AIはテキストで答えるもの——その常識が静かに崩れ始めた。Claudeがコード不要で、会話の流れの中にリアルタイムのビジュアルを生成できるようになった。
Claudeは2026年3月13日(日本時間)、チャット内でインタラクティブなチャートや図を直接作成できる機能の提供を開始した。この機能は同日からベータ版として公開されており、無料プランを含むすべてのプランで利用可能だ。
claude.aiにアクセスすることで利用できる。公式アカウント「@claudeai」による告知投稿は1,060万回以上閲覧され、いいね数は4.1万件、リポスト数は5,527件、返信数は1,515件、ブックマーク数は1.6万件を記録した(2026年3月16日 午前9時30分時点)。
From:
Claude (@claudeai) on X — インタラクティブなチャート・図の生成機能発表
【編集部解説】
これまでClaudeには「Artifacts(アーティファクト)」と呼ばれる文書・コード・HTMLなどを生成できる機能がありました。しかしArtifactsは画面右側のサイドパネルに表示される”固定的な成果物”として存在しており、会話の流れとは切り離されていました。今回の新機能はまったく異なります。会話の中にリアルタイムで視覚化が差し込まれ、その後の会話の流れに応じてビジュアルそのものが更新・変化していくのです。
具体的に何ができるのかを押さえておきましょう。複利計算のグラフ、クリック操作で詳細が表示される元素周期表、建物の荷重分布図、CSVファイルをアップロードしてのデータチャート化、オプション比較のビジュアル——こうした視覚化がコードを一切書かずに、会話の中で即座に生成されます。「図に描いてみて」「時系列で見せて」と話しかけるだけでよく、Claudeが必要と判断した場合は自動的にビジュアルを挿入します。この機能はデフォルトでオンになっており、設定変更なしにすぐ使い始められます。
この機能が持つ意味は、AIが「テキストで答えるもの」という常識を崩すことにあります。データ分析、教育、ビジネスプレゼンテーション、エンジニアリングの説明など、これまで別のツールを立ち上げなければならなかった場面が、Claudeとの会話一本で完結できるようになります。なお、今回の改善と並行して、ClaudeはFigma・Canva・Slackなどの外部サービスを会話内から直接操作できる連携機能も実装されており、実務への組み込みが現実的な選択肢となってきました。
一方で注意しておきたい点もあります。ビジュアルはデフォルトで一時的な存在であり、会話の進行とともに消えたり変化したりします。保存する場合はSVG・HTMLファイルとしてダウンロードするか、Artifactに変換する手順が必要です。また、CSVなど実データをアップロードする際には機密情報や個人情報の取り扱いに慎重になるべきでしょう。なお、現時点ではiOS・AndroidアプリおよびCoworkセッションではこの機能を利用できず、Webアプリとデスクトップアプリに限られています。
競争の観点からも、この動きは見逃せません。OpenAIやGoogleも同様のビジュアル生成機能を展開しており、主要AIプラットフォームがこぞって「会話=分析・作業の場」へと進化しています。データを扱うあらゆる職種のプロフェッショナルにとって、AIの使い方そのものを見直すタイミングが来ているといえます。
【用語解説】
Artifacts(アーティファクト)
Claudeが生成する「永続的な成果物」のことだ。文書・コード・HTMLなどをチャット右側のサイドパネルに表示し、保存・共有・ダウンロードが可能な形式で提供される。今回の「インタラクティブなチャート・図」はArtifactsとは異なり、会話の流れに応じて変化する一時的なビジュアルとして設計されているが、会話中にArtifactへ変換することも可能。
CSV(Comma-Separated Values)
データをカンマ区切りで記述するテキスト形式のファイル。Excelなどの表計算ソフトとの互換性が高く、企業のデータ管理や分析の現場で広く使われている。Claudeにアップロードすることで、コードを一切書かずにインタラクティブなチャートへ変換できる。
【参考リンク】
Anthropic 公式サイト(外部)
Claudeを開発するAI安全研究企業。2021年創業。AIの安全性・信頼性を重視し、企業向けAIソリューションを提供している。
Claude 公式サイト(claude.ai)(外部)
Anthropicが提供するAIアシスタント。無料プランを含む全プランで利用可能。ビジュアル機能はWebアプリ・デスクトップ版が対象。
Figma(外部)
クラウドベースのUI/UXデザインツール。Claudeの会話内から直接操作できる連携機能を備え、デザインフローの効率化に活用できる。
Canva(外部)
ノーコードのビジュアルデザインプラットフォーム。プレゼンや動画など幅広く作成でき、Claudeの会話内から直接操作できる連携機能に対応。
Slack(外部)
ビジネス向けチームコミュニケーションツール。Claudeの会話内から直接操作・投稿できる連携機能に対応しているプラットフォーム。
【参考動画】
【参考記事】
Claude Now Builds Interactive Charts on the Fly — No Code Required(外部)
Anthropicの資金調達・売上推移を数値で詳述。競合比較やFigma・Slack連携機能も網羅した総合的な英語解説記事。
Claude builds interactive visuals right in your conversation(Anthropic公式ブログ)(外部)
Artifactsとの差異、Figma・Canva・Slack連携、デフォルトONの仕様について公式見解を明記した一次情報ソース。
Custom visuals in chat(Claude公式ヘルプセンター)(外部)
HTML構築の仕組み・SVG保存方法・iOS/Android非対応など技術仕様を詳述した公式ドキュメント。
Claude can now create interactive charts and visualizations directly in chat(外部)
Artifactsとの技術的関係性を整理し、インラインビジュアル機能の位置づけをわかりやすく解説した海外テックメディア記事。
Claude added immersive visuals to chats in real-time, currently in beta(外部)
荷重分布図やアイデアマップなど具体的なユースケースを交え、Geminiとの比較にも言及した解説記事。
【編集部後記】
「AIに話しかけると、グラフが返ってくる」——そんな体験、もうしてみましたか? データを貼り付けるだけで、会話の中に図が生まれてくる感覚は、実際に触れてみると思った以上に驚きがあります。私自身もまだ探り探りですが、この変化がどこまで広がっていくのか、一緒に見届けていきたいと思っています。
試しに、先日公開したこちらの記事(https://innovatopia.jp/ai/ai-news/85024/)に登場するGENIAC-PRIZE製造業テーマの最終候補8社をClaudeに渡して「カード形式で表にして」と頼んでみたところ、即座に見やすいグリッドレイアウトで整理してくれました。

箇条書きや表でも同じことはできますが、視覚的な整理のされ方がまるで違います。ぜひ、ご自身のデータや資料でも試してみてください。







































