Beam、Veo 3.1搭載「playable video」始動 動画をノーコードでインタラクティブ化

[更新]2025年12月14日

Beam、Veo 3.1搭載「playable video」始動 動画をノーコードでインタラクティブ化 - innovaTopia - (イノベトピア)

動画生成AIは「作る」フェーズを超え、いよいよ「遊ばせる」フェーズに入りつつあります。
Beamが掲げる“playable video”は、短い動画をミニゲームや分岐ストーリーへ変える、新しい体験設計の入口です。


2025年12月12日、Phaser Studio Inc.は、BeamがVeo 3.1を利用したplayable videoプラットフォームを開始したと発表した。Beamは、通常の動画をplayable mini-gamesやinteractive AI storiesに数分で変換するAI制作ツールで、ブラウザ上でAI video、images、musicを生成し、Grid editorでsceneを配置してbranching logicで接続し、Webに公開できる。

Matt Dukes(CEO)がコメントした。早期アクセスはunlimited free generationsを含み、将来はcreator monetization、discovery、distribution機能の拡張を予定する。

From: 文献リンクBeam Launches Veo 3.1-Powered AI Platform for Creating Playable Video Games and Interactive Stories

 - innovaTopia - (イノベトピア)
Beam PRNewswireより引用

【編集部解説】

Beam(Phaser Studio Inc.)が打ち出したのは、生成AIで作った動画を“見せる”だけで終わらせず、ブラウザ上で“遊べる体験”に組み直す「playable video」という考え方です。重要なのは動画生成モデルそのものの優劣というより、生成した素材(AI video/images/music)を、分岐やシーン接続として構造化して公開できる制作レイヤーが前面に出ている点だと感じます。

記事内では、BeamのGrid editor上でシーンを配置し、branching logicでつないでWebに即時公開できると説明されています。これは動画編集というより、短いインタラクティブコンテンツを素早く組み立てる軽量な制作工程に寄っており、動画とゲームの境界を曖昧にします。

また、Veo 3.1はGoogle側の公式情報としてモデル概要が公開されており、開発者向けにはGemini APIでの動画生成手段も提示されています。BeamはVeo 3.1を含むマルチモデルAIエンジンを掲げているため、モデルの進化と、ノーコードで体験化するワークフローが結びつくことで「短尺動画の次の表現」を狙う動きと捉えられます。

ポジティブな側面としては、映像制作に強い人が「分岐」「選択」といったゲーム的要素を実装コストを抑えて試しやすくなる点が挙げられます。早期アクセスでunlimited free generationsを含むとしているため、試行錯誤を前提にした生成制作とも噛み合います。さらにBeamはcreator monetization、discovery、distributionの拡張を計画しており、制作だけでなく流通と収益化まで含めた設計を見据えていることが読み取れます。

一方、リスクは「体験として拡散する」こと自体が増幅装置になる点です。権利侵害や誤情報が、動画単体ではなくインタラクティブな形式で配布されると、受け手の没入度や拡散動機が変わり、影響範囲の見積もりが難しくなります。そのため今後は、生成・公開・共有の導線に、安全対策やガードレールをどう組み込むかが、プロダクト価値と同じくらい重要になっていくはずです。

【用語解説】

Veo 3.1
Google DeepMindが公開している動画生成AIモデルの名称である。

playable video
動画を視聴対象にとどめず、操作や分岐を通じて体験できる媒体として扱う概念である。

no-code
プログラミングを前提とせずに制作や構築を進める方法である。

Grid editor
シーンを配置し、つなぎ合わせて体験を組み立てるためのBeam内の視覚的編集UIを指す。

branching logic
選択や条件によって展開が分岐する構造を指す。

multi-model AI engine
複数のAIモデルを組み合わせて利用する構成を指す。

【参考リンク】

Beam(外部)
動画を生成し、分岐や接続を組んでインタラクティブ短編として公開する公式サイトだ

Veo – Google DeepMind(外部)
Google DeepMindがVeoの概要や位置づけ、安全面の考え方を説明する公式ページだ

Generate videos with Veo 3.1 in Gemini API(外部)
Gemini APIでVeo 3.1を使い動画生成する方法を示すGoogle公式ドキュメントだ

Phaser Studio Inc.(PRNewswire)(外部)
Phaser Studio Inc.名義のPRNewswire掲載リリースを一覧で確認できるページだ

【参考動画】

【参考記事】

Veo – Google DeepMind(外部)
Google DeepMindがVeoの概要や安全面の考え方を整理した公式ページだ

Generate videos with Veo 3.1 in Gemini API(外部)
Gemini APIでVeo 3.1を使った動画生成手順を説明する開発者向け公式文書だ

【編集部後記】

生成AIで動画を作れる時代は当たり前になりつつありますが、次の差分は「その動画をどう体験に変えるか」かもしれません。もし短い動画に選択肢や分岐を足せるなら、製品デモ、教育、エンタメのどれに一番効きそうでしょうか。

まずは身近な1本を、触れるストーリーに置き換えるとしたら何ができるか、想像から始めてみてください。

投稿者アバター
TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

読み込み中…
advertisements
読み込み中…