東京大学発のヘルスケアスタートアップであるissin株式会社は、auのデザインケータイ「INFOBAR」とコラボレーションした「Smart Recovery Ring INFOBARコラボモデル」を発表した。
初代INFOBAR(2003年発売)を象徴するカラー「NISHIKIGOI」と「ICHIMATSU」をモチーフにデザインされた指輪型ウェアラブルデバイスである。2025年12月1日18時から2026年1月31日までCAMPFIREで購入型クラウドファンディングを実施し、最大25%オフで提供される。
標準価格は35,750円(税・送料込)で、超超早割価格は26,812円から。デバイスは睡眠、ストレス、活動量を計測し、専用アプリで詳細データを確認できる。薄さ2.3mm、重さ約3gで、2時間の充電で最大7日間の連続使用が可能。
デザイン監修はKDDI株式会社のau Design projectプロデューサー砂原哲氏が担当し、NISHIKIGOIにはアルミ合金素材、ICHIMATSUにはステンレス素材を採用した。
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auのデザインケータイ「INFOBAR」が指先に宿る。スマートリカバリーリングとコラボで登場!
【編集部解説】
今回発表されたスマートリカバリーリングのINFOBARコラボモデルは、単なるコラボレーション製品ではありません。デジタルヘルスケアとデザインアイコンの融合という、きわめて象徴的な製品です。
2003年に誕生したINFOBARは、携帯電話デザインの概念を根底から覆しました。深澤直人氏がデザインを手がけ、NISHIKIGOIやICHIMATSUといった日本の伝統色を大胆に採用したこのデバイスは、MoMAをはじめとする世界の主要美術館に収蔵される文化的アイコンとなっています。その遺伝子を受け継ぐ今回の製品は、テクノロジーが人間の生活に溶け込む新しい形を示唆しています。
スマートリカバリーリング自体の機能にも注目すべき点があります。睡眠、ストレス、活動量という3つの軸を統合的に分析し、「リカバリースコア」として可視化する仕組みは、現代人が抱える「隠れ不調」への解決策となり得ます。
特筆すべきは、その装着感です。厚さわずか2.3mm、重さ約3gという軽量設計により、24時間装着しても違和感がありません。多くのウェアラブルデバイスが抱える「装着疲れ」という課題を、物理的な軽量化によって解決しようとしています。
2026年1月から提供予定の睡眠改善サポート機能も興味深い展開です。おやすみサウンドやパワーナップ機能など、計測だけでなく積極的な介入によって健康状態の改善を目指す姿勢が見られます。これは単なるトラッキングデバイスから、能動的なヘルスケアパートナーへの進化を意味しています。
デザイン面では、砂原哲氏が8カ月をかけてCMF(色・素材・仕上げ)のクオリティを追求したことが強調されています。NISHIKIGOIにはINFOBAR A03のアルミレッドを再現したアルミ合金、ICHIMATSUには初代INFOBARのマットブラックを再現したステンレスと、素材選択にも歴史への敬意が込められています。
issinは「popIn Aladdin」や「スイカゲーム」を生み出した程涛氏が創業した企業です。同社はスマートバスマットでもINFOBARとのコラボを実現しており、日常動作に溶け込むヘルスケアという一貫したビジョンを持っています。今回のリングは、その思想をさらに推し進めた製品と言えるでしょう。
クラウドファンディングという販売手法も戦略的です。早期支援者には最大25%の割引が提供され、コミュニティとの対話を重視する姿勢が見られます。デザインアイコンとヘルステックの融合が、どのような市場反応を生むのか注目されます。
【用語解説】
スマートリカバリーリング
指輪型のウェアラブルデバイスで、睡眠、ストレス、活動量を24時間モニタリングし、統合的に分析して「リカバリースコア」として回復力を可視化する。薄さ2.3mm、重さ約3gという軽量設計が特徴である。
INFOBAR(インフォバー)
2003年にauのau Design projectの第1弾モデルとして発売されたデザインケータイ。プロダクトデザイナー深澤直人氏がデザインを担当し、NISHIKIGOIやICHIMATSUといった個性的なカラー展開で携帯電話デザインに革新をもたらした。MoMAなど世界の主要美術館に収蔵されている。
au Design project
2002年にKDDIが立ち上げたデザイン重視の製品開発プロジェクト。「毎日、目にし、手にするたびにちょっと幸せな気分になれる」というコンセプトのもと、深澤直人氏をはじめとする著名デザイナーとコラボレーションしてきた。
リカバリースコア
睡眠の質、ストレスレベル、活動量などのデータを統合的に分析し、毎朝の心身の回復度合いを数値化したもの。体調管理の指標として活用される。
CMF(Color, Material, Finish)
製品デザインにおける色、素材、仕上げの総称。視覚的・触覚的な製品体験の質を左右する重要な要素である。
popIn Aladdin
程涛氏がpopIn時代に開発した世界初の照明一体型3in1プロジェクター。プロジェクター、Bluetoothスピーカー、シーリングライトを一体化した製品で、家族が集まるリビングでのエンターテインメント体験を革新した。
スイカゲーム
程涛氏が開発したパズルゲーム。フルーツを合体させて大きなスイカを目指すシンプルなゲーム性で、2023年に社会現象となる大ヒットを記録した。当初はpopIn Aladdin向けアプリとして開発され、後にNintendo Switchに移植された。
【参考リンク】
Smart Recovery Ring INFOBARコラボモデル – CAMPFIRE(外部)
クラウドファンディングプロジェクトページ。超超早割26,812円から購入可能
Smart Recovery Ring 公式サイト – issin(外部)
製品の詳細情報、機能説明、購入方法を掲載。iOS/Android対応
au Design project 公式サイト(外部)
INFOBARをはじめとするau Design projectの歴史と製品ラインナップを紹介
issin株式会社 公式サイト(外部)
東京大学発ヘルスケアスタートアップ。スマートバスマットやスマートリカバリーリングを展開
【参考記事】
修士2年で起業し、かの「スイカゲーム」をも開発 今はヘルスケアAIロボットを製作中 程涛さんインタビュー(外部)
程涛氏がpopInからissinへと至る経緯と、健康への関心が起業のきっかけとなった背景を詳述
伝説の携帯電話”INFOBAR”に始まるauデザインプロジェクトの源泉を知る企画展示(外部)
INFOBARの20周年を記念した展覧会の詳細。初代から最新プロトタイプまでの系譜を解説
【au20周年】進化し続ける『au Design project』 INFOBARから聖徳太子へ(外部)
au Design projectの20年の歴史を振り返る記事。INFOBARがMoMAに収蔵された経緯を掲載
スマートリング市場| 市場規模 シェア 動向分析 予測 2025~2030年まで(外部)
世界のスマートリング市場が2024年に3億4,856万米ドル、2025~2030年にCAGR 21.1%で成長と予測
指輪型ならではの「控えめさ」がイイ。issinのスマートリング「Smart Recovery Ring」を選ぶ理由(外部)
Smart Recovery Ringの実機レビュー。重さ約3g、薄さ2.2mmという軽量設計を評価
連続起業家、issin程涛氏に学ぶ「発明力」とその原動力(外部)
程涛氏の起業家としての思想と、「n=1」(自分起点)でプロダクト開発を始める哲学を解説
【レポート】グッドデザイン賞2018「新・ケータイ INFOBAR 展」デザインツアー(外部)
深澤直人氏と砂原哲氏によるINFOBAR xvのデザインレクチャー。レゴのプロトタイプから製品化までのプロセスを紹介
【編集部後記】
INFOBARが携帯電話のデザインに革命をもたらしてから20年以上が経ちました。当時、機能ではなく「持つ喜び」を追求したプロダクトは、テクノロジーと人間の新しい関係性を示しました。今回のスマートリカバリーリングは、その思想を健康管理という新たなフィールドで実現しようとしています。健康データを取得するデバイスが、同時に身につける喜びを与えてくれる存在になり得るのか。あるいは、毎日装着したくなるデザインこそが、継続的な健康管理の鍵となるのか。機能と美しさの融合が、私たちの生活をどう変えていくのか、一緒に見守っていきたいと思います。






























