スマートバードフィーダーブランドのFeatherSnapは、2025年12月29日に、CES 2026への出展を発表した。1月4日に開催されるCES Unveiledでは、親会社のTactacamとともにショーケースを行う。
同製品はモーション起動式Wi-Fiカメラ、リアルタイム写真・動画ストリーミング、AI搭載の鳥識別機能を備え、統合型ソーラーパネルで駆動する。FeatherSnapアプリを通じて、訪問記録の追跡、鳥の行動学習、メディアの保存・共有、種レベルのデータ探索が可能だ。
同ブランドはSTEM.org Authenticated™認証を取得し、STEM.orgの「Best in STEM」リストで上位5%にランクインした。CES期間中は、マンダレイベイのブース60030およびベネチアン・エキスポのブース51372で展示される。
開発からカスタマーサポートまで100%米国ベースで運営されている。
【編集部解説】
このニュースは、スマートホーム技術が「屋内」から「屋外」へと拡張していく流れを象徴する事例として注目に値します。FeatherSnapは親会社Tactacamのアウトドアカメラ技術の蓄積を活用し、バードフィーダーという伝統的な製品にAI識別とソーラー駆動を組み合わせることで、新たな市場を開拓しています。
グローバルなバードフィーダー市場は2025年に約14億ドル規模とされ、2035年には20億ドルを超えると予測されています。この成長を牽引するのは、都市部でのバードウォッチング人気の高まりと、環境保全への関心の高まりです。FeatherSnapはこの成長市場において、教育的価値を重視したポジショニングを明確にしています。
STEM.org認証を取得し、評価対象のおもちゃ・ゲームの上位5%にランクインしたという事実は、単なる趣味のガジェットではなく、教育ツールとしての価値が第三者機関によって認められたことを意味します。これにより学校や教育機関での採用可能性が広がり、子どもたちが自然科学に触れる新たな入口になる可能性があります。
技術的な観点では、AI搭載のバードフィーダー市場には既にBird BuddyやBirdfyといった競合製品が存在します。これらの製品は6,000種以上の鳥を識別できるAIや、個体識別機能まで搭載するなど、技術競争が激化しています。FeatherSnapが差別化要素として強調するのは、Tactacamの耐久性ある屋外カメラ技術と、100%米国ベースの開発・サポート体制です。
一方で、このような常時監視型のスマートデバイスには、プライバシーやデータセキュリティに関する配慮が求められます。Wi-Fi接続とクラウドベースのAI処理を前提とする製品では、映像データの取り扱いやストレージポリシーの透明性が重要になるでしょう。
長期的な視点では、こうした自然観察デバイスが生み出すデータが、市民科学(Citizen Science)のプラットフォームと連携することで、鳥類の生態研究や環境モニタリングに貢献する可能性も秘めています。技術が自然との接点を深め、同時に保全活動にも寄与する——そんな循環を生み出せるかどうかが、今後の課題といえます。
【用語解説】
CES (Consumer Electronics Show)
毎年1月に米ラスベガスで開催される世界最大級の家電・技術見本市。最新のテクノロジーやイノベーションが披露される場として、業界関係者やメディアが注目する。
CES Unveiled
CES本展示会の前日に開催されるプレスイベント。メディアや業界関係者向けに、出展企業が新製品を先行披露する機会を提供する。
STEM.org Authenticated™
科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の学習価値を第三者機関が認証するトラストマーク。教育ツールとしての品質を保証する。
市民科学 (Citizen Science)
専門家ではない一般市民が科学研究に参加し、データ収集や観察を行う活動。バードウォッチングや環境モニタリングなどで広く実践されている。
モーション起動式カメラ
動きを検知すると自動的に撮影を開始するカメラ機能。野生動物の観察や防犯用途で広く使われる技術。
【参考リンク】
FeatherSnap公式サイト(外部)
AI搭載スマートバードフィーダーのメーカー公式サイト。製品情報やアプリ機能を掲載。
Tactacam公式サイト(外部)
FeatherSnapの親会社。アウトドア向けセルラーカメラ技術を専門とする企業。
STEM.org公式サイト(外部)
教育製品やプログラムのSTEM認証を行う非営利組織。教材の教育的価値を評価。
CES公式サイト(外部)
Consumer Electronics Showの公式サイト。出展企業情報やイベントスケジュールを提供。
【参考記事】
Bird Feeder Market Share and Growth Statistics – 2035(外部)
グローバルなバードフィーダー市場が2025年に約14億ドル規模で2035年には20億ドル超と予測。
Bird Feeder Market Insights 2026–2035 | Overview & Growth(外部)
バードフィーダー市場の成長要因として野生動物保護への意識向上と都市緑化を指摘。
Smart bird feeder leverages AI to recognize individual birds(外部)
AI搭載バードフィーダーBird Buddyが6,000種以上の鳥を識別する技術を紹介。
Tactacam REVEAL Introduces Premier Cellular Trail Camera(外部)
親会社Tactacamが展開するセルラートレイルカメラの技術背景を説明する記事。
【編集部後記】
バードウォッチングは趣味の領域を超え、AIやソーラー技術と融合することで、私たちと自然をつなぐ新しい体験へと進化しています。庭先や窓辺に訪れる鳥たちが、実はどんな種で、どんな行動パターンを持つのか——そんな問いに、テクノロジーが答えを提供し始めました。
みなさんは、日常の中で自然との接点をどのように持っていますか?都市生活の中で生き物と触れ合う機会は限られていますが、こうしたスマートデバイスが、私たちの暮らしに新たな気づきをもたらしてくれるかもしれません。技術が自然観察の入口となり、環境への関心を深めるきっかけになる——そんな可能性について、一緒に考えてみませんか。































