インドの国防研究開発機構(DRDO)は、ビシャカパトナムの海軍科学技術研究所で新型自律型無人水中航走体(MP-AUV)を開発した。
MP-AUVはAIとディープラーニング技術を活用し、サイドスキャンソナーと水中カメラを主装備としてリアルタイムに水中の物体を識別・確認する。
インド海軍の既存掃海艇は段階的に退役しており、MP-AUVは機雷対策の一端を担う。インド洋地域では中国やパキスタンの潜水艦活動が増加している。
国防取得評議会は約4,400億ルピー相当の機雷対策艦船12隻の調達を承認した。
DRDO会長のサミール・V・カマット博士によると、MP-AUVシステムは現地試験を終了し、今後量産に移行する予定である。2025年11月15日公表。
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New DRDO MP-AUVs Bring Smart AI Tech to Naval Mine Counter Measures
【編集部解説】
DRDOによる携帯型自律型水中航走体(MP-AUV)の開発は、現代の海洋安保における課題を直接解決しうる重要な一歩です。
サイドスキャンソナーや高性能カメラ、ディープラーニングを活用したAIターゲット認識機能を持ち、運用時の人的負担や作戦のリスクとコストを大幅に減らしています。
また水中音響通信技術の強化により、複数のAUV同士が効果的に連携し、海中の状況認識力を高めています。インド洋の地政学的リスクに加え、既存掃海艇の老朽化という中長期的問題にも解決策を提示した形です。
このAI水中技術の導入は軍事分野のみならず、今後民間の海洋調査や産業インフラ保守などへの広がりも期待されます。一方、協調型AIシステムの安全性やネットワークセキュリティ、将来的な国際規制など新しい論点も浮上しており、インドはグローバルルール形成でも注目を集めています。ユーザーや社会への影響を見極めながら、技術と制度の両輪で進化していくことが不可欠です。
【用語解説】
自律型無人水中航走体(MP-AUV)
AIとディープラーニングを活用し、海中の機雷などを自動検知・分類できるロボット
サイドスキャンソナー
音波で海中物体の形状を広範囲に探知する装置
ディープラーニング
AI分野の技術で、複雑なパターンや物体認識に優れる
【参考リンク】
DRDO公式サイト(外部)
インドの先端防衛技術研究開発を担う公式機関で、水中兵器や最新技術プロジェクトを掲載。
【参考動画】
【参考記事】
DRDO develops new autonomous underwater vehicles for mine countermeasures (外部)
MP-AUVのAI・機械学習技術、水中音響通信ネットワーク、オペレーター負担軽減効果について技術的観点から解説。
【編集部後記】
海洋安全保障とAI技術が結びつく時代は、もうすぐそこまできています。インドで進む自律型水中ロボットの配備は軍事目的ですが、同じ技術は民間のインフラ点検や環境調査にも応用できる可能性を秘めています。
ただ、技術が先行して運用ルールや人材育成が追いついていない現状もあり、実用化には慎重な議論が欠かせません。日本でも水中ドローンの社会実装や海洋DXへの関心が高まっていますが、安全性の確保や技術者の育成といった地道な取り組みが求められています。新しい技術が私たちの暮らしにどんな影響を与えるのか、じっくり見守っていきたいと思います。
























