Disney×OpenAI「Sora」合意の直後、Disneyland ParisのAI音声ナレーションが炎上―Rapunzel発音ミスが示す“体験品質”

Disney×OpenAI「Sora」合意の直後、Disneyland ParisのAI音声ナレーションが炎上――Rapunzel発音ミスが示す“体験品質” - innovaTopia - (イノベトピア)

「AIを使った」こと自体より、「ディズニーらしさ」を支える細部が崩れた瞬間に、ファンは敏感に反応します。
Disneyland Parisのマーチャンダイズ紹介動画で起きた“AI音声疑惑”は、体験産業の品質設計がいま再定義されていることを示しています。


Disney Diningは2025年12月13日、DLP Reportが同日プレスイベントから共有したWalt Disney Studios Park(Disney Adventure Worldとして再開予定)のマーチャンダイズ紹介動画で、AIのようなナレーションとRapunzel、Kingdom of Coronaの発音ミスが批判を招いたと報じた。

From: 文献リンクAI Sabotages Disney’s New Theme Park Announcement, Fans React

【編集部解説】

パーク文脈の「AI炎上」は、生成AIの是非そのものというより、“ディズニー品質”への期待値とのズレが表面化しやすい領域だと捉えています。

今回の発端は、DLP Reportが2025年12月13日のプレスイベントから共有した、Disneyland Parisの再編パーク(Walt Disney Studios ParkがDisney Adventure Worldとして再オープン予定)に関するマーチャンダイズ紹介動画です。商品ではなく、AI生成のように聞こえるナレーションと、RapunzelやKingdom of Coronaの発音ミスが批判されました。

反発の核心は「AIを使ったこと」だけではありません。固有名詞という作品世界の基礎情報でミスが起きると、体験産業では「チェック工程を省いたのでは」という疑念に直結し、ブランド体験の信頼を揺らします。

一方で、ディズニーがAI活用を後退させる兆しは、少なくとも企業戦略の面では見えません。The Walt Disney CompanyはOpenAIとの合意を公表し、10億ドルの投資や追加持分の可能性、OpenAIのAPIを使った製品・ツール・体験の構築、従業員向けChatGPT展開などを示しています。

この合意や主要報道では、Soraが200以上のDisney関連キャラクターを扱う短尺動画生成に触れています。制作速度が上がるほど、最終的に「誰が品質の責任を持つか」を明確にしないと、軽微なミスが繰り返し可視化されるリスクが高まります。

今このニュースを追う意味は、AI導入が“大作”より先に、短い告知動画やナレーションといった日常制作へ入り込み、品質の境界線を浮かび上がらせた点にあります。生成AIが当たり前の道具になるほど、「どこに人の監督と編集判断を残すか」が、体験価値そのものの設計課題になります。

【用語解説】

テキスト・トゥ・ビデオ(text-to-video)
文章の指示(プロンプト)から短い動画を生成する方式である。

ナレーション(ボイスオーバー)
映像に重ねて入れる説明・演出の音声であり、今回の論点はこの音声がAI生成のように聞こえた点にある。

ガードレール
AIの安全性や権利保護のために設ける運用・技術・ルール上の制約を指す言い方である。

【参考リンク】

The Walt Disney Company:OpenAI合意(外部)
Disney×OpenAIの合意を一次情報で確認できる公式発表ページ

OpenAI(公式)(外部)
ChatGPTやSoraなど生成AI製品・研究情報を掲載する公式サイト

Sora(OpenAI公式)(外部)
テキストから動画を生成するSoraの概要と位置づけを示す公式ページ

Disneyland Paris(公式)(外部)
Disneyland Parisのパークやリゾート情報を提供する公式サイト

【参考動画】

【参考記事】

Reuters:DisneyがOpenAIに10億ドル投資(外部)
投資額やSora利用、社内ChatGPTなど契約の骨子を報じた記事

CNBC:Soraでキャラクター動画生成へ(外部)
Disney×OpenAI合意によりSoraで動画生成が可能になる点を解説している

Variety:200超キャラクターと10億ドル投資(外部)
合意の規模感とSoraで扱うキャラクター範囲を整理した報道記事

【編集部後記】

パークの告知動画や店頭の演出のような“小さな接点”にAIが入り始めたとき、どこまでが許容できる品質でしょうか。

今回の論点はAIの賛否だけでなく、固有名詞の正確さのような基本が守られるかにもありました。みなさんの現場や好きなコンテンツで、AI導入時に残したい「人の最終チェック」はどこですか?

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Ami
テクノロジーは、もっと私たちの感性に寄り添えるはず。デザイナーとしての経験を活かし、テクノロジーが「美」と「暮らし」をどう豊かにデザインしていくのか、未来のシナリオを描きます。 2児の母として、家族の時間を豊かにするスマートホーム技術に注目する傍ら、実家の美容室のDXを考えるのが密かな楽しみ。読者の皆さんの毎日が、お気に入りのガジェットやサービスで、もっと心ときめくものになるような情報を届けたいです。もちろんMac派!

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