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iPhone、インド市場で記録的成長:1,400万台出荷で過去最高を記録

[更新]2026年1月24日

Counterpoint Researchが独占的にTechCrunchに共有したデータによると、Appleは2025年にインドで約1,400万台のiPhoneを出荷した。

インドの全体的なスマートフォン市場は約1億5,200万〜1億5,300万台でほぼ横ばいだったが、Appleのシェアは2024年Q4から10%に上昇し、過去最高を記録した。

Counterpoint ResearchのTarun Pathak氏は、製品ポートフォリオと販売チャネルの拡大が成長を推進したと述べた。

AppleのCEO Tim Cook氏は10月の決算説明会でインドでの史上最高収益を報告し、CFOのKevan Parekh氏はアクティブインストールベースとアップグレード者数が過去最高になったと述べた。

Appleは先月、Noidaに5店舗目のApple Storeを開設した。また今月初めにはApple Creator Studioを月額399ルピー(4.35ドル)で発表し、米国の12.99ドルより66%安い価格設定とした。

30,000ルピー以上のプレミアムセグメントは2025年に前年比29%成長し、総出荷の23%を占めた。出荷台数別ではVivoが23%、Samsungが15%、Xiaomiが13%のシェアを占めた。

Counterpointは2026年の市場が約2%減少すると予測している。

From: 文献リンクApple iPhone just had its best year in India as the smartphone market stays broadly flat

【編集部解説】

Appleのインド市場での成功と、インドのスマートフォン市場におけるプレミアム化トレンドは、単なる数字の増加以上の意味を持っています。これは市場構造そのものの転換を示す重要な転換点です。

2025年、Appleはインドで約1,400万台のiPhoneを出荷し、市場シェアを前年の7%から9%へと拡大しました。一見控えめに見える2ポイントの増加ですが、インド市場全体が1億5,200万台規模でほぼ横ばいという状況下での快挙であることを理解する必要があります。

特筆すべきは、iPhoneの成功が「プレミアム化」という市場全体のトレンドと同期していることです。30,000ルピー(約327ドル)以上のプレミアムセグメントは2025年に前年比15%成長し、市場全体の23%を占めるまでになりました。これは2022年の10%から倍増しており、わずか3年でインド市場の構造が根本的に変化したことを意味します。

Appleはこの変化を単に追い風として受けているだけではありません。現地生産の拡大、小売展開の加速、価格戦略の最適化という三位一体の戦略で、市場変化を自ら主導しています。

製造面では、インドからのiPhone輸出が2025年に2兆ルピー(約230億ドル)を突破しました。これは前年比85%増という驚異的な成長で、Appleがインドを単なる販売市場ではなく、グローバル製造ハブとして位置づけていることを明確に示しています。TataグループやFoxconnといったパートナーと連携し、現地バリューチェーンは着実に深化しています。

小売戦略では、2025年12月にNoidaに5店舗目のApple Storeを開設しました。2023年に最初の2店舗(MumbaiとDelhi)をオープンして以来、特に2025年には3店舗を開設する急ピッチの展開です。これは物理的な存在感を通じてブランド体験を提供し、プレミアムイメージを強化する戦略の一環です。

価格戦略では、Apple Creator Studioという創作者向けサブスクリプションサービスをインドで月額399ルピー(約4.35ドル)で提供開始しました。これは米国の12.99ドルより約66%安い設定で、Appleが価格感応度の高いインド市場に対して、ローカライズされた価格戦略を積極的に展開していることを示しています。Final Cut ProやLogic Proといったプロフェッショナルツールへのアクセスを民主化することで、クリエイターエコシステムの育成も狙っています。

一方で、インド市場全体を見ると、成長の鈍化という構造的課題が浮き彫りになっています。2025年で4年連続となる約1億5,200万台という横ばい状態は、フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行が一巡し、買い替えサイクルが長期化していることを反映しています。さらに再生品市場の拡大も、新品需要の抑制要因となっています。

この停滞する市場において、Appleが成長を続けている事実は、インド消費者の志向変化を象徴しています。「安ければよい」から「長く使える価値あるものを」へ――デバイスを単なるツールではなく、自己表現やステータスの手段として捉える消費者層が確実に増えているのです。

興味深いのは、出荷台数ベースではVivoが23%、Samsungが15%、Xiaomiが13%でトップ3を占め、Appleは依然としてトップ3圏外にいることです。つまり、数量では中国・韓国ブランドが市場を支配しながら、価値ベースではAppleが急速に存在感を高めるという二極化構造が鮮明になっています。

2026年に向けては、メモリ価格の上昇が15,000ルピー未満の低価格セグメントに圧力をかけると予測されています。これはプレミアム化トレンドをさらに加速させる可能性があります。低価格帯の魅力が相対的に低下すれば、消費者はより長期的な視点で高品質デバイスへの投資を選択するでしょう。

Appleのインド戦略は、単なる市場シェア拡大ではなく、インドを第三の柱(中国、米国に次ぐ)として確立する長期ビジョンの一部です。製造、販売、サービス、そしてエコシステム全体でのプレゼンス強化を通じて、Appleは今後10年のインド市場における勝者の地位を固めつつあります。

【用語解説】

Counterpoint Research
市場調査会社で、特にスマートフォンおよびモバイルデバイス市場の分析を専門としている。世界各国の出荷台数、市場シェア、価格動向などの詳細なデータを提供する。

プレミアムセグメント
スマートフォン市場において、比較的高価格帯の製品カテゴリーを指す。インド市場では一般的に30,000ルピー(約327ドル、約4万円)以上の価格帯を指す。

アクティブインストールベース
現在実際に使用されているデバイスの総数。出荷台数とは異なり、現在アクティブに利用されている端末の数を示す指標。

Production-Linked Incentive (PLI) スキーム
インド政府が導入した製造業振興策。現地生産を行う企業に対して生産額に応じたインセンティブを提供し、「Make in India」を推進する政策。

ASP (Average Selling Price)
平均販売価格。市場全体または特定セグメントにおける製品の平均販売価格を示す指標で、市場のプレミアム化傾向を測る重要な指標。

【参考リンク】

Apple India(外部)
Appleのインドにおける公式サイト。製品情報やサービス、店舗情報を提供。

Apple Creator Studio(外部)
Final Cut ProやLogic Proなどを含むクリエイター向けサブスクリプションサービス。

Counterpoint Research(外部)
スマートフォン市場分析を専門とする調査会社。業界標準のデータを提供している。

【参考記事】

Apple hits record 10.4% India market share as iPhone shipments surge in Q3(外部)
2025年第3四半期にAppleがインド市場で10.4%のシェアを達成した詳細。

2025: The Year the iPhone Truly Went Mainstream in India(外部)
2025年がiPhoneのインド市場における本格的なメインストリーム化の年となった分析。

Inside India’s Smartphone Market Growth in Q3 2025(外部)
2025年第3四半期のインドスマートフォン市場の詳細分析とプレミアム化トレンド。

Apple iPhone leads global smartphone market with 20% share(外部)
Appleが2025年にグローバル市場で20%のシェアを獲得したCounterpointレポート。

Apple’s iPhone Exports from India Cross ₹2 Tn Mark in 2025(外部)
Appleのインドからの輸出が2兆ルピーを突破し、前年比85%増を記録した報告。

Premium smartphone market in India(外部)
インド市場におけるプレミアムスマートフォンセグメントの成長分析と消費者動向。

Apple’s new Creator Studio is the pro subscription bundle we’ve always wanted(外部)
Apple Creator Studioの詳細とAdobe Creative Cloudとの価格比較分析。

【編集部後記】

インド市場でのAppleの躍進は、単なる一企業の成功物語ではありません。これは「テクノロジーが誰のものか」という根本的な問いに対する答えが変わりつつあることを示しています。かつて「高嶺の花」だったプレミアムデバイスが、EMI(分割払い)や下取りプログラムの普及によって、より多くの人々にとって手の届く選択肢となりました。あなたがもし次のデバイス購入を検討しているなら、「今、最も安いもの」と「長期的に価値を提供し続けるもの」、どちらを選びますか?インド市場の変化は、この問いに対する消費者の答えが変わりつつあることを教えてくれます。私たち編集部も、この市場変化の先にある未来の姿を、皆さんと一緒に見つめていきたいと思います。

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Satsuki
テクノロジーと民主主義、自由、人権の交差点で記事を執筆しています。 データドリブンな分析が信条。具体的な数字と事実で、技術の影響を可視化します。 しかし、データだけでは語りません。技術開発者の倫理的ジレンマ、被害者の痛み、政策決定者の責任——それぞれの立場への想像力を持ちながら、常に「人間の尊厳」を軸に据えて執筆しています。 日々勉強中です。謙虚に学び続けながら、皆さんと一緒に、テクノロジーと人間の共進化の道を探っていきたいと思います。

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