。

日本周辺の安全保障環境を見渡すと、海中における脅威への関心は確実に高まっている。台湾海峡情勢を含む地域情勢の不安定化や、機雷を含む海中兵器の高度化を背景に、海中監視や機雷対処能力の重要性が再認識されている。ただし、今回の小型UUV納入が、特定の有事シナリオを直接想定した装備化であるとまでは、公式発表からは読み取れない。現段階では、あくまで「無人アセットを含む防衛力整備の一環」と位置づけるのが妥当だろう。

無人水中機の導入は、単に新しい装備が加わるという意味にとどまらない。人的リスクの低減、省人化、持続的な監視能力の確保といった課題に対する現実的な解決策でもある。少子高齢化が進む日本にとって、無人システムの活用は、防衛力を維持・強化する上で避けて通れない流れと言える。

今回の小型UUV納入は、その流れの中での一つの節目である。詳細が明らかにされていない部分も多いが、今後の運用実績や追加情報の公開によって、日本の水中防衛能力がどのように進化していくのかが注目される。

From: 文献リンクJapanese Navy Equipped With Domestically Developed Underwater Drones

【編集部解説】

今回、海上自衛隊が公表した小型UUV(無人水中機)の納入は、日本の水中防衛の在り方が大きな転換点を迎えつつあることを示しています。公式発表では詳細が限定的であるものの、「国内開発」「無人アセット」「水中防衛」というキーワードが並んだ点は、今後の方向性を読み解くうえで重要です。

これまで日本の機雷対処や海中警戒は、専用の掃海艇や潜水員による作業に大きく依存してきました。これらは高度な技術と訓練を要する一方で、人的リスクが常に伴う任務でもあります。無人水中機の導入は、そうした危険を最前線で担ってきた人員の負担を軽減しつつ、任務の継続性と柔軟性を高める可能性を持っています。

また、海上自衛隊は近年、無人水上艇(USV)や無人水中機(UUV)を組み合わせた機雷対処構想を段階的に検証してきました。2025年には、もがみ型護衛艦が無人水上艇を用いた機雷処分関連の訓練を実施したことが報じられており、有人艦艇を危険海域に近づけずに任務を遂行する運用思想が、実運用の段階に入りつつあることがうかがえます。

今回納入が公表された小型UUVが、どの部隊や艦艇で使用されるのか、あるいはどの任務を主眼としているのかについては、現時点では明らかにされていません。しかし、あえて詳細を伏せている点も含め、無人アセットが今後の海上防衛において重要な役割を担うこと自体は疑いようがないでしょう。

日本周辺の海洋環境に目を向けると、機雷を含む海中脅威は、平時と有事の境界が曖昧な形で存在しています。そうした中で、常時運用可能で、人的リスクを抑えられる無人水中機は、抑止力と対処力の両面で意味を持ちます。特定の有事シナリオを想定しなくとも、海上交通の安全確保や周辺海域の安定に寄与する装備であることは確かです。

少子高齢化が進む日本にとって、防衛分野における省人化と効率化は避けて通れない課題です。無人システムの活用は、その課題に対する現実的な解の一つと言えるでしょう。今回の小型UUV納入は、日本の防衛力が「人の勇気と技能」に加えて、「無人技術による持続性」を重視する段階へ進みつつあることを象徴しているのかもしれません。

今後、追加の情報公開や運用実績が明らかになることで、この小型UUVが日本の水中防衛にどのような実質的変化をもたらすのかが、より具体的に見えてくるはずです。編集部としても、引き続き動向を注視していきたいと考えています。

【用語解説】

もがみ型護衛艦
海上自衛隊が2020年代から配備を開始した最新鋭の多目的護衛艦。従来の掃海艇とは異なり、鋼製船体でありながら無人システムを活用して機雷対処任務を遂行できる設計が特徴である。艦のコンパクト化と省人化を実現し、少ない乗組員で高度な作戦を可能にする。

機雷対処
海中に敷設された機雷を探知し、識別、無力化または除去する一連の作戦活動。従来は潜水士が直接対処するか、専用の掃海艇が曳航式のソナーを使用していたが、現代では遠隔操作の無人機を活用することで人的リスクを大幅に低減できる。

水中ドローン(UUV)
Unmanned Underwater Vehicleの略。遠隔操作または自律航行によって海中を移動し、偵察、機雷探知、海底調査などの任務を遂行する無人機。今回配備されたUUVは小型の無人水中機とみられるが、型式や構成は公表されていない

XLUUV
Extra Large Unmanned Underwater Vehicleの略で、大型長距離水中無人機を指す。小型UUVよりも航続距離が長く、より複雑な任務に対応可能。日本は将来的に潜水艦の補完戦力としての配備を検討している。

無人水上艇(USV)
Unmanned Surface Vehicleの略。水上を航行する無人艇で、機雷探知や監視任務に使用される。もがみ型護衛艦は水中ドローンと組み合わせて運用する。

【参考リンク】

IHI(株式会社IHI)(外部)
日本を代表する重工業メーカー。造船、航空エンジン、プラント、インフラなど幅広い事業を展開し、防衛装備品の開発・製造も手掛ける。

海上自衛隊(外部)
日本の海上防衛を担う自衛隊の一部門。領海警備、海上交通路の保護、災害派遣などを任務とし、護衛艦、潜水艦、哨戒機などを運用している。

防衛装備庁(外部)
防衛省の外局として、防衛装備品の研究開発、取得、国際協力を一元的に実施する組織。2015年に設立され、防衛装備品の研究開発・取得を所管する組織であり、水中無人機分野の研究にも関与している

【参考記事】

Scenarios for Naval Mine Use and Its Impact on Japan(外部)
日本周辺海域における機雷脅威のシナリオ分析。台湾有事の際に中国や台湾が設置した機雷が潮流や嵐によって日本周辺海域に漂流し、海上交通を麻痺させる可能性を指摘。

Mogami-class Frigate Leads JMSDF’s First-Ever Mine Disposal Drill Using USV(外部)
2025年6月27日に実施されたもがみ型護衛艦による初の無人水上艇を使った機雷処理訓練について報告。従来の掃海艇とは異なる新しい運用方法を実証した。

China may turn South China Sea into AI‑triggered mine zone(外部)
中国が南シナ海の海底地形を利用した戦略的機雷敷設の研究を進めている状況を分析。AI制御による機雷システムが東アジアの海洋安全保障に与える影響を考察。

Our First Look at Japan’s New XLUUV Submarine Drone(外部)
日本が研究開発中の大型長距離水中無人機について初めて詳細に報じた記事。将来的には潜水艦の補完戦力として位置づけられる構想があることを明らかにしている。

General purpose frigate | Royal Australian Navy(外部)
オーストラリア海軍が2025年にもがみ型護衛艦を次期汎用護衛艦として採用したことを発表。日本の防衛技術が海外で選ばれた事例として注目される。

【編集部後記】

日本周辺の海では、私たちが普段意識しない「見えない脅威」が静かに存在しています。機雷という古典的な兵器が、AIや無人技術と組み合わさることで、新たな戦略的意味を持ち始めているのです。

今回の水中ドローン配備は、そうした変化への日本なりの答えとも言えるでしょう。皆さんは、無人技術が防衛分野でどこまで進化していくとお考えですか。人の手を離れた技術が安全保障を担う時代に、私たちはどんな視点を持つべきなのか。ぜひご一緒に考えていければと思います。

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TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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