株式会社QPS研究所は2026年1月23日、小型SAR衛星QPS-SAR15号機「スクナミ-Ⅰ」の初画像を公開した。
同衛星は2025年12月21日15時36分に米国ロケット・ラボ社のElectronロケットで打ち上げられ、約50分後に衛星分離、その6分後に初交信に成功した。
QPS研究所は北部九州を中心とした全国25社以上のパートナー企業と共に開発・製造を行った。
同衛星は分解能1.8mの通常モードと分解能46cmの高精細モードでの観測が可能である。
1月22日から観測を開始し、京都府大山崎町、石川県金沢市、トルコ・イスタンブールの3地点で撮影した画像を公開した。
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2026年1月23日(金)QPS研究所の小型SAR衛星15号機 「スクナミ-Ⅰ」による初画像(ファーストライト)として、高精細モード画像を公開
【編集部解説】
QPS研究所の小型SAR衛星「スクナミ-Ⅰ」が運用を開始したことは、日本の宇宙産業における重要なマイルストーンです。この衛星は分解能46cmという非常に高精細な画像を撮影できる能力を持っており、これは小型SAR衛星としては世界トップクラスの性能といえます。
SAR(合成開口レーダー)技術の最大の強みは、光学衛星とは異なり、雲を透過して地表を観測できる点にあります。日本のような曇りや雨の多い気候では、光学衛星では観測できない日が多くなりますが、SAR衛星なら天候に左右されずに安定した観測が可能です。また、夜間でも観測できるため、災害時の迅速な状況把握や、インフラの継続的な監視に極めて有効です。
今回公開された画像からは、大山崎インターチェンジの複雑な立体構造や、金沢市の都市開発の様子、さらにはイスタンブールの歴史的建造物まで、明瞭に捉えられていることが確認できます。特に注目すべきは、46cmという分解能により、道路の車線や公園の樹木1本1本まで識別できるレベルに達している点です。
QPS研究所が2025年に6機もの衛星を打ち上げたという事実は、同社の量産体制が確立されていることを示しています。これは単なる技術的成功ではなく、ビジネスモデルとしての実現可能性を証明するものです。従来、衛星開発は数年かけて1機ずつ作るのが一般的でしたが、QPS研究所は北部九州を中心とした25社以上のパートナー企業との協業により、短期間での連続打ち上げを実現しました。
衛星コンステレーション(複数の衛星による協調観測システム)の構築が進めば、地球上の任意の地点を高頻度で観測できるようになります。現在、同社は36機体制を目指しており、これが完成すれば、地球上のあらゆる場所を10分間隔で観測できる能力を持つことになります。これは防災、農業、インフラ監視、安全保障など、多岐にわたる分野での応用が期待されます。
福岡という地方都市に本社を置きながら、世界トップレベルの衛星技術を持つQPS研究所の成功は、日本の宇宙産業が東京一極集中ではなく、地域に根差した形で発展できることを示す好例といえるでしょう。
【用語解説】
SAR(合成開口レーダー)
電波を使用して地表の画像を得るレーダー技術である。雲や噴煙を透過し、昼夜を問わず観測できる点が特徴で、光学衛星が観測できない悪天候時や夜間でも地表の状態を把握できる。
ファーストライト
天文学や衛星観測の分野で、新しい観測装置や衛星が取得した最初の画像を指す。衛星の機能を試験・調整している段階で得られる初期データである。
コンステレーション
複数の人工衛星を協調させて運用することで、高頻度な地球観測を可能とするシステム。「星座」を意味する言葉が由来で、衛星群全体で一つのシステムとして機能する。
分解能
画像化した際の1ピクセルの大きさを指す。数値が小さいほど細かい物体を識別できる。通常モードでは1.8m、高精細モードでは46cmの分解能を持つ。
【参考リンク】
株式会社QPS研究所(外部)
福岡を拠点とする小型SAR衛星の開発・製造・運用企業。世界トップレベルの技術を持つ
アルウェットテクノロジー株式会社(外部)
衛星画像の処理技術を提供する企業。QPS-SAR15号機の画像処理に協力
Rocket Lab(外部)
米国の民間宇宙企業。小型衛星打ち上げ用のElectronロケットを運用している
【参考記事】
2025年12月21日(日本時間)にQPS-SAR15号機「スクナミ-Ⅰ」が打ち上げられ、初交信に成功しました(外部)
QPS研究所公式サイトの打ち上げ成功発表。15号機の軌道投入と初交信成功を報告
プロジェクト | iQPS Inc.(外部)
QPS研究所の技術詳細。分解能46cmの実現過程や衛星コンステレーション構築計画を解説
QPS研究所の小型SAR衛星「スクナミ-I」 12月21日打ち上げへ(外部)
宇宙メディアsoraeによる打ち上げ前の報道。ミッション詳細と衛星の命名背景を紹介
【編集部後記】
宇宙から地上のあらゆる場所を、天候に関係なく、昼夜を問わず観測できる――このSAR衛星技術は、私たちの生活をどのように変えていくのでしょうか。災害時の迅速な被害把握、農業での作物の生育管理、インフラの老朽化診断など、応用範囲は多岐にわたります。福岡発のQPS研究所が、世界トップレベルの技術を持ちながら、地域のパートナー企業と協働して衛星を量産している姿勢にも注目したいところです。みなさんは、この高精細な「天の目」がもたらす未来に、どのような可能性を感じますか。



































