最新ニュース一覧

人気のカテゴリ


Circle、時価総額440億ドルで国法銀行免許申請 – USDC準備金の自社管理へ

Circle、時価総額440億ドルで国法銀行免許申請 - USDC準備金の自社管理へ - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-07-01 15:59 by さつき

米国のステーブルコイン発行企業Circle Internet Groupが2025年6月30日、米国通貨監督庁(OCC)に国法信託銀行免許を申請した。

同社はUSDCステーブルコインの発行企業で、6月5日のIPOで約180億ドルの評価額を獲得している。認可されれば「First National Digital Currency Bank, N.A.」という名称の国法信託銀行を設立する。

この免許により、Circleは現在BlackRockとBNY Mellonが管理するUSDC準備金の一部を自社管理し、機関投資家向けにブロックチェーン上の株式や債券などトークン化資産の保管サービスを提供できるようになる。

暗号資産企業でこの種の免許を取得したのはAnchorage Digitalのみである。CircleのCEOジェレミー・アレール氏は透明で効率的なインターネット金融システム構築の重要なマイルストーンと述べた。

同社株価は現在約181ドルで取引され、時価総額は約440億ドルに達している。上院が可決したGENIUS法案は下院での採決を待っており、ステーブルコインの規制枠組みを米国に提供する予定である。

From: 文献リンクStablecoin issuer Circle applies for a national bank charter

【編集部解説】

今回のCircleの国法信託銀行免許申請は、6月5日の大成功IPOに続く戦略的な動きとして、暗号資産業界全体にとって歴史的な転換点となる可能性があります。

IPO後の急成長と市場評価

CircleのIPOは当初約60億ドルの評価額でスタートしましたが、現在の株価約181ドルで時価総額は約440億ドルに達しています。この急激な成長は、機関投資家からの強い期待を反映しており、Wall Street主要証券会社も相次いでカバレッジを開始しています。Barclays、Bernstein、Canaccord Genuityが200ドル超の目標株価で「買い」評価を付ける一方、JPMorganとGoldman Sachsは高い評価額に対して慎重な姿勢を示しています。

準備金管理の革新的アプローチ

現在、CircleのUSDC準備金はBlackRockとBNY Mellonという金融業界の巨人によって管理されています。新しい信託銀行では、これらの関係を維持しながら一部の準備金を自社管理することで、より透明性の高い運営を実現します。これは、ステーブルコイン業界における信頼性向上の重要な一歩となるでしょう。

GENIUS法案の立法プロセス

6月17日に上院を通過したGENIUS法案は、現在下院での採決を待っています。この法案が成立すれば、ステーブルコイン発行企業に対して月次の準備金開示や流動性の高い資産による裏付けが義務付けられます。トランプ大統領の署名により法制化される見込みで、Circleの信託銀行免許取得はこれらの要件への準拠を容易にします。

トークン化資産への展開

特に注目すべきは、Circleが従来の暗号資産(BitcoinやEthereum)ではなく、株式や債券のトークン化資産の保管に焦点を当てている点です。これは従来の証券業界にとって革命的な変化をもたらす可能性があり、24時間365日の取引や即座の決済、大幅なコスト削減を実現する可能性があります。

グローバル規制対応の先駆者

Circleは2015年のNYDFS BitLicense取得、2024年のEU MiCA規制への準拠、2025年4月のアブダビでのライセンス取得など、グローバルな規制対応において常に先駆者的な役割を果たしています。今回の動きも、この一貫した戦略の延長線上にあります。

業界への長期的影響

この動きは、暗号資産業界全体の「制度化」を加速させる触媒となる可能性が高いです。連邦政府の監督下にある大手企業の存在は、他の金融機関や企業にとって暗号資産への参入障壁を下げ、結果的に市場全体の成熟と拡大を促進することになるでしょう。

【用語解説】

ステーブルコイン
法定通貨(主に米ドル)に価値を連動させた暗号資産。価格変動を抑制し、決済や送金に適している。1USDC=1USDのように設計される。

国法信託銀行免許
米国通貨監督庁(OCC)が発行する連邦レベルの銀行免許。預金受入や融資は行わず、顧客資産の保管・管理を専門とする信託業務に特化した免許。

GENIUS法案
「Guiding and Establishing National Innovation for US Stablecoins Act」の略。2025年6月17日に上院を通過したステーブルコイン規制法案。発行企業に準備金開示や流動性資産による裏付けを義付ける。

OCC(米国通貨監督庁)
Office of the Comptroller of the Currencyの略。米財務省の内部機関で、国法銀行の免許発行や監督を行う。日本の金融庁に相当する役割を持つ。

トークン化資産
株式や債券などの従来の金融商品をデジタル化し、ブロックチェーン上で取引可能にする技術。24時間365日の取引や即座の決済が可能になる。

BlackRock(ブラックロック)
世界最大の資産運用会社。運用資産総額約10兆ドル。CircleのUSDC準備金管理を担当している。

BNY Mellon(バンク・オブ・ニューヨーク・メロン)
米国最古の銀行の一つで、世界有数のカストディ銀行。CircleのUSDC準備金保管を担当している。

【参考リンク】

Circle公式サイト(外部)
USDCステーブルコイン発行企業の公式サイト。企業向け決済・取引・デジタルドルアクセスツールを提供

米国通貨監督庁(OCC)(外部)
米財務省の内部機関として国法銀行の監督を行う。銀行免許発行や業務監督を担当

Anchorage Digital(外部)
米連邦法規制準拠の暗号資産プラットフォーム企業。機関投資家向けデジタル資産保管サービス提供

BlackRock(外部)
世界最大の資産運用会社。運用資産総額約10兆ドル。CircleのUSDC準備金管理を担当

【参考動画】

【参考記事】

Circle applies for US trust bank license after bumper IPO(外部)
CircleがIPO後に国法信託銀行免許を申請。評価額約180億ドルのIPO後の戦略的動き

Circle Applies for National Trust Bank Charter(外部)
CircleがOCCに連邦規制下の国法信託銀行設立を申請。機関投資家向けサービス強化へ

米上院、画期的なステーブルコイン規制法案を可決(外部)
2025年6月18日に米上院がGENIUS法案を可決。ステーブルコイン発行企業への規制枠組み確立

【編集部後記】

Circleの銀行免許申請は、暗号資産が従来の金融システムに本格的に組み込まれる歴史的な瞬間を示しています。IPO後わずか1か月で時価総額が440億ドルに達した同社の動きを、皆さんはどう捉えますか?

規制への積極的な適応が業界の健全な発展につながるのか、それとも革新性を損なうリスクがあるのか。また、株式や債券のトークン化が実現した時、私たちの投資や資産管理はどう変わるでしょうか。金融の未来について、ぜひ一緒に考えてみませんか。

ブロックチェーンニュースをinnovaTopiaでもっと読む

投稿者アバター
TaTsu
デジタルの窓口 代表 デジタルなことをまるっとワンストップで解決 #ウェブ解析士 Web制作から運用など何でも来い https://digital-madoguchi.com

読み込み中…
読み込み中…