Last Updated on 2024-04-28 13:33 by 荒木 啓介
OpenAIとModernaは、Modernaの従業員が特定の目的のためにカスタマイズ可能なGPTを開発できるChatGPT Enterpriseへのアクセスを提供するために、パートナーシップを拡大したと発表した。ChatGPT Enterpriseを通じて、ユーザーはChatGPTとの会話を開始し、特定の主題に関する追加の知識を提供するか、指示を与えることでGPTを作成できる。また、ユーザーはGPTにデータ分析、ウェブ検索、画像作成などの機能を選択させることができる。Modernaは2023年初頭にOpenAIと初めてパートナーシップを結び、その後、ChatGPT Enterpriseの導入を社内でテストし、個々のチームがチームのニーズに合った新しい使用例とGPTを作成できるようにした。ChatGPT Enterpriseを採用して2ヶ月以内に、Modernaは会社全体で750のGPTを作成し、平均して週に120回の会話をプラットフォームを通じて行い、40%のユーザーがGPTを作成したと報告している。この拡大されたパートナーシップを通じて、Modernaは数千人の従業員にChatGPT Enterpriseを展開する予定である。
OpenAIは昨年11月にChatGPT Enterpriseを一般公開し、一般ユーザーも特定のタスクや日常生活の活動を支援するためのChatGPTのカスタマイズ版を作成できるようになった。専門家は、自然言語処理を革新的な薬物開発と組み合わせることで、ChatGPTが薬物発見に大きな可能性を持っていると考えている。しかし、ChatGPTが説明不可能であること、つまりその予測結果の源泉を追跡できないこと、また現在のバージョンのChatGPT内のデータが最新ではないことなどの制限が存在する。OpenAIのウェブサイトによると、ChatGPTはインターネットに接続されておらず、時折間違った回答を生成することがあり、2021年以降の世界や出来事に関する知識が限られており、有害な指示や偏見のあるコンテンツを生成することもあるとされている。これらの制限にもかかわらず、Hyroなどの多くのデジタルヘルス企業が、自社の提供物内でChatGPTを利用している。
【編集者追記】— 2024/04/28 検証 —
本記事ではChatGPTの現状を正しく記述していないため(ライターの誤認識?)
以下の通り修正いたします。
ChatGPTのFree版ではインターネットに接続されていませんが、有償版(月額20ドル)ではWeb検索の機能があるため、リアルタイムの情報を検索して回答することができます。
また、GPT-4が訓練されたデータの最後の日付(これをナレッジカットオフといいます)は2023年12月です。それ以降の情報に関してもユーザーとの会話から学習していることもあります。(ユーザーは会話内容をAIの学習に使ってよいかどうかを選択できます。)
用語解説
説明不可能性:AIの予測結果の根拠を追跡できないこと
【参考リンク】
OPEN AIのオフィシャルサイト(外部)
モデルナのオフィシャルサイト(外部)
【ニュース解説】
OpenAIとModernaが、Modernaの従業員が特定の目的に合わせてカスタマイズ可能なGPT(Generative Pre-trained Transformer)を開発できるようにするためのパートナーシップを拡大したことを発表しました。この提携により、Modernaの従業員はChatGPT Enterpriseプラットフォームを利用して、特定の主題に関する追加知識を提供したり、特定の指示を与えることで、カスタマイズされたGPTを作成できるようになります。これにより、データ分析、ウェブ検索、画像作成など、ユーザーが選択した機能をGPTに実行させることが可能です。
このパートナーシップの拡大は、ModernaがChatGPT Enterpriseを導入してからわずか2ヶ月で、会社全体で750のGPTが作成され、平均して週に120回の会話が行われ、40%のユーザーがGPTを作成したという成果を受けてのものです。これにより、Modernaは数千人の従業員にChatGPT Enterpriseを展開する予定です。
ChatGPTは自然言語処理を利用して、ユーザーが日常生活や特定のタスクにおいてより良いサポートを受けられるようにする技術です。特に薬物発見の分野では、この技術が大きな可能性を持っていると考えられています。しかし、ChatGPTが説明不可能であることや、現在のバージョンのデータが最新ではないことなど、いくつかの制限も存在します。
この技術のポジティブな側面としては、特定の業務プロセスや研究開発において、効率化や新たなアイデアの創出を促進する可能性があります。一方で、生成される情報の正確性や偏り、そしてAIが提供する情報の源泉が不明確であることは、潜在的なリスクとして考慮する必要があります。
将来的には、このようなカスタマイズ可能なGPTの活用が広がることで、医療分野における診断支援や治療法の開発、さらには患者とのコミュニケーション方法の改善など、幅広い応用が期待されます。しかし、そのためには、AIの判断基準の透明性を高め、誤情報や偏見を最小限に抑えるための規制やガイドラインの整備が不可欠です。この技術の発展と共に、倫理的な使用を確保するための議論も進められることが望まれます。
from OpenAI expands partnership with Moderna for customizable GPTs.