ーTech for Human Evolutionー

Apple廉価版MacBook登場へ、iPhone 16 Proと同じA18 Proチップ搭載で価格破壊

Apple廉価版MacBook登場へ、iPhone 16 Proと同じA18 Proチップ搭載で価格破壊 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-07-17 17:58 by admin

TFインターナショナル・セキュリティーズのアナリストMing-Chi Kuo氏が2025年6月30日にX(旧Twitter)で発表した分析によると、Appleは廉価版MacBookの開発を進めている。

この新製品は13インチディスプレイを搭載し、iPhone 16 Proと同じA18 Proプロセッサーで駆動される。量産開始は2025年第4四半期後半から2026年第1四半期初頭を予定している。

カラーバリエーションは標準のシルバーに加えて、ピンクとイエローが追加される見込みだ。Appleは2026年に500万台から700万台の生産を目標としている。現在のMacBook Airは999ドル(約15万円)からの価格設定だが、新製品はこれを下回る価格帯を狙う。

A18 Proチップの性能はGeekbenchでシングルコア約3,500点、マルチコア約8,780点を記録し、2020年発売のM1チップと同等レベルで日常的な作業には十分な処理能力を持つ。Consumer Intelligence Research Partnersのデータでは、2024年のApple Mac出荷台数のうちMacBook Airが33%を占めている。

From: 文献リンクApple to Release Cheaper MacBook Air Powered by iPhone Processor, Analyst Says

【編集部解説】

今回のMing-Chi Kuo氏による分析は、Appleの戦略転換を示す重要なシグナルと捉えるべきでしょう。これまでAppleは「プレミアム路線」を貫き、MacBookの最低価格を999ドルに設定してきました。しかし、A18 Pro搭載の廉価版MacBookは、この価格の壁を初めて突破する可能性があります。

注目すべきは、AppleがiPhone用プロセッサーをMacに転用するという技術的な決断です。A18 ProはApple設計の64ビットARMv9.2-A 6コアCPU(高性能コア2つ@4.04GHz、高効率コア4つ@2.42GHz)と6コアGPU、16コアNeural Engineを搭載しています。Geekbenchでシングルコア約3,500点、マルチコア約8,780点を記録しており、これは2020年のM1チップとほぼ同等の性能を持ちます。

この戦略の背景には、Appleの市場シェア拡大への強い意欲があります。現在のAppleの世界PC市場シェアは9.2%に留まっており、Dell、HP、Lenovoに大きく後れを取っています。教育市場やエントリーユーザー層への訴求力を高めることで、macOSエコシステムの拡大を狙っているのです。

ポジティブな側面として、より多くのユーザーがApple Intelligenceを体験できる機会が生まれます。A18 ProはAppleのAI機能をフルサポートしており、16コアNeural Engineによる機械学習やAI処理において優れた性能を発揮します。これにより、AI時代のコンピューティング体験がより身近になるでしょう。

一方で、潜在的なリスクも存在します。A18 Proはモバイル向けチップのため、現行MacBook AirのM4チップ(10コアCPU、8-10コアGPU)と比較すると、特にマルチコア性能で制約があります。既存のMacBook Airとの性能差をどう説明し、ユーザーの混乱を避けるかが課題となります。

長期的な視点では、この動きはAppleのハードウェア戦略の多様化を示しています。iPhone、iPad、Macの境界線が曖昧になりつつある現在、プロセッサーの共通化は開発効率の向上とコスト削減を実現する合理的な選択といえるでしょう。

【用語解説】

A18 Pro
Appleが2024年9月に発表したiPhone 16 Pro向けのプロセッサー。Apple設計の64ビットARMv9.2-A 6コアCPU(高性能コア2つ@4.04GHz、高効率コア4つ@2.42GHz)と6コアGPU、16コアNeural Engineを搭載。TSMCの3nmプロセス(N3E)で製造され、Apple Intelligenceに対応する。

Apple Intelligence
Appleが開発したデバイス内AI処理システム。クラウドではなくデバイス上で動作するため、プライバシーを保護しながら高速なAI処理を実現する。画像生成、テキスト生成、音声認識などの機能を提供する。

MacBook Air
Appleの薄型軽量ノートパソコンシリーズ。現在は13インチと15インチモデルがあり、M4チップを搭載。価格は999ドルから。Mac全体の出荷台数の33%を占める人気モデルである。

Geekbench
プロセッサーの性能を測定するベンチマークソフトウェア。シングルコアとマルチコアの処理性能を数値化して比較できる。A18 Proはシングルコア約3,500点、マルチコア約8,780点を記録している。

TSMC N3E
台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC)の第2世代3ナノメートル製造プロセス。A18およびA18 Proチップの製造に使用されている先端技術である。

【参考リンク】

TF International Securities(外部)
Ming-Chi Kuo氏が所属する香港の投資銀行。Apple製品の予測で高い精度を誇る。

Consumer Intelligence Research Partners(外部)
シカゴを拠点とする市場調査会社。Apple製品の市場シェア分析を行う。

Apple公式サイト(日本)(外部)
Apple製品とサービスの公式情報を提供する日本向け公式サイト。

【参考記事】

New MacBook With A18 Pro Chip Spotted in Apple Code(外部)
MacRumorsがAppleのバックエンドコードから「Mac17,1」という機種IDを発見し、A18 Pro搭載MacBookの存在を技術的に裏付けた記事

Apple could launch a cheap Macbook next year powered by the iPhone 16 Pro’s chip(外部)
Tom’s Guideによる廉価版MacBookの分析記事。500-700万台の生産目標や市場への影響について詳しく解説している

A18 Proチップ搭載の低価格MacBookが開発中。13インチで4色展開(外部)
日本のApple情報サイトによる詳細な分析記事。カラーバリエーションや生産計画について日本語で詳しく解説している

【編集部後記】

今回のAppleの動きを見て、皆さんはどう感じられましたか?これまで「高価格帯の象徴」だったMacBookが、より身近な存在になる可能性があります。A18 Pro搭載の廉価版MacBookは、学生や初めてMacを検討する方にとって大きな選択肢となりそうです。

一方で、性能面での妥協点や既存ユーザーへの影響も気になるところです。皆さんなら、この新しいMacBookをどんな用途で活用したいと思いますか?また、AppleのこうしたAI普及戦略は、私たちの日常にどのような変化をもたらすでしょうか。ぜひコメントで教えてください。

テクノロジーと経済ニュースをinnovaTopiaでもっと読む

投稿者アバター
TaTsu
デジタルの窓口 代表 デジタルなことをまるっとワンストップで解決 #ウェブ解析士 Web制作から運用など何でも来い https://digital-madoguchi.com