約40万円の迎撃ドローンが実運用環境下で迎撃に成功した。そんなニュースが続いた半年のあとで、大阪・大東市の市民体育館に、ガード付きのドローンと紙で組み立てる機体が集まります。子どもが最初に操縦するドローンは、どちらの物語に属するのか。その問いに、1日の体験の組み立てで応えようとする大会があります。
Drone Games 2026 実行委員会は、2026年10月24日、大東市立市民体育館でドローンスポーツの総合大会「Drone Games 2026 in 大東市立 市民体育館」を開催する。運営事務局は株式会社Binarity Bridge、共催は一般財団法人 大阪スポーツみどり財団である。ドローンファイト、ドローンシュート、Rex-Gateの3競技を1日・1会場に集め、紙で作るドローンの工作体験、産業用ドローンの展示とデモ飛行、室内ドローンショーも行う。
入場と競技参加は無料で、会場で借りた機体でも出場できる。Rex-Gateは韓国のCOCODRONE社が開発した競技で、優勝チーム2名には11月14日に韓国で開かれる大会への航空券が贈られる。目標来場者は300人である。
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【ドローンの平和利用をスポーツで実現】 日本発のドローンスポーツ複合イベント「DRONE GAMES2026」開催

【編集部解説】
innovaTopiaのドローンカテゴリを見返すと、この半年は迎撃ドローンや防衛関連の記事が繰り返し並んでいます。約40万円で運用できる迎撃機が実運用環境下で迎撃に成功した、陸上自衛隊が海外製の攻撃型ドローンを実証する、といったニュースです。技術としてのドローンは、いま確かに安全保障の文脈で大きく動いています。
今回のDrone Games 2026は、その同じ技術を、子どもが最初にどんな姿で手にするかという問いに、正面から応えようとする大会です。運営事務局を担うBinarity Bridgeの金陽信氏は、ドローンは使う人によって戦争の道具にも人を助ける道具にもなると語っています。「平和利用」をスローガンで終わらせず、1日の体験の組み立てで示そうとしているところに、この大会の特徴があります。
私はこの大会を、「作る」「競う」「観る」の流れとして読みました。リリースが決まった順路を定めているわけではありませんが、会場にはこの3つがそろっています。体験ブースでは紙のパーツで機体を組み立て、その機体のまま競技に出られます。競技エリアでは3種類のドローンスポーツに挑戦できます。そしてロビーでは、点検・測量・物流・農業・防災の現場で使われる産業用ドローンが展示され、小体育室ではデモ飛行が行われます。自分が操縦したばかりの機体と同じ原理の技術が、暮らしのどこで働いているかを、同じ建物の中で確かめられる構成です。遊びと産業を別々のイベントに分けないことが、この大会のいちばん大きな工夫だと感じます。
3つの競技は、これまで別々に開かれてきたものです。ドローンファイトは、針を使わない特殊な風船ユニットを割って競い合う日本発祥の競技で、日本ドローンファイト協会が運営しています。ドローンシュートは、機体そのものやプロペラの風でボールをゴールへ運ぶ競技です。Rex-Gateは、機体が通ると色が変わるLEDゲートを取り合う陣取り型のチーム戦です。競技が1か所に集まることで、観客が競技を見比べ、参加者が隣の競技に流れていく回路が生まれます。
参加の敷居の低さは、機体の選び方にも表れています。使われるのはすべて安全ガード付きの機体で、飛行は屋内に限られます。2022年には機体登録の義務化と、操縦者の技能証明制度が始まりました。制度は安全な空のために欠かせないものですが、初めて触れる人にとっては、手続きや資格の話が入口の手前に立つことにもなりうる、と私は感じています。体育館で、ガード付きの機体を、借りてすぐ飛ばせる場は、それとは別の入口になります。
日韓の線も、この大会を読むうえで欠かせません。Rex-Gateを開発したCOCODRONE社は、韓国・金海市に拠点を置き、文化遺産やキャラクターを紙製のドローンで体験させるコンテンツ企業です。Binarity Bridgeは同社の日本総代理店で、体験ブースの紙製ドローン「CRAFT DRONE」も同社の教材を日本向けにローカライズしたものです。今回は開発元が協賛し、Rex-Gateの優勝チーム2名を、11月14日に金海市で開かれる韓国大会へ航空券付きで招待します。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)大阪貿易館も協力に名を連ねています。
教材、競技、国際大会が一本の日韓の線でつながっていることは、この大会の強みです。競技を開発した会社が協賛に加わり、第1回から優勝チームを韓国大会へ招く出口が用意されました。開発、日本での普及、大会運営が顔の見える距離にあることが、こうした国境をまたぐ仕掛けを組みやすくしているのだと私は見ています。リリースは会場での営業行為や即売を行わないと明記しており、大会としての線引きも示されています。
会場が公共施設であることにも注目しています。共催の大阪スポーツみどり財団は大東市の体育施設の指定管理者で、本大会は同財団の自主事業として開かれます。「一般の人が参加できること」が開催の条件とされ、3競技すべてに一般参加の入口が設けられました。市民体育館がドローンスポーツの会場になるという使い方は、地域のスポーツ施設にとっても新しい選択肢の提示といえそうです。
当日の進行は、リリースと公式サイトで表彰式の時刻が異なっており、公式サイトにも競技によって進行が変わる旨の注記があります。足を運ぶ方は直前に公式サイトを確認するのが安心です。体験プログラムの一部は有料とされていますが、金額はまだ示されていません。また、子どもの競技参加は、保護者の同伴または了承のもとで行うこととされています。韓国大会の正式な大会名は、現時点でリリースと公式サイトに記載がなく、今後の続報が待たれます。
実行委員会は、2026年6月から隔週のオンライン定例を重ね、ゼロから第1回をつくってきたといいます。毎年続く大会を目指すと明言している点も心強いところです。子どもが最初に触れるドローンは、楽しさの記憶であってほしい。金氏のコメントに込められたその願いが10月24日の体育館でどんな光景になるのか、そしてここでコントローラーを握った子どもが、数年後にどんな現場でドローンと関わっているのか。地域の小さな大会から始まる長い物語の、最初の1ページになることを期待しています。
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【編集部後記】
紙製ドローンの教材には、文化財や動植物、昆虫をかたどった30種類以上のデザインがあるそうです。テントウムシやクワガタの形をした機体が、体育館の空を少し頼りなく飛ぶ光景を思い浮かべています。
ドローンの印象は、使い道だけでなく形からも刻まれます。迎撃機の写真を見慣れた目には、虫の形をした紙の機体は、同じ技術のまったく別の顔に映ります。子どもが最初に組み立てたドローンがクワガタの形をしていたら、その子は自分の機体にどんな名前をつけるでしょうか。
【用語解説】
迎撃ドローン
飛来する無人機などを空中で捕捉し、無力化するために使うドローン。高価な迎撃ミサイルに比べて低いコストで運用できる点が注目されている。
機体登録制度
重量100g以上の無人航空機の所有者に、国への登録を義務づける制度。2022年6月20日に義務化され、登録されていない機体は航空法の対象となる飛行ができない。
無人航空機操縦者技能証明制度
無人航空機の操縦に必要な知識と能力を国が証明する制度で、2022年12月5日に始まった。一等と二等があり、飛行の内容によって取得が必要になる。
指定管理者
地方自治体が設置した公の施設の管理運営を、自治体に代わって担う法人や団体。地方自治法に基づき、議会の議決を経て指定される。
自主事業
指定管理者が、施設の管理業務とは別に、自らの企画と責任で実施する事業。
ドローンファイト
針を使わない専用の風船ユニットをドローンで割って競う、日本発祥の競技。一般社団法人日本ドローンファイト協会が普及を進めている。
ドローンシュート
ドローンの機体やプロペラの風でボールを運び、ゴールを狙う競技。
Rex-Gate
韓国のCOCODRONE社が開発したチーム対戦型の競技。機体が通過すると色が変わるLEDゲートを取り合い、陣地を競う。
CRAFT DRONE
紙製パーツと電子パーツを組み合わせ、自分で組み立てるドローン教材。COCODRONE社の教材をもとに、株式会社Binarity Bridgeが日本向けにローカライズして販売している。
【参考リンク】
DRONE GAMES 2026 公式サイト(外部)
大会の公式サイト。各競技の内容、当日のスケジュール、会場へのアクセス、入場予約、韓国大会への招待、よくある質問を掲載している。
株式会社Binarity Bridge(外部)
運営事務局を担う株式会社Binarity Bridgeの公式サイト。日韓企業の連携支援やCOCODRONEのイベント企画を紹介している。
クラフトドローン 公式サイト(外部)
紙で組み立てて飛ばすドローン教材「クラフトドローン」の公式サイト。教材の特徴、全国のパートナー、イベント情報を掲載している。
COCODRONE(KOCCA企業ディレクトリ)(外部)
韓国コンテンツ振興院の企業ディレクトリにあるCOCODRONE社の紹介ページ。金海市の所在地と紙製ドローン事業を確認できる。
一般社団法人日本ドローンファイト協会(外部)
ドローンファイトを普及する一般社団法人の公式サイト。競技の遊び方、専用の風船ユニット、大会情報やランキングを紹介している。
KOTRA(大韓貿易投資振興公社)拠点案内(外部)
KOTRA日本地域本部の拠点案内ページ。大会に協力する大阪貿易館を含む、国内4か所の貿易館の所在地と管轄地域を掲載している。
【参考記事】
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