カリフォルニアに拠点を置くAnduril社が、米国海兵隊に機械学習搭載の攻撃ドローン「Bolt-M」を600機以上納入する。Anduril社は2026年1月15日、この契約獲得を発表した。
契約額は2390万ドルで、Bolt-MはOrganic Precision Fires-Light(OPF-L)プログラムの次段階として、2026年2月から2027年4月にかけて納入される。13ヶ月間のテスト期間中、250機以上のBolt-Mが納入され、数百回の飛行で安全性と性能が検証された。
Bolt-Mは40分以上の滞空時間と20キロメートルの航続距離を持ち、自律的なウェイポイントナビゲーション、標的追跡機能を備える。2026年夏から最初の実戦部隊への配備が開始され、徒歩移動する海兵隊歩兵小銃分隊が視界外の敵と交戦できる携帯可能な精密攻撃能力を提供する。
【編集部解説】
Anduril社による米国海兵隊へのBolt-M納入は、現代の戦闘様式が根本的に変容していることを示しています。これまで精密攻撃は専門部隊や航空支援に依存していましたが、Bolt-Mは個々の歩兵分隊レベルで視界外の敵を攻撃できる能力を付与します。
特筆すべきは、機械学習による自動化と人間の判断のバランスです。Bolt-Mは飛行経路の最適化や標的追跡を自動化しますが、最終的な攻撃判断は人間のオペレーターが「どこを見るか」「何を追うか」「どう交戦するか」「いつ攻撃するか」という4つの意思決定を行います。これは完全自律兵器システムに対する倫理的懸念に配慮した設計といえるでしょう。
携帯性も重要なポイントです。40分以上の滞空時間と20キロメートルの航続距離を持ちながら、人が運搬できるサイズに収まっています。これにより、重装備を持たない歩兵部隊でも長距離精密攻撃能力を獲得できます。
OPF-Lプログラムは「オーガニック(有機的)」という言葉が示すとおり、外部支援に依存せず部隊が独自に保有する火力を意味します。徒歩移動する小銃分隊が自前の精密攻撃手段を持つことで、戦術的な柔軟性と即応性が大幅に向上します。
興味深いのは、Anduril社の製造速度です。別の顧客向けに契約から5ヶ月で300機以上を納入した実績は、従来の防衛産業の開発・生産サイクルとは一線を画します。シリコンバレー的なアジャイル開発手法と、大量生産体制の確立が、この高速納入を可能にしていると考えられます。
一方で、このような致死的自律兵器の拡散は国際的な軍備管理の観点から懸念材料でもあります。低コストで大量生産可能な徘徊型弾薬は、紛争の敷居を下げる可能性があります。また、機械学習アルゴリズムの誤認識や誤作動による巻き添え被害のリスクも存在します。
技術的には、Bolt-Mが搭載する「標的非依存のオブジェクト追跡」機能が注目されます。これは特定の標的タイプに限定されず、あらゆる物体を追跡できることを意味し、戦場での適応性を高めています。
【用語解説】
OPF-L(Organic Precision Fires-Light)プログラム
米国海兵隊が推進する、徒歩移動する歩兵小銃分隊に携帯可能な精密攻撃能力を提供するための装備プログラム。「オーガニック」は部隊が独自に保有する火力を意味し、外部の航空支援や砲兵支援に依存しない自己完結型の攻撃手段を指す。
徘徊型弾薬(Loitering Munition)
目標上空で待機しながら標的を探索し、適切なタイミングで攻撃を実行できる自爆型ドローン。従来のミサイルと異なり、発射後も標的を変更したり攻撃を中止したりできる柔軟性を持つ。「神風ドローン」とも呼ばれる。
ウェイポイントナビゲーション
あらかじめ設定された複数の経由地点(ウェイポイント)を自律的に飛行する航法システム。GPS座標などを用いて、人間の操縦なしに目的地まで自動飛行できる。
【参考リンク】
Anduril Industries(外部)
防衛技術を専門とするシリコンバレー発のスタートアップ企業。自律システムとAI技術を活用している。
Bolt – Anduril(外部)
Anduril社が開発するBoltシリーズの製品ページ。徘徊型弾薬Bolt-Mの技術仕様と特徴を掲載。
U.S. Marine Corps(外部)
米国海兵隊の公式ウェブサイト。組織概要、装備、作戦に関する情報を提供している。
【参考記事】
Anduril Wins $23.9M Contract to Equip U.S. Marines With Man-Packable Bolt-M Loitering Munitions(外部)
2026年1月15日の契約発表を詳細に報道。Bolt-Mの戦術的意義を分析している。
US Marines Select Anduril’s Bolt-M Loitering Munitions for OPF-L Program(外部)
Bolt-Mの技術仕様と納入スケジュールを詳述。重量や生産体制の具体的数値を提供。
Organic Precision Fires-Light: USMC orders Bolt-M(外部)
OPF-Lプログラムで採用された3社の徘徊型弾薬を比較。性能差を詳細に分析している。
Marines Prioritize ‘Complimentary’ Mix of Loitering Munitions With New Contract(外部)
海兵隊が複数ベンダーから異なるタイプの徘徊型弾薬を調達する戦略的理由を解説。
Anduril Unveils Bolt ISR Drone and Loitering Munition(外部)
Bolt-Mのコスト構造とウクライナ戦争で使用される低コストドローンとの比較分析。
【編集部後記】
ドローン技術の進化は、戦争の形を変えつつあります。かつて航空支援や砲兵に頼っていた精密攻撃が、今や一人の兵士の手の中に収まる時代です。この変化は軍事だけでなく、民生技術の発展にも大きな影響を与えるでしょう。自律飛行、物体追跡、リアルタイム判断支援といった技術は、災害救助や物流、インフラ点検など、私たちの生活を支える場面でも応用が進んでいます。技術の光と影、その両面を見据えながら、未来の可能性について一緒に考えていきませんか。






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