Startale USD(USDSC)とSTAR Points:Soneium経済圏を支えるデジタルドル決済インフラ

[更新]2025年12月5日

Startale USD(USDSC)とSTAR Points:Soneium経済圏を支えるデジタルドル決済インフラ - innovaTopia - (イノベトピア)

Startaleは、M0のプラットフォームで構築されたステーブルコインStartale USD(USDSC)と、ネイティブ報酬システムSTAR Pointsを発表した。

USDSCは短期米国債に裏付けられたSoneiumネイティブのデジタルドルで、Startale App内やSoneiumエコシステムにおけるスワップと取引の基軸通貨となる。ユーザーはUSDSCをボールトに保管し、報酬を獲得しながらいつでも引き出すことができる。

STAR Pointsは、USDSCの保有、Uniswapでの流動性提供、ミッションセンターでのミッション完了、ミニアプリとのインタラクションなど、Startale App上のオンチェーン行動に応じて付与される。

ポイントはエコシステムプログラムやトークンローンチへのアクセス、ガスクレジット、アンバサダーランクのポイント倍率などの特典と結びつく設計になっている。

USDSCは、規制環境の明確化が進む中で、透明性と安全性を重視した機関グレードのステーブルコインとして位置づけられている。

From: 文献リンクIntroducing Startale USD and STAR Points: Building Real Utility …

【編集部解説】

今回の発表は、単なる新規ステーブルコインのローンチというより、ソニー系L2「Soneium」上に本格的な決済インフラを敷く一歩として捉えたほうが理解しやすいです。 大手IPホルダーであるソニーのエコシステムに紐づく形で米ドル建てデジタルドルが提供されることは、Web3の体験設計そのものを変える可能性を孕んでいます。

USDSCの裏側にあるM0は、「アプリケーション固有のステーブルコイン」を発行できるプラットフォームとして、MetaMaskやStripe傘下のBridgeとも連携を進めています。 すでにmUSDなどの事例で数千万ドル規模の残高を積み上げており、その信頼性がStartaleの選択にもつながっていると見てよさそうです。

Soneium自体も、メインネットローンチから短期間で数百万〜数千万単位のトランザクションと数百万のアドレスを集めており、テストネット期にはaiboのSBTミントで数十万ウォレットを巻き込むなど、IP連携でユーザーを呼び込む実験を重ねてきました。 こうしたネットワークに最初から「使えるデジタルドル」と「行動にひもづくポイント」が組み込まれることで、単なる投機ではないオンチェーン体験を設計しやすくなります。

規制面では、2025年にかけて米国や香港などでステーブルコイン発行者に対するルールメイキングが進み、準備資産やライセンス要件が具体化しつつあります。 その文脈の中で、短期米国債を担保とし、機関投資家を意識した構造を採用するUSDSCは、「規制の外側を走る」プロジェクトではなく、あくまでレギュレーションと共存する路線を選んだといえます。

STAR Pointsの設計も興味深いポイントです。ウォレット作成やミッション達成だけでなく、Uniswapでの流動性提供やミニアプリとのインタラクションといった「エコシステムへの貢献度」を横断的にスコア化することで、ユーザー行動を可視化しつつ報酬に変えていく方向性が見えてきます。 将来的にガスクレジットやトークンローンチへの優先参加などと連動すれば、「使えば使うほど、その経済圏における自分のポジションが上がっていく」設計になり得ます。

一方で、ステーブルコインには常にカウンターパーティリスクや規制変更リスクがつきまといます。裏付け資産の運用主体や保管場所、清算メカニズムなどの情報開示レベルが、ユーザーからの信頼を左右します。 また、ポイントインセンティブが強すぎると、短期的なファーミング目的のユーザーが流入し、エコシステムの健全な成長を阻害する可能性もあるため、バランスのとれた設計と運営が求められます。

それでも、ソニーというグローバル企業が本気でオンチェーン決済とIPコンテンツを結びつけようとしている事実は、Web3を「一部のクリプト好きの遊び場」から「日常の選択肢」へと引き上げるトリガーになり得ます。 好きなゲームや音楽、キャラクターといった文脈の中で自然にUSDSCやSTAR Pointsに触れる体験が増えていくとき、オンチェーン経済は今とはまったく違う風景を見せてくれるはずです。

【用語解説】

ステーブルコイン
既存通貨(この場合は米ドル)と価格が連動するよう設計された暗号資産の総称で、決済や送金、DeFiの担保などに利用される。

デジタルドル
ブロックチェーン上で発行・移転される米ドル連動型トークンを指す一般的な呼称で、USDSCのような米ドル建てステーブルコインが該当する。

短期米国債
満期までの期間が比較的短い米国債で、価格変動リスクが低く、ステーブルコインの裏付け資産として採用されるケースが多い。

ミッションセンター
Startale App内でタスク達成などの行動インセンティブを管理するための機能群で、ユーザーがミッションをこなすことでSTAR Pointsなどを獲得できる。

ミニアプリ(Mini Apps)
スーパーアプリの内部で動作する小規模なアプリケーションやdAppの総称で、Startale Appでも外部サービスやコンテンツとの連携チャネルとして位置づけられる。

【参考リンク】

Startale(外部)
ソニーと提携し、SoneiumやStartale AppなどWeb3インフラとアプリを開発する日本発ブロックチェーン企業の公式サイト。

Soneium(外部)
Sony Block Solutions Labsが主導するEthereum互換L2ブロックチェーンで、IP連携やWeb3アプリの基盤となるネットワークの公式サイト。

M0(外部)
アプリケーション固有ステーブルコインの発行を支えるインフラプラットフォームで、USDSCなどデジタルドルの発行基盤を提供する公式サイト。

【参考記事】

Startale USD Launches on Soneium as Sony Expands Web3 Payment Infrastructure(外部)
USDSCのローンチ概要、短期米国債による裏付け、Soneiumネットワークのトランザクション規模やWeb3決済インフラとしての位置付けを整理した記事。

Sony’s Blockchain Partner Startale Launches Dollar Stablecoin on Soneium(外部)
ソニーパートナーであるStartaleによるUSDSCローンチを報じ、Soneiumとの関係性、M0との協業、エコシステム内での利用場面を紹介している。

Sony Unveils Soneium: A Powerful Web3 Blockchain Era(外部)
Soneiumメインネットのローンチ経緯や、ソニーのWeb3戦略、トランザクション数やウォレット数などの定量データを解説する記事。

Soneium is for all: First Quarter of Mainnet Launch Wrap-up(外部)
Soneiumメインネット稼働後最初の四半期におけるアドレス数、スマートコントラクト数、トランザクション数やaibo SBTミントの事例をまとめた公式ブログ。

M0 raises $40M Series B as Bridge, Metamask adopt its stablecoin platform(外部)
M0がシリーズBで4000万ドルを調達し、MetaMaskやBridgeと提携している状況を伝える記事で、M0の採用状況と信頼性を把握するために参照。

Stablecoins and the GENIUS Act: An Overview(外部)
GENIUS Actを軸にした米国ステーブルコイン規制の概要を整理し、準備資産要件や発行者区分などの論点を解説する資料。

【編集部後記】

ブロックチェーンやステーブルコインと聞くと、どうしても投機のイメージが先に立ちやすいところがあります。 ただ、USDSCやSTAR Pointsの設計を追っていくと、「日常のなかで、どのような体験がアップデートされるのか」を意識して作られている側面が見えてきます。

もしSoneiumの上に、自分が好きなゲームや音楽、アニメの経済圏が乗ってきたとしたら、その中で使う通貨やポイントがどんなルールで動いていてほしいか――そんなふうに一度イメージしてみてもらえると、このニュースがぐっと身近になるかもしれません。

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TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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