GoogleのDeepMind CEOであるDemis Hassabisは、AIグラスが将来的にスマートフォンに取って代わる可能性があると述べた。初期のスマートグラスはバッテリーの弱さと明確な用途の欠如により失敗したが、GeminiのようなAIツールがそのギャップを埋めることができると指摘している。
Googleの親会社Alphabetは、SamsungやWarby Parkerとのパートナーシップにより、2026年にAIグラスを発売する計画をすでに発表している。Hassabisは、AIの進歩が産業革命よりもはるかに速いペースで進んでいると述べ、2030年までにAIが人間レベルのスキルに到達する確率を50%と予測した。ただし、メモリーと長期的思考において重要な課題が残っていると付け加えた。また、中国が西側諸国とのAIギャップを大幅に埋めたものの、新しいアイデアをリードするよりも追随することに長けていると評価した。
From:
Google (GOOGL) Sees AI Glasses Replacing Smartphones Over Time
【編集部解説】
Googleは2012年にGoogle Glassを発表しましたが、1,500ドルという高価格、プライバシー問題、バッテリー寿命の短さ、そして何よりも「キラーアプリ」の不在により、2015年に一般向け販売を終了しました。エンタープライズ版として2017年に再投入されたものの、2023年3月に販売を中止しています。Hassabisはこの失敗を「デバイスが厚く、バッテリーが弱く、何よりもキラーアプリがなかった」と総括しており、今回のAIグラスはこの教訓を踏まえた再挑戦と言えるでしょう。
2026年に発売予定のGoogleのAIグラスには2つのバリエーションがあります。一つはディスプレイを持たないスクリーンレスモデルで、スピーカー、マイク、カメラを搭載し、Geminiとの対話と写真撮影が可能です。もう一つはレンズ内ディスプレイを備えたモデルで、ナビゲーションや翻訳字幕などの情報を控えめに表示できます。
市場環境は10年前と大きく異なっています。MetaはRay-Banブランドとのスマートグラスで一定の成功を収め、AppleはVision Proで高級空間コンピューティング市場を開拓しました。Googleはこの競争に、Samsung、Gentle Monster、Warby Parkerといった多様なパートナーとの提携で対抗します。特にWarby Parkerとの協力は、処方箋レンズと非処方箋レンズの両方に対応した日常使用可能なデザインを実現する狙いがあります。
Hassabisは料理、道案内、視覚障害者支援など、ハンズフリーが求められる状況でAIグラスが真価を発揮すると強調しています。「スマートフォンを手に持って周囲の物体を照らすやり方は『機能する』が、日常生活では最適ではない」という指摘は、常時装着可能なウェアラブルデバイスの本質的な利点を突いています。GeminiのようなマルチモーダルAIが「あなたに寄り添い、生活を支援するユニバーサル・デジタル・アシスタント」として機能することで、初めてキラーアプリが実現するという見立てです。
一方で、過去のGoogle Glassが直面したプライバシー懸念は依然として解消されていません。常時カメラを装着した人々が公共空間を歩き回ることへの社会的受容性、データ収集の範囲と使用目的の透明性、そして眼鏡という身体に密着したデバイスへの依存度が高まることの心理的・社会的影響など、検討すべき課題は多岐にわたります。技術的成熟度が高まった今こそ、慎重な導入戦略と明確な倫理ガイドラインが求められるでしょう。
【関連記事】
【用語解説】
AIグラス(スマートグラス)
カメラ、マイク、スピーカーなどを搭載した眼鏡型ウェアラブルデバイス。AI機能を統合することで、視覚情報の解析、リアルタイム翻訳、ナビゲーションなどを提供する。
Google Glass
2013年にGoogleが発表した初代スマートグラス。1,500ドルの高価格とプライバシー問題で2015年に一般向け販売を終了し、2023年に完全に製造中止となった。
【参考リンク】
Google DeepMind公式サイト(外部)
GoogleのAI研究部門DeepMindの公式サイト。最新の研究成果、論文、プロジェクト情報を掲載しています。
Warby Parker Intelligent Eyewear(外部)
Warby ParkerとGoogleが共同開発するAIグラスの公式ページ。製品の特徴、発売時期などを掲載しています。
Google AI公式ブログ(外部)
Googleの最新AI技術に関する公式発表とニュース。Geminiの開発進捗やAIグラスプロジェクトの情報源です。
【参考動画】
【参考記事】
Warby Parker, Google to launch AI-powered smart glasses in 2026 | Reuters(外部)
Warby ParkerとGoogleが2026年にAI搭載スマートグラスを発売すると発表。処方箋レンズと非処方箋レンズの両方に対応し、Gemini AIアシスタントを統合する計画を報じています。
Why Google Glass Failed: Price, Privacy, and Tech | Investopedia(外部)
Google Glassが失敗した理由を分析。1,500ドルの高価格、プライバシー侵害への懸念、バッテリー寿命の短さ、キラーアプリの欠如が主要因だったと解説しています。
Demis Hassabis, CEO of Google DeepMind, predicted that mobile… | MK(外部)
Demis Hassabisがダボス会議で語った内容を詳報。AIグラスがスマートフォンを代替する理由、ハンズフリーの利点、料理や道案内での活用事例を具体的に説明しています。
Google’s AI glasses are coming in 2026 | Mashable(外部)
2026年発売予定のGoogleのAIグラスについて詳細を報道。スクリーンレスモデルとディスプレイ搭載モデルの2種類があり、写真撮影、Gemini対話、ナビゲーション機能を搭載すると伝えています。
Google’s Android XR Smart Glasses Finally Ready for 2026(外部)
GoogleのAndroid XRプラットフォームを採用したスマートグラスが2026年に本格展開されることを報道。iPhoneユーザーも完全なGemini体験が可能になるiOS互換性を強調しています。
【編集部後記】
Google Glassの失敗から10年以上が経過し、技術的な課題は解決されつつあります。しかし本当の問題は、私たちがカメラ付き眼鏡を日常的に装着する社会を受け入れられるかどうかでしょう。スマートフォンは必要な時だけ取り出せばよいですが、眼鏡は常時装着するもの。プライバシーへの配慮、公共空間でのマナー、依存症のリスクなど、技術以外の課題が山積しています。Hassabisが予測する「2030年に人間レベルのAI」が実現する頃、私たちはスマートフォンを手放しているのでしょうか。それとも、眼鏡とスマートフォンが共存する新しい使い分けが生まれるのでしょうか。



































