GIFTERRAの森:JPYCステーブルコインとSpatialで構築するメタバース経済圏プロジェクト

[更新]2025年12月6日

GIFTERRAの森:JPYCステーブルコインとSpatialで構築するメタバース経済圏プロジェクト - innovaTopia - (イノベトピア)

ウォレットやステーブルコインといった「Web3の難しさ」を、そのまま前面に出さずに使えるようにする――そんな発想から生まれたのが「GIFTERRAの森」です。

メタバース上のバーチャル店舗やイベント空間で、JPYCを使ったP2P決済だけでどこまでリアルな経済圏を再現できるのか、その実験がいま始まろうとしています。


HEAVENとGIFTERRAは、メタバース経済圏プロジェクト「GIFTERRAの森」を共同で構築している。本プロジェクトは、メタバース上の仮想空間において、ユーザーが店舗運営や体験コンテンツ、コミュニティ運営を行えるようにする取り組みである。

決済には日本円連動型ステーブルコイン「JPYC」を用い、すべての取引はユーザー自身のウォレット間でのP2P送付によって完結し、GIFTERRAは資産の預かりや決済代行を行わない。

出店者はサブスクリプション型の管理ツール「GIFTERRA STUDIO」とSpatialの有料プランを利用し、GIFTERRAの主な収益はSTUDIOの月額利用料であり、取引手数料はゼロである。

From: 文献リンクHEAVEN × GIFTERRA/メタバース経済圏プロジェクト『GIFTERRAの森』

 - innovaTopia - (イノベトピア)
HEAVEN × GIFTERRA PR-FREE より引用

【編集部解説】

「GIFTERRAの森」は、JPYCという日本円連動型ステーブルコインと、Spatial上の3D空間、そしてGIFTERRA STUDIOというSaaS型ツールを組み合わせた、メタバース経済圏の実験場といえるプロジェクトです。 ユーザーはアバターで空間にアクセスし、仮想不動産を利用しながら、デジタル商品から物理商品の販売、ライブやワークショップといった体験コンテンツまでを展開できる設計になっています。

特に重要なのは、JPYCを用いた決済が「ユーザー同士のウォレット間P2P送付」に限定され、GIFTERRAはUIと管理ダッシュボードのみを提供するという立ち位置を明示している点です。 日本国内では資金移動業や決済代行に関する規制が厳格であり、「預からない」「清算をしない」という構造は、法務リスクを抑えつつWeb3的な価値移転を実現するための工夫と捉えられます。

経済モデルとしては、「取引手数料ゼロ」である一方、出店者が支払うGIFTERRA STUDIOの月額利用料を主な収益としており、クリエイターやブランドから見ると「固定費ベースのメタバース店舗/コミュニティ基盤」として利用できる形です。 NFTを用いたクーポンやスタンプカード、ロイヤリティ設定可能な簡易マーケットプレイス、AIによる貢献度ポイント(kodomiポイント)の可視化など、ファンとの関係性を長期的に深めるための仕掛けも組み込まれています。

一方で、Spatialという特定プラットフォームへの依存や、JPYC対応ウォレットの利用に伴うリテラシー要求、KYC/AMLや税務処理を出店者自身が担う必要がある点など、運用上のハードルも存在します。 Spatialのサービス停止時には「GIFTERRAの森」も停止する可能性が明記されており、長期的な事業基盤として使う場合には、メタバース基盤の継続性とバックアップ戦略をどう考えるかが問われるでしょう。

このプロジェクトは「日本発ステーブルコイン×メタバース×UIレイヤーSaaS」という組み合わせで、Web3の複雑さをできるだけ裏側に隠しつつ、クリエイターやブランドが“普通に使える”形に落とし込もうとする挑戦です。 クリエイターが投げ銭サービスGIFTERRA FLOWから一歩進めて、メタバース上の店舗とコミュニティ運営へ拡張していけるかどうかは、「使いやすさ」と「継続して回る経済圏」を両立できるかにかかっているように見えます。

【用語解説】

JPYC
日本円に価値を連動させたステーブルコインで、1JPYC≒1円の価値を目指して設計されているトークンである。

ステーブルコイン
法定通貨などに価値を連動させることで価格変動を抑えることを目的とした暗号資産の総称である。

P2P送付(P2P取引)
銀行や決済代行事業者を介さず、ユーザー同士のウォレット間で直接トークンを送受信する取引形態のことを指す。

ウォレット
暗号資産やトークンを管理するアドレスと秘密鍵を扱うためのツールであり、アプリやブラウザ拡張などの形で提供される。

NFT
ブロックチェーン上で一意に識別されるトークンで、デジタルアートや会員証、ゲーム内アイテムなどの所有や権利情報を表現する手段である。

Spatial
ブラウザやVRデバイスからアクセスできる3Dメタバースプラットフォームで、バーチャルスペースの作成やイベント開催などが行えるサービスである。

メタバース
インターネット上に構築された3次元の仮想空間やその集合体を指す概念で、アバターを通じて交流や経済活動、イベントなどが実施される。

【参考リンク】

GIFTERRA公式サイト(外部)
JPYCを活用したギフティングや「GIFTERRAの森」などの情報を掲載するGIFTERRAプロジェクトの公式サイトである。

JPYC株式会社 公式サイト(外部)
日本円連動型ステーブルコイン「JPYC」の仕様や導入事例、パートナー情報などを紹介するJPYC株式会社の公式ウェブサイトである。

Spatial 公式サイト(外部)
3Dメタバース空間の作成や共有、イベント開催ができるプラットフォームSpatialの公式サイトで、料金プランや機能概要を確認できる。

HEAVEN METAVERSE 公式X(外部)
メタバース関連プロジェクトを手がけるHEAVENの公式Xアカウントで、「GIFTERRAの森」を含む取り組みの最新情報が投稿されている。

GIFTERRA 公式X(外部)
GIFTERRAの最新アップデートやキャンペーン情報、JPYCを用いた活用事例などを発信しているGIFTERRAプロジェクトの公式Xアカウントである。

※上記はSpatial公式チャンネル上で、プラットフォームの概要や機能を紹介するイントロダクション動画を想定したリンクである。

【参考記事】

「GIFTERRAの森|AK DESIGN」(外部)
GIFTERRAの森のコンセプトやJPYC決済フロー、GIFTERRA STUDIOの機能、Spatialでの実装方針などを開発者視点で整理したnote記事である。

「GIFTERRA FLOW 公開 JPYCを使って“応援”や“ギフト送信”ができる…」(外部)
GIFTERRA FLOWの公開内容を紹介するポストで、JPYCを用いたギフティング機能と、GIFTERRAの森への発展的なサービス連携を理解する手がかりになる。

「GIFTERRAを使用したJPYC決済で安心・簡単に販売を開始。」(外部)
HEAVENがGIFTERRAとJPYCを用いた販売フローを説明しているポストで、クリエイターや店舗がどのように導入し運用するかのイメージを補強している。

「GIFTERRAはメタバース事業を手掛ける【HEAVEN】とタッグを組み…」(外部)
GIFTERRA公式がHEAVENとの連携とGIFTERRAの森構想について告知しているポストで、プロジェクトの関係性と狙いをシンプルに把握できる。

「来月スタート予定になりますギフテラの森。」(外部)
ギフテラの森の開始時期やプレオープン状況に触れており、リリースタイミングや開発進捗の確認に用いた情報である。

【編集部後記】

メタバースやステーブルコインという言葉だけを見ると、自分とは少し距離のある世界に感じられるかもしれません。ただ、「GIFTERRAの森」が試みているのは、クリエイターやお店の活動を、ほんの少し先のインターネット空間にそのまま持ち込んでみる、という実験にも見えます。

もし、あなたが好きな作品やブランドが、JPYCのような仕組みを使ってメタバース空間にも広がっていくとしたら、どんな体験があればワクワクするか――そんなイメージを一度描いてみてもらえると、このプロジェクトの見え方も少し変わってくるかもしれません。

投稿者アバター
TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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