Last Updated on 2024-04-23 22:55 by 荒木 啓介
Spotifyは2024年第1四半期の収益報告で、予想を上回る業績を発表し、記録的な四半期利益と大幅なマージン改善を達成した。この成果は、過去1年間にわたるコスト削減と効率化の取り組みの結果である。アクティビスト投資家のValueActがSpotifyに出資して以来、多くの変更が行われた。
具体的には、Spotifyの1株あたりの収益は97セントで、LSEGアナリストの予想65セントを上回った。収益は36億4000万ドルで、予想の36億1000万ドルも上回る。しかし、月間アクティブユーザー（MAUs）は6億1500万で、StreetAccountの予想6億1800万には届かなかった。
Spotifyは昨年、コスト削減の一環として従業員の25%以上を解雇し、Joe Roganとの大型契約を更新したものの、ポッドキャスト事業の野心を大幅に縮小した。次の四半期には、MAUsが6億3100万に達し、改善された28.1%の総利益率を見込んでいる。
ValueActは2023年2月にSpotifyへの出資を公表し、支出の合理化を公に求めた後、Spotifyは年末までにスタッフの17%を解雇した。MAUsは前年比19%増、前四半期比2%増と成長を示したが、コスト削減によるマーケティング活動の縮小が原因で、成長が鈍化したとしている。
ValueActは約120億ドルの資産を管理しており、Spotifyの0.5%の株式を2億8000万ドルで保有している。この投資家が2023年に初めてポジションを公表した時、Spotifyの約1.2%を所有しており、その初期投資の価値はFactSetの推定によると倍増している。
【ニュース解説】
Spotifyが2024年第1四半期に記録的な利益を報告し、予想を上回る業績を達成したことは、同社にとって大きな転換点となりました。この成果は、過去1年間にわたる厳しいコスト削減と効率化の取り組み、そしてアクティビスト投資家ValueActの介入による経営戦略の見直しの結果です。
Spotifyの業績改善は、特にポッドキャスト事業の野心を縮小し、Joe Roganとの大型契約を更新するなど、選択と集中の戦略を取ったことが明らかに効果を発揮しました。また、従業員の大幅な削減は短期的には厳しい決断であったものの、長期的な収益性の向上に寄与しています。
このような背景の中、Spotifyの月間アクティブユーザー（MAUs）は依然として成長を続けており、次の四半期にはさらに増加することが予想されています。しかし、コスト削減によるマーケティング活動の縮小が、成長率の鈍化に一因となっていることも認識する必要があります。
ValueActのようなアクティビスト投資家の関与は、企業経営において重要な役割を果たすことがあります。彼らはしばしば、経営陣に対して効率化やコスト削減、事業戦略の見直しを求め、株主価値の最大化を目指します。Spotifyの場合、ValueActの出資と公に支出の合理化を求めたことが、経営戦略の見直しと業績改善につながったと考えられます。
しかし、アクティビスト投資家の介入が常にポジティブな結果をもたらすわけではありません。従業員の大量解雇や事業の縮小は、短期的な利益向上には寄与するかもしれませんが、企業文化やブランドイメージに長期的な悪影響を及ぼす可能性もあります。また、過度のコスト削減は、将来の成長機会を損なうリスクも伴います。
Spotifyの今後の挑戦は、コスト削減と効率化を続けながらも、持続可能な成長とイノベーションを実現するバランスを見つけることにあります。また、ポッドキャスト事業など新たな収益源の開拓も重要な戦略となるでしょう。Spotifyの取り組みは、他のテクノロジー企業にとっても参考になる事例と言えるでしょう。
from Spotify reports record quarterly profit after a year marked by deep layoffs and activist attention.
