Appleは2025年に25の製品を廃止した。最大の変更は2月のiPhone SEラインの終了で、第3世代iPhone SEの廃止によりAppleはホームボタン、Touch ID、LCDディスプレイ、6インチ未満の画面、Lightningポートを備えたiPhoneを販売しなくなった。iPhone SEは2016年に初代が発売され、iPhone 5sのデザインをベースにA9チップを搭載していた。また、iPhone PlusラインもiPhone 14 PlusとiPhone 15 Plusが廃止され、超薄型のiPhone Airに置き換えられつつある。
廃止されたiPhoneは合計7モデルで、iPhone 16 Pro Max、iPhone 16 Pro、iPhone 15、iPhone 15 Plus、iPhone 14、iPhone 14 Plus、iPhone SEが含まれる。iPadではM4チップ搭載iPad Pro、M2チップ搭載iPad Air、第10世代iPadが廃止された。Apple WatchはUltra 2、Series 10、SE 2が廃止され、MacではM2 MaxおよびM2 Ultra搭載Mac Studio、M4搭載14インチMacBook Pro、M3搭載13インチおよび15インチMacBook Air、M2搭載13インチMacBook Airが廃止された。
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Apple discontinued 25 devices in 2025: iPhone 16 Pro, MacBook Air M3 and more
【編集部解説】
Appleの2025年における製品廃止は、単なる定期的なモデルチェンジを超えた、同社のハードウェア戦略における重要な転換点を示しています。25製品という数は過去数年と比較しても多く、特にiPhone SEラインの完全終了は、Appleが長年維持してきた「小型で手頃な価格のiPhone」という選択肢を完全に放棄したことを意味します。
最も象徴的なのは、ホームボタンとTouch IDの消滅です。2007年の初代iPhone以来、ホームボタンはiPhoneのアイデンティティの一部でした。しかし、2025年2月のiPhone SE廃止により、Appleの製品ラインからこれらの要素が完全に姿を消しました。これはFace IDとジェスチャー操作への完全移行を意味し、ユーザーインターフェースの統一という観点では合理的ですが、物理ボタンを好むユーザーや、マスク着用時の利便性を重視する層にとっては選択肢の喪失となります。
iPhone Plusラインの段階的廃止も注目に値します。2022年のiPhone 14 Plusで復活した「大画面だが最上位ではない」というポジションは、わずか3年で終焉を迎えつつあります。代わりに登場したiPhone Airは、「薄さ」を新たな差別化要素として打ち出す戦略の転換を示唆しています。
Mac製品群では、M3チップ搭載MacBook Airが比較的短期間で廃止されるなど、Appleシリコンの進化速度の速さが際立っています。これはユーザーにとって常に最新技術へのアクセスを意味する一方、購入タイミングの判断を難しくする側面もあります。
LightningからUSB-Cへの完全移行も完了しました。Lightning-3.5mmオーディオケーブルの廃止は、小さな変更に見えますが、Appleが独自規格から業界標準へと舵を切った歴史的な瞬間を象徴しています。
この大規模な製品整理は、Appleのエコシステムをより統一的で予測可能なものにする効果があります。しかし同時に、多様なユーザーニーズへの対応力が低下する懸念も残ります。特に小型デバイスや手頃な価格帯の選択肢が減少したことは、市場の一部セグメントにとって重要な影響を持つでしょう。
【用語解説】
Touch ID
Appleが開発した指紋認証システム。iPhone 5sで初めて導入され、ホームボタンに組み込まれた。指紋をセンサーで読み取ることでデバイスのロック解除や決済認証を行う。Face ID登場後も併存していたが、iPhone SE廃止により完全にiPhoneから姿を消した。
Face ID
Appleの顔認証システム。TrueDepthカメラを使用して顔の3D構造を読み取り、本人認証を行う。iPhone X以降の主要モデルに搭載され、現在はすべてのiPhoneで標準となっている。
Lightningポート
Appleが2012年から採用していた独自の充電・データ転送用コネクタ規格。USB-Cへの移行に伴い、2025年までにiPhoneから完全に姿を消した。
USB-C
USB Type-Cコネクタを使用する業界標準の接続規格。データ転送、充電、映像出力などを1つのポートで行える。EUの規制もあり、Appleは2023年以降のiPhoneでこの規格を採用している。
Appleシリコン(M2、M3、M4チップ)
AppleがMac向けに独自開発したプロセッサシリーズ。M2は2022年、M3は2023年、M4は2024年に発表された。世代が進むごとに性能と電力効率が向上している。
LCDディスプレイ
液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)の略。バックライトを使用して画面を表示する方式。iPhone SEなどの廉価モデルで採用されていたが、現在AppleはOLEDディスプレイへ完全移行している。
OLEDディスプレイ
有機ELディスプレイ(Organic Light-Emitting Diode)。各ピクセルが自ら発光するため、より深い黒表現と高いコントラスト比を実現できる。消費電力も抑えられる。
【参考リンク】
Apple公式サイト(外部)
Appleの製品情報、サービス、サポートなどを提供する公式ウェブサイト。最新製品のラインアップや技術仕様を確認できる。
Apple Newsroom(日本)(外部)
Appleの公式ニュースルーム。新製品発表やサービスに関する公式プレスリリースを掲載している。
【参考記事】
Apple Discontinued These 25 Products This Year(外部)
MacRumorsによる詳細な廃止製品リスト。廃止された全25製品を網羅的に掲載している。
Apple Retires 25 Products in 2025, Marking a Clean Break From Familiar Designs(外部)
2025年の廃止製品がAppleのエコシステムにおける象徴的な転換点であることを分析。
Apple Discontinued 25 Products In 2025: iPhone SE, MacBook Air M3, More(外部)
廃止された製品の詳細なリストとともに、Appleの継続的な戦略を解説。
Products Apple killed in 2025, with more to come in 2026(外部)
2025年の廃止製品に加え、2026年に予想される廃止製品についても言及している。
【編集部後記】
Appleの製品廃止は、テクノロジーの進化と私たちの選択肢のバランスについて考えさせられる出来事です。ホームボタンやTouch IDを愛用していた方、小型のiPhoneを手放したくなかった方にとって、今回の変化はどのように映るでしょうか。
一方で、統一されたインターフェースや最新技術への完全移行は、新しい体験への扉を開くものでもあります。みなさんは、こうした技術の標準化と多様性の喪失について、どのようにお考えですか。ぜひご意見をお聞かせください。































