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SCSKがAIロボット協会に参画、フィジカルAIで製造・物流の現場自律化を加速

SCSKがAIロボット協会に参画、フィジカルAIで製造・物流の現場自律化を加速

2026年、フィジカルAIの社会実装が本格化する中、SCSK株式会社がトヨタ自動車やKDDIも名を連ねるAIロボット協会(AIRoA)に参画した。約10,000社の顧客基盤を武器に、製造・物流・インフラ点検といった現場へのロボット普及を目指す動きは、労働人口減少という日本の構造的課題への一つの解答となるか。


SCSK株式会社は2026年1月23日、AIロボット協会(AIRoA)に2026年1月1日付で参画したと発表した。

同社は技術戦略「技術ビジョン2030」の注力デジタル技術領域である「AI/データ活用」の一環として、フィジカルAI分野の取り組みを加速する。AIRoAは2024年12月に設立された非営利団体で、NEDOの公募事業に採択された実績を持ち、産学連携で次世代ロボットの基盤モデル開発やデータエコシステムの構築を推進する。

SCSKは同協会への参画を通じて、フィジカルAIに関する最新技術の獲得およびAI・ロボティクスの現場適用に向けた検証を開始する。同社は約10,000社の顧客基盤を活かし、製造や物流、インフラ点検といった現場へのロボット普及・社会実装を目指す。

今後は製造ラインで人と協働するAIロボットの開発や、ロボットを一元管理・運用できるプラットフォームの開発に取り組む。

From: 文献リンク次世代ロボット開発の『AIRoA』に参画 フィジカル AI による現場自律化を加速

【編集部解説】

今回のSCSKによるAIRoA参画は、2026年に入って急速に加速する「フィジカルAI」の潮流を象徴する動きです。2026年1月のCESでNVIDIAがフィジカルAI向けの新モデル群を発表したことで、業界全体が一気に社会実装フェーズへと動き始めています。

フィジカルAIとは、デジタル空間で完結する従来のAIとは異なり、ロボットなどの物理的なハードウェアに搭載され、現実世界と相互作用するAI技術を指します。ChatGPTが言語処理で革命を起こしたように、フィジカルAIはロボティクス分野における「ChatGPT moment」を迎えようとしているのです。

SCSKが参画したAIRoAには、トヨタ自動車、KDDI、日立製作所、NEC、富士通、三菱電機といった日本を代表する企業が名を連ねています。この協会は2025年にNEDOの公募事業に採択され、ロボティクス分野の生成AI基盤モデル開発に向けたデータプラットフォームの構築を進めています。

特に注目すべきは、SCSKが約10,000社という顧客基盤を持つ点です。これは単なる技術開発にとどまらず、製造、物流、インフラ点検といった多様な現場への実装を見据えた戦略的な動きといえます。

しかし、フィジカルAIの社会実装には課題も存在します。ニュースリリースで言及されているVLM(視覚言語モデル)は、ロボットが視覚情報と言語を統合的に理解する技術ですが、画像の回転や歪みといった単純な変化でも誤認識を起こすリスクが研究されています。

SCSKが「安心・安全に利活用できるVLM」の開発を掲げているのは、こうした安全性の課題を認識した上での慎重なアプローチです。特に製造ラインで人と協働するロボットの場合、誤った判断が重大な事故につながる可能性があるため、技術的な性能だけでなく安全性の担保が不可欠です。

AIRoAが目指す「ロボット基盤モデル」は、異なる産業や環境で収集したデータを活用し、多様なタスクに対応できる汎用的なAIモデルです。これにより、個別の現場ごとにゼロから開発する必要がなくなり、ロボット導入のハードルが大きく下がることが期待されています。

今後数年以内にロボットが日常生活に浸透すると予測される中、SCSKのような大手IT企業がエコシステム構築に参画する意義は大きいでしょう。デジタル空間での業務自律化の知見を、フィジカル空間へと拡張する取り組みは、労働人口減少という日本の構造的課題への一つの解答となる可能性を秘めています。

【用語解説】

フィジカルAI(Physical AI)
デジタル空間で完結する従来のAIと異なり、ロボットなどの物理的なハードウェアに搭載され、現実世界と相互作用するAI技術。カメラやセンサーで取得した視覚情報をもとに、実世界の物体を認識・操作・判断する能力を持つ。ChatGPTが言語処理で革命を起こしたように、ロボティクス分野における次世代AIの中核技術として注目されている。

基盤モデル(Foundation Model)
大量のデータで事前学習された汎用的なAIモデル。特定のタスクに特化せず、様々な産業や環境で収集したデータを活用することで、多様な用途に転用可能。個別の現場ごとにゼロから開発する必要がなくなり、開発コストと時間を大幅に削減できる。

データエコシステム
データの収集、共有、活用を促進する仕組みやプラットフォーム。AIRoAの文脈では、産学連携で様々な現場から収集したロボティクスデータを統合し、参加企業が共同で活用できる環境を指す。

VLM(Vision Language Model:視覚言語モデル)
画像などの視覚情報と自然言語を統合的に理解・処理するAIモデル。ロボットが「赤い箱を取って」といった人間の指示を理解し、カメラで認識した物体と言語を結びつけて適切な行動を取ることを可能にする。安全性の観点から、誤認識を防ぐ技術開発が課題となっている。

【参考リンク】

SCSK株式会社(外部)
住友商事グループの大手独立系IT企業。約10,000社の顧客基盤を持ち、システム開発・運用やITインフラ構築などを提供する。

一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)(外部)
2024年12月設立の非営利団体。トヨタ、KDDI、日立など日本を代表する企業が参画し、産学連携でロボティクスの基盤モデル開発を推進。

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)(外部)
エネルギー・環境問題の解決や産業技術力の強化のため、委託事業や補助金により技術開発を支援する政府機関。

SCSKグループ技術戦略「技術ビジョン2030」(外部)
先進デジタル技術の活用による事業構造の変革や生成AIによる生産性向上を目指す技術戦略。AI/データ活用を注力領域とする。

【参考記事】

NVIDIA が新しいフィジカル AI モデル群をリリース(外部)
NVIDIAが2026年1月のCESで発表したフィジカルAI向けプラットフォーム「Cosmos」について報じた記事。

Physical AI Made Waves At CES 2026. What Is It?(外部)
Forbes誌がCES 2026でのフィジカルAIの盛り上がりを報じた記事。ChatGPT的革命がロボティクスで起きようとしている。

トヨタ・KDDI参加「AIロボット協会」、基盤整え開発加速(外部)
日本経済新聞がAIRoAの設立について報じた記事。トヨタ、KDDI、日立など主要企業が参画し基盤モデル開発を進める。

ローカル5GはフィジカルAIの基盤に 日本の強みは”人とAIの共存”(外部)
日本のフィジカルAI戦略を分析。今後数年以内にロボットが日常生活に浸透すると予測し、人とAIの共存が日本の強みと指摘。

Safely Leveraging Vision-Language Foundation Models in Robotics: Challenges and Opportunities(外部)
IEEE ICRA 2025でのワークショップ。VLMをロボティクスに安全に活用する際の課題と機会を議論している。

【編集部後記】

フィジカルAIによって、ロボットが「目の前の状況を理解し、自ら判断して動く」時代がすぐそこまで来ています。みなさんの職場や日常生活で、どんな場面にロボットがいてくれたら助かるでしょうか?変形した段ボールを持ち上げる倉庫作業、天候が変わる屋外でのインフラ点検、照明条件が刻々と変わる製造ライン。

これまで「人間にしかできない」と思われていた仕事が、AIロボットの領域になっていくかもしれません。一方で、安全性の課題や、人とロボットがどう協働していくかという問いも生まれています。みなさんは、この技術にどんな期待と不安を感じますか?ぜひSNSで教えてください。

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TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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